相棒14 (2015年10月期・TV朝日・水曜21時枠) プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道 http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/ 第17話 物理学者と猫 脚本／徳永富彦 監督／兼�ｱ涼介 -------------------------------------------------------- 遺留品の返却のために右京と冠城は帝都大学へとやってくる。 2ヶ月前の事故で成田知子教授が亡くなっていたのである。 この大学の総務部として働く成田裕二にそれを届けに向かう。 しかし右京が向かっていたのは堀井亮・理論物理学の准教授の 元だった。 9時2分、堀井は自分の研究室で黒板に向かって方程式を解いて いたが「RT」の印を付ける。冠城は右京に返却するのはダンナ さんであり総務部にいる事を告げるが、右京が熱心に読んでい るノートと今回の件で何か関係が有るのかを問う。 亡くなった成田知子教授と堀井は仲が良かったので話だけでも 聞きたかったという。しかしドアを叩くが堀井は出てこなかっ た。居留守を使っていたのである。 仕方なく右京達は総務部に行くと成田裕二に遺留品を渡して 話を聞く。教授の奥さんが研究していたのは量子コンピュータ の核となる実験に成功したこと。特許も取れてアメリカの研究 機関からも誘いが有ったのだという。冠城は量子コンピューター とは何なのかと問うと、原子や電子などとても小さな世界の 物理法則を応用した次世代のパソコンで完成すれば今のパソコン の3600〜1億倍の性能を出せると言われているものだという。 ノーベル賞ものの実験に成功した直後に事故に亡くなったこと。 知子が居なくなり実験は別の研究員に引き継がれたというが 未だに再現は出来ていないのだという。死因は実験中の事故で 誤って液体窒素を倒したことに気がつかずに充満した窒素で 酸欠を起こして気を失い窒息死で亡くなったという。 右京は一つ聞きたいのは実験内容には液体を入れるデュワー瓶が 一度一本と書かれていたものが訂正されて2本になっていること。 しかもその「2」の筆跡も何処か知子のものとは違う人物が書いた 様だという。夫は知子の筆跡に思えるというが・・ 実験を引き継いだ山嵜麻美准教授に話を聞くと、私が知子の 実験を手伝っていたとし、あの日ももっと早くに戻れば助けら れたかもしれない事を語る。当時は警報装置も無かったが今は 以上が検出すればベルが鳴り、自動換気装置が稼働するという。 物理学に何故液体窒素が使われるのかと問うと、正確に観測 する為だという。熱があるとエネルギーの影響を受けてしまう のだと。マイナス196度で沸騰して体積700倍の気体に変わる こと。実験室は狭くて密閉し充満したのだろうと。 右京は法医学の知識から、酸素濃度が6%以下の空気になると数呼吸 で気を失うこと、色も匂いもないので気づいたときには体が動 かないのだという。理論物理学の堀井教授は何処に居るのかと 問うと、確か研究室にいるハズだという。彼は考え出すと 別の世界にいく人なんだと語る。 堀井のオフィスを改めて尋ねる。また居ないかと思われたが ネコが物を落とした為に居留守は使えず堀井は部屋の中から 声を出す。右京は物理学者とネコとはシュレディンガーのネコ ですねと語る。すると堀井はこの世の中は色んな世界が重なり 合って存在していることをネコのゲージを使ってシュレディン ガーのネコについて概要を説明する。 -------------------------------------------------------- 一見すると気難しそうな題材だったけど、寧ろ内容よりもシナリオ の構成自体がかなり変わった形で構成されていたので、現実の 流れなのか否か分かりづらいものだった。 時間軸をいじって色んなシナリオを体現させる為、色んな結末を 用意したこと。それぞれの流れを別の世界のようにして描き、 シュレディンガーのネコの論理を上手いことシナリオに乗せて 描いたものだった。 ドラマの内容としてはSTAP細胞のネタを意識したところも有りそうだ。 この辺のエピソード構成のアイデアは竹野内豊さん主演のドラマ 「素敵な選TAXI」が一番面白いものがあるけれど、相棒では決して 別の世界があるといっても時間が遡るというような非現実的な流れ ではなく、一本の流れを通して堀井亮という男性に色んな結末を体験 させるところは興味深かったかな。 結局警視庁が下した成田知子の死に関して犯罪性はないという 流れは保たれた訳だし、その死の原因まで上手いこと遺留品の 流れや現場検証の流れから導き出した辺りも悪くは無かった。 正名僕蔵さんと中丸新将さん。どっちも悪役を多くこなしている 俳優さんでもあるので最終的な黒幕が誰なのかも分かりづらかったし、 山嵜麻美の件はともかくとして、元々の成田知子の流れの方の 真相を新たに掘り起こしたという辺りが上手く出来ていた。 事故と自殺とでは全くその後の流れは変わってくるよね。 正直ネコが登場したので、9つの命を持つ猫の物語として9つの シナリオが用意されているのかと思った。 シュレディンガーのネコの論理の解説を聞いた時に、ああっこの事 を描いたのかと改めて気づかされたエピソードだった。 それにしても最近世間はネコネコネコですね。 昔「鮫!鮫!鮫」という東亜プランのシューティングゲームが有った ことを思い出すような響きだ。初期versionは相当難しいゲーム だったけど、後期versionは相当難易度が下がってしまったよなぁ。 杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係) 冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、法務省キャリア官僚) 月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里") 伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員) 芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩) 米沢守 …… 六角精児 (鑑識課) 角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課) 大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部) 小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部) 内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長) 中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官) 大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長) 甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監) 日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官) 堀井亮 …… 正名僕蔵 (帝都大学物理学者・准教授) 成田知子 …… 大沼百合子 (帝都大学物理学者・教授) 成田裕二 …… 中丸新将 (帝都大学職員、知子の夫) 山嵜麻美 …… 林田麻里 (帝都大学物理学者、知子の助手) 青海翔太 …… 落合孝裕 (堀井ゼミ生) 嶋崎靖