相棒14
(2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

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第8話 最終回の奇跡

脚本/藤井清美 監督/池澤辰也
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交響曲第5番「運命」を聞きながら漫画を描く箱崎咲良。
サポートしている姉の箱崎ますみは、先生(咲良)に対して締め
切りが過ぎていることを告げるが、咲良は書き直すと言い出す。
時間は4時27分だった。箱崎家では原稿が出来るのを藤枝宏樹
と編集長の真山文彦が待っていた。このままでは印刷が間に合
わない。執筆中には部屋に入るなと言われているし、取りあえず
真山は印刷所に掛け合うという。
そんな状況の中、階段のところで男性がナイフに刺されて死亡
する。その殺人の光景は咲良が現在描いている漫画と類似して
いた。倒れた男性の傍にはTame te amo(それでも君を愛す)とい
うメモが残されていた。

7時過ぎに真山は箱崎家に戻ると原稿はどうしたのかと問う。
まゆみが下りてくると完成した事を語る。咲良の漫画家として
三年ぶりの復活の原稿。しかも内容は3年越しに描かれた漫画
「彼方の星」の最終話だった。咲良本人はこれを描いたのは
神だと告げる。

伊丹は殺害現場へとやってくる。
芹沢によると被害者はダイムエンタテイメント社長・原田良輔
(40歳)、漫画家の箱崎咲良のマネジメントや著作権の管理など
を行っているという。なんだか殺され方は演出がかっている
かのようにも見えるという。死亡推定時刻は午前5時から6時27分
だという。何でそんな詳しい時間が分かるのかという伊丹に対
して芹沢はネットに何人かが現場写真をアップしているから
で、最初の投降が6時27分だったとのこと。書き込みには
「死体みつけちゃったかも」と描かれていた。

米沢は特命係へとやってくると右京を探す。しかし居たのは
冠城だけだった。仕方なく米沢は冠城に話しをする。
テレビを付けると清河出版の真山がテレビインタビューの場で
弊社が発刊している月刊ジュピターの漫画「彼方の星」の漫画
家・箱崎咲良が予言したのだという。3年前に神社の石段から
落ちて大怪我し、漫画家人生はもう無理だと言われていたが、
殺人事件を予言したのだとし、詳しくは最終話の内容を見て欲
しいという。大抵事件のことを知っている人が容疑者だとする
冠城に対して、米沢はこの奇跡を右京に証明して欲しいのだと
いう。

冠城は階段で落ちて死亡した原田の遺体発見現場にいく。
そこでラテン語の"Tame te amo"を見つける。右京は既に現場
にいて、そのラテン語の意味は(それでも君を愛す)だと語る。
右京は冠城に対して何か事件捜査に熱心ではないかと語る。

ダイムエンタテイメント社へと向かう右京と冠城。
咲良は30歳そこそこ。彼方の星は累計1400万部が売れた。
1冊450円で印税が10%だとすると6億3000万だという。この会社
は、漫画のアニメ化、ゲーム化、キャラクターのグッズ展開
など一手に行っているという。ヒット漫画は莫大な利益を生む
ということだと。
ダイムエンタテイメントの社員、木下学、三輪里香、桜岡肇
から話を聞く。まずは原田と咲良の関係を尋ねると、社長は
元々彼女のファンで5年前に咲良の漫画をファンに広める為に
会社を立ち上げたという。社長に何かトラブルは無かったかと
尋ねると、桜岡は最終回に関して社長と真山が揉めていたと
いう。最終回はウチの会社はタッチ出来なかったとのこと
だった。
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3年前人気漫画「彼方の星」の最終回を前にして、神社の石段
から転落した漫画家・箱崎咲良がリハビリを経てついに復活。
最終話が公開されるということで世間でも盛り上がる中、
更に彼女が描いた漫画は公開前なのに、今朝起きた殺人事件
の描写とそっくりであり、まるで奇跡の予言だという。
咲良本人も漫画を描く際には、この漫画を描かせているのは神
だということで、彼女には予知夢のような能力があるのか
どうか。

最終回のシナリオに関して、その原稿を見た者が容疑者だと
されるような事件が発生する。
殺された人物・原田が咲良のマネージメントをしていることを
考えれば、まるで無関係の人物が殺したとは考えられず、
シナリオを知り得る人物には誰もがアリバイがあるとされる。

ドラマとしては幾つかの謎が含まれていて、それぞれの事象に
該当するのが誰なのかということを探す作業になった。

多くの視線は姉妹関係に集中するようにして構成されていたけど
可能性としては、ドラマでもよく見られる姉妹としての葛藤点が
一連のドラマの中でどのようにして関わり合っているのかだと
思うし、殺された原田の人物像に関して、どれほど酷いことを
しているのかが動機を知る上でも必要なことだった。

「もう誰も愛さない」の吉田栄作さんばりに、既に歩ける
のに意図して車椅子に乗っていたのは何故なのか。
サインに於ける筆跡や絵柄の違いなどをどう説明を付けるのか
が謎として存在し、姉妹して入れ替わっているのではないか
という疑惑を持たせた。

興味深いのは、先週の流れの双子の件にも類似している部分が
ある。これは「LAW & ORDER」シリーズに見られる一見すると
無関係の事件だけど、ある程度テーマとしては類似するものが
有り、過去の事件と姉妹の関係の中にある複雑な思考と因果関係
が関与しているかと思わせるような流れを演出していること。

結果的にはまるで違う人物が犯人だったけど、金の成る木に
便乗して近づいてくる人の多さと同時に、懺悔の気持ちを別の
間違った方法で表現してしまうところなど、その感覚に
憤る気持ちが喚起されること。

なんとか冠城を使おうとする意図も見られるのだけど、
法務省キャリア官僚が警視庁に出向という設定自体、ちょっと
強引すぎて、相変わらず税金を無駄にしているようにしか
見えないところがマイナス点か。

長い間付き合いがあるのに初めて米沢から奢ってもらうこと
になった右京さんもちょっと嬉しそうだったね。

そういえば色々と右京さんのウンチクが有ったけど、手塚治虫さん
はフリーハンドで真円を描くことが出来たが、それが出来なくなった
際に衰えを感じたことを語っていた。外国の人に聞いたことだけど、
日本人はみんな素人でもフリーハンドで円を描くのが本当に上手く
で驚くそうだ。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)

箱崎咲良 …… 玄理 (漫画家)
箱崎ますみ …… 原田佳奈 (咲良の姉)
原田良輔 …… 内田健介 (ダイムエンタテイメント・社長)
真山文彦 …… 吉田智則 (清河出版の編集長、月刊ジュピター」)
藤枝宏樹 …… 村上大樹 (清河出版の編集者)
木下学 …… 平川博晶 (ダイムエンタテイメント)
三輪里香 …… 青山郁代 (ダイムエンタテイメント・秘書)
桜岡肇 …… 矢本悠馬 (ダイムエンタテイメント・)
不倫役 …… 西本歩未 (真山が密会していた。)

増田眞澄、佐藤良洋



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