相棒14
(2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第16話 右京の同級生

脚本/池澤辰也 監督/山本むつみ
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右京は町で歩いていると一人の男性・マリオが苦しそうにして
いるのを見て救急車を呼ぼうとするが、男は小峰病院に連れて
行って欲しいと頼む。
小峰病院の医師・小峰律子は診療時間外でも快く対応してくれ
る。気管支喘息の発作は気道が狭くなるので危ないのだとし、
もう大丈夫だという。右京は女医の姿を見てもしかして小峰律子
さんではないかと尋ねる。するとあなたは杉下右京くんなのか
と告げる。5年生のほんの数日だけ一緒のクラスだっただけな
のによく覚えていてくれたわねという。あなたは二学期の終わり
の3日前に転向し、冬休みの間に引っ越してしまったという。
律子は昔から右京の記憶力・洞察力が鋭かったことを覚えていた。
覚えていられたのは小峰さんが印象的だったからだというと、
あの事件が有ったからかという。
マテ茶を出される。マリオよると自分の故郷・南米エルドビア
のお茶だという。マリオは日系三世で在留資格を持っているという。
仕事はビルの管理関係ではないか?と問う右京に驚くが、入館証が
見えたと語る。(株)品川興産で、北品川第三ビルの清掃作業をして
いるとのことだった。すぐに退院するというマリオは外国人は
当てにならないと思われたくないのだという。マリオは借りた本
(果てしない物語・下巻)を返却すると告げると、律子はまた別の
本(果てしない物語・上巻)を渡す。子供の本を読むのが日本語
を学ぶのに一番だという。

冠城は「花の里」で、先輩の野坂信一と飲んでいた。
女将の月本に対して先輩といっても私はキャリア官僚ではないとし、
入管の人間だという。入国管理局・入国警備官で、密入国や
不法滞在の外国人の警察みたいなものだという。

角田が特命係にやってくる。「暇か?」。
右京は彼は熱心に勉強しているようだと語る。「よく分かる入管法」。
次の出向場所なのかと問う。入管と言えばここの所失態続きで、
踏み込んだらもぬけの殻だったことや、内偵で確認した半分以上
逃げられているのだという。リークしている人物がいるのかも知れ
ないという。角田たちは銀龍会の事件を調べている中で、北品川
第三ビルで変死体が見つかったとの大木・小松の報告がある。
右京はちょっと出かけてくるとしてコートを着ると冠城も一緒に
行くという。君の暇つぶしではないとするが、そもそも右京さん
にも捜査権はないでしょと語る。

雑居ビルに伊丹ら一課がやってくる。
米沢は死因は後頭部頭蓋骨骨折による脳挫傷だという。
死亡推定時刻は昨夜の午後23時から午前2時とのこと。伊丹は
飛び降りということはないのかと問うがそれを否定する。
事件か事故に巻き込まれたのか。遺体発見はゴミ収集車の作業員
で被害者は高井義人(43歳)・一般社団法人・国際ディスパッチ
協会の職員だった。右京が現れると、ディスパッチと言えば
何かの発送を扱っているもの。外国人労働者の職業紹介、
技能実習生紹介事業などだという。

北品川第三ビルに行くと、このビルで働いている清掃員と会った
という右京。冠城は秘密指令だとし事務次官から呼び出される。
日下部は摘発情報の漏洩事件。入管によるものなのか所轄に
よるものなのか。それを冠城に探るよう告げる。
右京と合流するとその秘密指令のことを話してしまう。
ベテラン警備員と飲みに行ったこと。彼は金は無いが誇りと
使命感を持って働いている人で、その人は北品川第三ビルの
中に有る飲み処"圭"のマッチを持っていた。
「入国刑事官」「外国人労働者」「職業紹介業」。まるで連想
ゲームだという。冠城は右京に共同戦線と行きましょうと語る。
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右京がたまたま道端で苦しんでいた日系人の男性を助けた
ことでかつての同級生である小峰律子との再会がある。
僅か3日間だけのクラスメイト。二人ともそれぞれの正義で
小学生当時筆箱盗難事件に対して責められていた貧困の少女
を助けた事が有り、そんな彼らがン十年ぶりに再び正義感を
発揮することになるが・・・

シーズン6の放送が終わった後に公開された劇場版「相棒」で初めて
出て来たエルドビアという国。
何と言っても甲斐峯秋がかつてエルドビア共和国の日本大使館に
勤務していたということからも、この人の退職への道筋への
前振りを作った感じがしてならない今回のエピソード。
上層部に深いパイプラインがあるというのは峯秋がかかわっている
のではないかとも思えるし、それ以上に政治・外交の問題も根深く
存在している感じがしてくる。

まぁその辺は最終話スペシャル版辺りで解明されるのかも知れない
し、既にエルドビア自身は相棒ワールド内に組み込まれている世界
観なので、「赤いカナリア」同様に今後も何かと描かれて行くことを
考えるとグレーのままで進むのかな。

それぞれの持つ正義感が改めて描かれるというのも久しぶりな
感じで、そんな正義感の衝突は亀山くんとかカイト辺りが最低でも一度
は右京と衝突して自分の価値観をぶつけ合うのだけど、今回は医者
の立場、そして人道的立場から見た正義感と警察官としての職務から
見た正義感のぶつかり合いを持って、司法制度が完璧なものではない
ということを改めて証明したところではないかな。
こんな正義感のぶつけ合いは、生前の頃の小野田官房長との化かし合い
のようなやりとりが面白かったんだけどね。

日本には怪しい一般社団法人が多すぎる事も有り、弱者から搾取する
男達がとことん人から搾り取る構図は相当えげつなく、流石の
右京も心情は理解出来るとしながらもやはり自分の立場上認められない
難しさを吐露した。
ただ今の日本は外国人だけでなく同じ日本人同士でも同様の企業が
蔓延っている現状があるので、何とも言えない所なんでしょうけどね。
まるで国際ディスパッチ協会理事長がヤクザみたいな方で、背広の着方
がまさに普通の人とは思えない所があったな。

初めて逢った時から気がついていたとしていたけれど、そこから全て
を導き出すというのは流石に難しいだろうな。

「どんな法も規範も人を救えなければ正義の名に値しないと思う」
三択の女王竹下さんに10カノッサって感じでした。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)

小峰律子 …… 竹下景子 (医師、右京の小学校時代の同級生)
マリオ …… 広瀬剛進 (日系三世のエルドビア人、ビル清掃員)
野坂信一 …… 春田純一 (法務省入国管理局警備官)
高井義人 …… 神農直隆 (43歳、国際ディスパッチ協会)
犀川武彦 …… 桜木健一 (外国人労働者派遣団体・国際ディスパッチ協会理事長)
律子の幼少期 …… 錦辺莉沙(小学5年生、右京の同級生)
…… 松澤仁晶 (犀川の秘書・メガネ)
…… 山田将伍
黒木 …… 掛田誠 (黒木金属加工)
ニコラ・ガルジ …… セバスチャンK
ローザ …… ジャメル・タグレ

せんだ雄太、新井真悟、小国ひなた、吉川ひかり、橋本淳




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