相棒14
(2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第15話 警察嫌い

脚本/輿水泰弘 監督/橋本一
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伊丹は現場へとやってくる。被害者はマンションの最上階の
女性だった。
米沢は検視前に現場の撮影をする。
伊丹ら一課がやってくると、殺されたのは協和堂大学政経学部
3年生・色川真子(21歳)。カーテンが引っ張られた跡があり、
首を絞められた時に咄嗟に掴んだ為に外れたのではないかとされ
る。彼女の部屋を見て回ると女子大生にしては金回りの良さが
気になっていた。

一方公務員の青木年男は上司から女子大生殺しの事件は君の家の
近くではないかと問われる。向かいのマンションだとし、今朝も
警察やマスコミで騒がしかったという。

角田は喫茶店に来てある人物と逢っていた。
軽はずみに捜査情報は流せないとし、我々のヤマでもないことを
語る。会話している相手は伊縫剛という広域暴力団・銀龍会傘下
の伊縫組の組長だった。ヤクザと食う飯は消化に悪い。オレは
ヤクザが大嫌いだ。組対五課の角田らしい意見だった。しかし
伊縫はオヤジさんはぼやいているとし、「もちつもたれつ平和
にやってきた関係」だという。しかし角田は何故今朝の事件が
気になるのかと問う。下手に首を突っ込めば伊縫組への査察
ということにも繋がることを口にする。しかしこれは個人的な
ことだと語り、殺された真子は愛人に生ませた娘だという。

角田は特命係に戻るとそのことを右京たちに語る。
愛人に生ませた娘だが認知していること。暴力団組長の娘・
伊縫組組長・伊縫剛は広域暴力団銀龍会の若頭で直系の中でも
武闘派集団として名を馳せているという。娘が殺されたなら
気になるのだろうと。ヤクザも人の子、人の親だということ。
よからぬ事を考えているのではないかと問う冠城。"復讐"のこと
かと問うと、その辺は釘を刺して置いたという。右京は復讐する
くらいならば課長には言わないだろうと語る。冠城は我々も
捜査一課の捜査に協力すべきではないかとし、右京さんも参加
したいのではないかという。右京はそんな冠城に対してボクの
気持ちを推察することは謹んで欲しいと不快感を表す。

被害者は風呂上がりに何者かに襲われていること。ベランダから
助けを呼ぼうとしたが、その際彼女が来ていたガウンのヒモで
首を絞められ後ろに引きずられたであろうこと。その際にカーテン
を掴んで外れたのだろうと。顔見知りによる犯行ではないかと
語る冠城。死亡推定時刻は昨夜23時から午前1時。そんな時刻に部屋
に居たならば顔見知りという可能性も高いという。ただし入浴中
に見ず知らずの人が部屋に侵入した可能性も否定出来なかった。
第一発見者を疑うのがセオリーではないかという。
第一発見者の谷寿一郎は大学の同級生で迎えに来たが下りてこず
電話にも出なかったので部屋にあがってみる時に遺体を発見した
というものだった。いずれにせよ被害者の交友関係を当たれば
犯人検挙はそう遠くはないのではないかという右京だった。
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殺害された被害者の女子大生はヤクザの愛人の娘。
目撃者は向かいにいる公務員の男だが、協力するのを頑なに
拒否する。被害者の交友関係を調べていると、容疑者とされる
3人の人物がそれぞれ担当捜査官たちが連れて来る。一人は第一
発見者の谷寿一郎、一人は被害者の同性の恋人の森下澪、
そしてもう一人は石川圭三という自称芸能プロダクションの経営者
だった。それぞれ供述に矛盾点があり被疑者としての可能性も
有ったが、どうしても決め手に欠けるところが有り、自供を引き
だそうとする。自白偏重はえん罪の元だから気をつけろとするが・・

なんだかつかみ所のない事件だった。
ドラマの中でも「詭弁」「屁理屈」「不条理」だとする言葉が飛び
出したようにそれを意図した感じにも思える流れがある。

右京以外に活躍の場を持たせようとして、ここに来てちょっぴり
奇抜なアイデアの作品を投入したのだろうけど、逆にその遊び心が
スッキリしない流れを生んでいて、そのスッキリしないところにこそ
面白さを求めるところが、まさに今回の終始ひねくれた流れに連動し
意図したところなのだろう。

公権力をどの程度行使出来るのかという面では興味深いものがあり、
世間一般で言われる「市民の捜査協力への義務」に対する範疇を
問うような流れでも有る。
目撃者が公務員という設定がまた憎たらしい程の香ばしい匂いを
放っていて、"役人は必要以上のことはしない"というイメージを
使い、無機質な人間性と現代に於ける他人の死に無関心さを助長
しているかのようにして利用された感じ。

父親が警察だからという理由でこれまで嫌な思いをさせられたであろう
ことを伺わせて、刑事が困る姿を見ては楽しんでいる節が有ったけど、
これは同様に今回の冠城もまたそんな立場で、右京の反応・対応を
楽しんでいるところが有る。
間に挟まれた角田が珍しく激高して、もったいぶらずに早い所解決しろ
と一喝するところもまた一興で、右京の怠慢さなのかそれとも職務
以上のことを突然しなくなった彼に対する憤りさをぶちまけた。

被疑者だとしていたけれど、まだ容疑者という枠を越えていない
感じだった。
三人が自白したとするけれど、一体何を自白したのか。
右京も語っていたけれど、偶然にしてはカメラを回すタイミングが
良すぎることも有って、自白の流れと同期してみんなが警察を愚弄
する為に仕掛けた罠だったのではないかと思わせるところも有った。

最後の心理的駆け引きで犯人を割り出す流れも面白かったけれど、
目撃者のVTRがなければ、まずリアクションだけを見て犯人だろう
とするには無理が有りすぎた感じだ。

駆け引きという面では、冠城がヤクザの親を使って非協力的な目撃者
に接近する流れも、公権力の乱用ではないかとするギリギリのところ
でドラマを回していた。

角田は普段はヤクザが嫌いだけど、不当に扱うようなことはせず、
寧ろ新たな犯罪の防止に努めようとしているところは好感の持てる
役所だったね。でも大木さんを蹴り飛ばすところは、中園・内村と
やっていることが同じで「不条理」な八つ当たりですぞ。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)

色川真子 …… 澄音 (21歳、協和堂大学政経学部3年生、剛の愛人の子)
伊縫剛 …… 上杉祥三 (広域暴力団・銀龍会傘下の組長)
青木年男 …… 浅利陽介 (公務員)
石川圭三 …… 中山峻 (48歳、自称芸能プロダクション社長)
谷寿一郎 …… 下山葵 (21歳、協和堂大学)
森下澪 …… 大澤あけみ (21歳、協和堂大学)

藤原シンユウ、児島功一、田中啓三、千葉誠樹、金井節
太田了輔、前川和也、上野龍之介、宇都宮一基、山中良弘、草野速仁



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