相棒15
(2016年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第4話 出来心

脚本/山本むつみ 監督/藤岡浩二郎
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柏木優奈は何者かに自宅に侵入されベルトで首を絞められて
殺害される。

右京と青木は特命係でチェスをしていた。
青木は冠城に対して飲みに行く約束でしょというが、彼は二人
の女性と付き合っていてそのウチの一人とデートする為に
青木との約束をキャンセルする。

NPO法人"青空らくだの会"。
そこは「隣人愛と奉仕の精神」を掲げる場所。悩める人に手を
さしのべるりが私たちのミッションだとして、尾形留美子は
山田優に対して悟る。心を開いて本当の自分と向き合う。
あなたは男として十分に魅力的だとして留美子は山田に誘惑。
彼は彼女の誘惑に負けてソファーに押し倒すと突然奥から、
平井貞男が現れ私の妻に何をしている!と激怒。山田は留美子
にここに誘われたのだというが・・平井は愚かな人の罪だと
いう。例え体の一部を失っても魂が地獄に堕ちるよりもマシだ
ろうとして悔い改める為にも善良なことをするのだとして
寄付を求める。生活困窮者の為、社会的地位を守る為にも
寄付を強要してくる。山田は手持ちがないので・・としてコン
ビニが金を下ろしてくるという。そんな彼に平井は同行する。

一方右京は青木に付いていく。
冠城との約束を反故にされたので上司として付き合ってくれ
という青木。右京さんの行くようなところを知らないと。
右京はそれを断る中、突然目の前で江崎イトが自転車を乗った
男からひっくりに遭う。ハンドバッグが盗まれたとして倒れた
イトは"しぇめでくれー"と語る。前を歩いていた山田と平井
はその声を聞いて平井は助けるつもりはなかったのに、老人の
方言を聞いて思わずひったくりの男の自転車を押し倒す。
右京たちは駆けつけるが、その時には助けた男は居なかった。
青木はスマホで一部始終を録画していた。

平井と留美子はあの騒ぎの中、山田に逃げられたことを悔やん
でいた。鴨に逃げられるとは・・留美子は振り込み詐欺で稼いだ
方が良いのではないかというが・・平井は人間同士の駆け引きで
稼ぐことに意義があるとして妙な持論を語る。電話一本で老人か
ら老後の蓄えを取るなんて下の下だという平井に、留美子は神
を利用して美人局をするのもそうとうエグいと語る。平井はこれま
でにも散々詐欺をしてきたが刑務所で読んだ聖書でこの詐欺を
思いついていた。

伊丹たちはアパートで殺害された女性の件を捜査していた。
伊丹は索状痕を目にする。鑑識の益子桑栄によるとひも状の
もので頸部を圧迫したことによる窒息死で死亡推定時刻は
昨夜17時から19時だという。サイフも現金も盗られていない
ので物盗り目当てじゃないなというと怨恨の線かと呟く伊丹。
芹沢によると被害者は柏木優奈(25歳)、寝具メーカー勤務。
第一発見者は無断欠勤を心配して様子を見に来た同僚で、来た
時にはドアの鍵はかかっていなかったという。一ヶ月前にに
西高円寺で起きた殺しと似ているという。被害者は一人暮らし
の若い女性で盗られたものもなく部屋を荒らした形跡もない
という。

冠城は特命係にいくと伊丹さんたちは連続殺人事件を調べて
いるみたいだと語る。右京はこっちはひったくりの目撃の件
を調べており、被害を防いでもらったイトが助けてくれた人を
探しているのだという。右京さんも近くに居たのならその助けた
人を目撃しているのではないかというが、不覚にも暗くて
よく見えなかったという。しかしもう一人目撃者が居るとの
こと。青木の元に行き当時撮影していた動画を見せて欲しいと
すると青木は既にネットに動画を拡散していた。
「ヒーローは誰だ」という名目で話題になっていた。
しかし犯人が捕まるのを見届けずに走り去ったのは何故なのか。
動画を見ると男は誰かを呼び止めているように見えるという。
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ちょっとした郷愁感が漂うエピソード。
タイトルの「出来心」というのはちょっと違うような感じも
するけど・・どうなんでしょうか。

因果応報的内容だけど、決して平井という男は良い事をしている
訳ではないし、寧ろ親の死に目にも刑務所にいて立ち会うことが
出来なかったことを考えれば相当な親不孝者だ。そして出所した
今尚その悪さは留まることを知らず、反省した様子は無い。
それでも最後の一線だけは越えまいとして、ターゲットを老人では
なく若者に絞っているようだ。

悪さをするにも人の目を見て行え!みたいな馬鹿な信念を持ってい
る感じだけど、なんとなくそんな人物像を見ると、70年代前後の
ドラマのシナリオを感じさせる内容だった。隣にはどうやって
知り合ったのか分からないけど年の差の女性がソバに居て一緒に
詐欺を働いているなんてところは如何にも昭和的かも。

ネットや動画は便利なツールの一つだけど、それだけで目の前で
起きている事件の背後にあるもの全てを映し出すことは出来ない。
今回は青木の意図を含めてそんな人の心の闇的なものを探りだす
にはやはり人力が必要だったりすることを示唆するところが大きか
った。

インターネットは動画配信によって都合の良い人の顔を映し出す
ことが出来る。電話は声だけのやりとりで情報量はより限られる。
そして今回の平井たちの行う恐喝的詐欺は人と人が触れ合う事の
出来るものだということで、事件発生から事件解決のプロセスを
眺めていくと面白く出来ていた。
出来ればスタートはネットのそんな動画から始まっても良かったの
ではないかと。

幼少期には親の役に立って柿泥棒を捕まえる立場の少年だった頃を
思い出しては、つい同郷のお婆さんを見て、その思いから人助けした
形だけど、あれを人助けと言えるものなのかどうか謎なんだよね。
まぁその人にとっては人助けにはなったし、更に広義に取れば
この人物との関わり遭った男が連続殺人鬼だったということも有って
より大きな犯罪をつり上げたところは皮肉な感じかな。

しかし正直連続殺人鬼は人を殺しそうな顔はしていなかったな。
二人も殺していれば「目を見れば分かりそう」なものだけど、ドラマの
中では、風間杜夫さんが演じた平井は右京たちと接して後に彼らの
正体を察する際に「刑事達なら疑り深い目をしている」としていたけ
ど、実際にはその目は曇っていたようだ。その後の伊丹さんのドアップ
ショットがまたもの凄い眼力で、如何にも刑事って目をしているところ
が笑えた(笑)

そういえば昔はどの家にも柿の木が沢山なっていたような印象がある
な。でも誰も食べないでカラスのエサになっているんだよね。
今時の人は取るのも面倒だし高齢になって柿を取れないということも
あるのかな。柿とかもらうのだけど、私は柿が嫌いなので嬉しくない(+_+困った。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)

平井貞男 …… 風間杜夫 (NPO法人"青空らくだの会")
尾形留美子 …… 内田慈 (NPO法人"青空らくだの会"、貞男の協力者)
古内繁治(山田隆) …… 武子太郎 (連続殺人鬼)
江崎イト …… 野間洋子 (バッグひったくられる"しぇめでくれー")
柏木優奈 …… 由月杏奈 (25歳、寝具メーカー勤務、絞殺)
幼少期の平井貞男 …… 山下心煌
平井貞男の母 …… 南一恵
小山絵里香 …… 小宮結
ひったくを捕まえる警官役 …… 川並淳一

柳川公輔



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