相棒15
(2016年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第5話 ブルーピカソ

脚本/坂上かつえ 監督/藤岡浩二郎
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磯田オークションで、オークショナーの磯田一輝は久保田勝
の「農園と農夫」の絵画を競りに掛ける。最初は80万円から
だと・・冠城と右京は休日にもかかわらずこのオークション
を見に来ていた。冠城は右京が絵画コレクションとは知らな
かったというが私はコレクションではないとし私の部屋に有る
のは無名の風景画だけだという。休みの日までわざわざボクに
付き合うことはないという右京。
次の作品は三上史郎の新作「流砂」。300万円からだとすると
次々と値を上げる人が居る中、三上本人が現れこんな駄作に
金など出すなと語る。オークションからハズしてくれという
三上。磯田は社員の山本貴和子にその場を任せて三上の対応を
する。三上は磯田に眠れない事を告げ、何で今になってあんな
ものが出て来たのかと語る。磯田はあなたの行動によっては
全てが無になるんだぞとして落ち着くよう宥める。
磯田は三上の育ての親だとすると、芸術家は基本我が儘なもの
だという。貴和子はオークションを引き継いで作品を売って
いく。

夜三上は歩道橋から転落して亡くなる。

冠城は三上のことについて調べていた。1974年5月宮城生まれ。
右京は彼が三上のことを調べていることに気がつく。
昨日の真夜中に画家が亡くなったのだとし自宅近くの歩道から落下
したのだという。報道では自殺と他殺の両面で捜査していると
他人事のように語る。
伊丹と芹沢が特命係にやってくると、右京は二人に確かに昼間、
オークションに行ったことを語る。冠城は自分も居ましたと。
このオークションに行ったのは昨日が初めてだという。二人の
確執についてはどうなのかと問う。美術誌の記者の話だと三上
は磯田に対して何か一物を持っていたらしいという。
磯田が育ての親なんて冗談じゃないとし彼はタダのブローカー
だとして言っていたこと。二人の間に何か問題があるようだと。
首を突っ込まれると困るという伊丹はこれは特命係には関係
無いという。冠城はいつでも協力するというが・・

右京が歩くと事件に当たるというのは本当ですねと角田に語る
冠城。

磯田オークションに行く右京と冠城。社員の小川加奈は社長
は今会議中だという。
そんな中貴和子と磯田が言い合いしている姿を目撃する。
「根拠があるならだして欲しい。頭ごなしに偽物と言われても
客を納得させられない」
「本物は8年も前に盗まれている。20数億円の値がついた。それ
がなんで上海の路地裏で3万で売られるのか?」
「盗品が流れることはよくある」

そんな会話が一段落した後右京は磯田と接触する。三上先生の
ことなら朝話した以上のことはないとし、彼女(貴和子)に聞いて
くれという。小川に対して冠城は何を言い争いしていたのかと
問うと、客が持ち込んできた絵画の真贋鑑定で対立している
のだという。貴和子は本物の可能性が高いとしているが社長は
絶対に偽物だとしているという。作品は?「ブルーピカソ」です
と言うと右京は驚く。小川はピカソはスペインからパリへ友達
と渡ったが友達が自殺して暫く暗い絵を描いたのだという。その
頃の絵は陰気で寂しげな絵ばかりだとし、私は嫌いだという。
右京はヨーロッパでは青は神の色とされているとしピカソの命に
対する畏怖を青で表現したと言われていると語る。

貴和子から話を聞く。オークションでの三上の様子が気になった
事を語る。最近彼の周りで何か変わったことはあるのかと問う
と、私は半年前に入社したばかりなので三上のことはよく知ら
ないのだという。以前はシアトル美術館でキュレーター/学芸員
をしていたという。ブルーピカソを持ち込んだ客いるのかと問う。
右京は8年前に横浜の画廊から盗まれたものではないのかと問う。
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ネタ的には赤川次郎原作「美人刑事と泥棒亭主」のドラマ
化「泥棒に手を出すな!」の一エピソートって感じの内容
だったけど、冒頭からなんで右京がオークション会場に居たのか
の説明はなかった。絵画のコレクションそのものには興味はなく
ても鑑賞そのものには興味を持っているのかなって感じで、
色々と知識を持っているのが右京さんだけど。

恐らく今回の被害者の画家は、ピカソの育ちと似ていて、青の
時代の作品群とは似ても似つかないけど、同様にした苦労人であって、
そして影のある時代を送って来たが故に犯罪に手を染めた後の
作品群の中にも名声を得るような悲哀や絶望が込められていたという
ところで評価が出てしまったところもあるんだろうなと思わせる。

ただ人は悪いことは出来ないもので、名声を得る度に罪悪感は
広がる。不安の種がどんどん広がっていくというのは人間である
証拠。それがまるで無いオークショナーで経営者の男というのは
ある意味では社会病質者なんだろうな。

あれだけよくしてくれた師匠の様な人を裏切れるのだから
大した人物だなって感じ。斉藤陽一郎さんが「北の国から」の純くん
役の吉岡秀隆さんにしか見えないところが有って、あのドラマも
苦労人たちのドラマだったなとシミジミ。

意外なところで繋がりが有り、それが8年とか25年の時を経て
蘇る関係という意味ではまた興味深いものが有り、色んなところで
嘘と虚勢が混じり込んでいる中で、偽ものの偽物はやっぱり偽物だ
ということを見事裏の裏の裏をついて推察した右京もまた凄かった。

身につまされるという訳では無いけど、
「人を感動させるにはまず自分を感動させること」
「普通は本物かも知れないという期待の下で様々な調査をするもの」
というドラマの中のセリフは真理を語っていて、これらに反すること
をしている人物たちは何らかの不正を働いていたことは明らかなんだ
ろうなと。

森尾由美さんがまるで年を取らないところも凄い(笑)

タロットカードの件とか鋲を見破る師匠だからこそ見つけて欲しかっ
たみたいな感じだけど、流石にオリジナルがない訳だから、見破れ
と言っても無理があるよな。描いた時代にないものが描かれていれば
また違うのだろうけどね。

そういえば「ブルーピカソ」という事に関連しブルーに対する見解も述べら
れていた。
気分が乗らない時に人はブルーって使う時もあるけど、基本的にブルーと
言われると爽快感を感じるイメージもある。血の気が引くときには人間は
真っ青になるのでそういう意味ではブルーっていうのも間違いではない
のだろうし、その国ごとの語源などについて考察していくと面白いのかも知れない。
角度を変えて考え方の視点を変えると一つの物事もまた別のものに見える
というところで、右京さんはそれが上手く切り替えて出来る事なんだろうね。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長->官房長付。警視監)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省事務次官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)

三上史郎 …… 斉藤陽一郎 (画家、宮城出身)
古澤俊文 …… 堀内正美 (古澤画廊の主人)
山本貴和子 …… 森尾由美 ("磯田オークション"社員)
磯田一輝 …… 坂西良太 ("磯田オークション"社長)
小川加奈 …… 仲村瑠璃亜 ("磯田オークション"社員)
筒井宏次朗 …… 下総源太朗 (不動産ブローカー)
中村沙織 …… 新橋耐子 (ブルーピカソの鑑定を求める)
井上 …… 小林尚臣 (喫茶店"CLOWN"のマスター)
オークション参加者 …… 南風佳子 (三上と磯田のことを話してくれる)
シニアハウスパシフィック湘南荒磯スタッフ …… 井上あかね
黄緑のランニングマン …… 荒川浩平



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