相棒14
(2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

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第7話 キモノ綺譚

脚本/橋本一 監督/輿水泰弘
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所轄の警察官・佐藤良行が右京と冠城の前に月本幸子を連れて
来る。月本は不審者として通報されたということで、右京が
柄付け・身元保障の為に呼び出された格好だった。マンション
の前を何往復もしていたり、ゴミ箱を見たり、人の家を覗いたり
していたとのこと。月本はタダ見て居ただけというが・・
右京もこの一件でわざわざ警察署に連れて来ることなく交番で
済む話だったのではないかというが、月本は私ら前科がある
からでしょうと告げる。冠城は月本に前科があると知って驚く。
右京は冠城に月本の件で罪は償っているしプライベートなこと
なので本来話すべきではないだろうが、関わってしまった事も
有るので説明しておくと罪状は殺人未遂だと語る。
しかし月本に対してマンションが気に入ったから見て居ただけ
というのは得心がいかないと語る。月本は見かけによらず無鉄砲
なところがあると右京は指摘する。

それを受けて月本もきっかけはこの古着だとして江戸小紋の
着物を見せる。呉服屋を覗いたら手頃な値段で先週の水曜日に
購入したとのこと。しかし胴裏に頑固なシミがついていて、
和裁を習っているので自分で張り替えようとしていたのだとい
う。胴裏を剥がして見る中に

「いつかおまえがそうしたようにあんたもおまえを殺したい。
でもできないもどかしい 幸子」と口紅で書かれていた。
女将の月本幸子と同じ名前だった。なんだか不気味だったので
真相を突き止めたいと考えたのだとし、着物の元の持ち主を
尋ねて行ったものの、何と言って良いか分からず彷徨っている
ところを通報されたとのこと。最初から右京さんたちに頼んで
置けば良かったと語る。

上條愛は着付け教室にいた。
そんな彼女の元に右京と冠城はやってくる。
この着物を表参道の神楽屋さんに売ったのかと問うと、着物を
5枚処分した中の一枚だという。裏地を剥がしたにメッセージが
合ったとし、幸子とは双子のお姉さんでしょ?と。内容からす
れば一種の恨み言で、幸子は既に死んでいるみたいな物騒なこと
が書かれていることを指摘する。幸子は何処にいるのかと問うと
現在母親が経営する赤坂のクラブ"アルヘナ"でホステス兼マネ
ージャーをしているとのことだった。愛に対して母親は絵美
さんで、幸子さんの源氏名はと問うと"今日子"だという。
冠城は念のために名刺の裏に店の住所などを書いて欲しいと頼む。

絵美が働く店に行く右京と冠城。
シノブとヨウコらホステスに囲まれていた右京達だが、絵美が
彼らのテーブルにつく。調べ物で来たとしてもちゃんと勘定は
頂きますよという絵美に、既に愛さんから電話で伝わっている
用ですねと語る。幸子さんと話したいと語ると、彼女は気まぐ
れな子なのでその内来るだろうとのこと。何時間経っても来ない
為に食事を食べに行こうという。近くに安い中華の店があると
いうことを聞き冠城はここでも名刺の裏に住所や地図などを
書いて欲しいと頼む。
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月本幸子が引き当ててきた今回の事件。
事件性が有ったかと言われると難しいが、ここ最近の事情から
して、戸籍を使ったトリック的な事件を取り上げるのも悪くは
ないのかな。亡くなった事実を届け出せずに年金を着服すると
いう事柄もあるし、老人ではなく子供にそれを当てはめる
逆のパターンが有っても不思議ではない。

双子の神秘性を問うものというよりも、寧ろ多重人格者・解離
性同一性障害についての性格的なものの方が色濃い流れだった。

海外ドラマを見て居ると、解離性同一性障害は大抵虐待された
子供が、現実逃避のために他人格を形成する為に発症してして
しまうということがあり、その後は大抵は殺人事件に繋がって
いくけれど、このドラマでは無邪気な子供の時に誤って双子を
殺してしまった一方で、残された彼女を守るために、嘘を
吹き込んで別のストーリーをたたき込まれたが故に、そんな
人格を生み出してしまった様だ。

その人格をある程度操れるというのだからびっくりだけど、
流石に義務教育に於いて二つの学校に一人の子を通わせていた
という流れは無理がありすぎたし、正直吏玖という少年を
弟として扱っていたけど、あの絵美の子なのか、愛の子なのか
という点でイマイチ設定が分かりづらかった。

双子はDNAでは識別できないけれど、指紋は別々であることは
明らかで、虹彩など最近では双子であっても区別できるもの
は沢山有る。筆跡が違うからと言っても指紋で区別するのだろう
なということは名刺に字を書かせている時点でストーリーの
顛末が読めた。

冒頭から名刺に文字を書かせていたところを見ると、誰があの
着物に文字を書いたのかということ以上に、右京は既に二人は
同一人物だという視線を持っていた一面もあるのかな。

見て居る方としても、幸子が店に来ていないという時点で
一方はこの世にいないのだろうなということは想像に難くなか
ったし、双子や多重人格に於ける不思議な流れだけでなく、
「幸子」という名前が引き寄せた奇妙な事件ということで、
その辺の因果関係は面白く出来ていたのかな。

一人の人物が別人格となって交換日記をしているところなど、
連携が取れつつも、着物裏に書かれた恨み節を考えると、
罪悪感と恨みの双方の観点から、何処かで人格が暴走しても
良かったのではないかという感じがする。

しかし最近は別人になりすますというのはある程度容易に出来
そうだね。今回の変装は流石に如何にもウィッグを使っている
のがバレバレ過ぎて萎えたけど、一人二役を演じるというのは
難しそうだね。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)

上條愛 …… 西原亜希 (25歳、着付け教室の講師)
上條幸子 …… 西原亜希 (クラブ・アルヘナ"今日子"・姉)
上條絵美 …… 岩本千春 (クラブ・アルヘナのママ・妹)
上條吏玖 …… 高橋來 (絵美の息子・小学一年生)
愛と幸子の5歳の頃 …… 遠藤美優、遠藤真優
佐藤良行 …… 天蝶二 (警察官、月本を連行)
シノブ ……
ヨウコ ……



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