相棒15
(2016年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第9話 あとぴん〜角田課長の告白

脚本/宮村優子 監督/橋本一
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--- 34年前 ---
橘はテンモン(廣)、角田に急げ!という。キシンは合宿所の門限
ギリギリだと。富永はあとぴん(小林)にまたどやされるぞと。
しかしテンモンは最後まで星空を見ていて角田は彼を連れて戻る。

--- 現在 ---
産廃場。
被害者は鈍器で殴られ倒れてコンクリートに頭をぶつけたことが
直接の死因だろうという伊丹。鑑識の益子桑栄は死亡推定時刻
は夕べの9時から11時だという。芹沢は雨が上がった後ですね
と。遺留品は・・デジカメのメモリカードを抜き取られてい
ること。また期限切れの免許証が有り、そこには光田廣と書か
れていた。

特命係。
右京たちが出勤前に角田がコーヒーを飲んで待っていた。
冠城を青木のところに追いだして角田は右京に相談する。冠城は
のけものにされたことを知りあの人は中学生かと突っ込む。
角田は被害者の光田は中学時代の同級生だと説明する。産廃場の
被害者は課長のお知り合いですかと右京。写真部で一緒だった
とすると彼はあとぴん(小林晴彦)の娘・光田天子と結婚した
という。美術の教師。何故あとぴんというのかと問うと、
カメラのピントが後ろにずれた感じの人だという。
青木によると光田は処理作業員として働いていたこと。家出人
リストの中に名前が有ったという。20年前に家族の元から姿を
消して行方不明だったこと。奥さんと一人娘(光田窓夏)は、
あとぴんと暮らしていたという。そのあとぴんも今はホスピス
で余命幾ばくもなく、早めに情報が欲しいという。
光田のことをあとぴんも気に病んでいたと。

伊丹と芹沢は現場付近で聞き込みする。鈴木は死んだ人は怖い
顔にしょっちゅう暴行されていたという。作業員を監督してい
た男だと。佐々木は不法投棄させない為に監視しようと思って
自分たちは写真で現場を撮影していたという。喫茶店のマスター
の尾崎は彼が現場監督に金を渡しているのを見たことがある
という。脅されていたのか・・我々は産廃場がいけないと言って
いるのではなく不法投棄を取り締まって欲しいだけで、ここの業者
は時々やるのだという。尾崎は乱暴していた男よりも被害者の
方が怖かったとし、カメラを撮影してくる時に威嚇するような態度
を見せていたという。

34年前の帝都新聞・西東京支局のデータに光田のことが掲載され
ているという。昭和57年青少年写真コンクール・・14歳の時に光田
は大賞を受賞しているという。

現場監督の仁藤景雄を取り調べる。
光田は一ヶ月前から街金から金を借りていること。30万円。借金が
かさんでいるなと。
益子から角田は現場で押収してきた遺留品を特命係に持ってくる。
益子には貸しがあるから・・と。その中には34年前のコンクール
の写真が有りそれは火事の写真のようだった。近所の火事の現場
を撮影してその写真で賞を取ったこと。写真は経営する工場と
為す術無く哀れな被災者と写ったもので近所の火災現場を撮影
したものだが実はこの男性による保険金目当ての自作自演の
放火犯だったという。仁藤と聞いて聞いた名字だと思ったが
あの産廃場の人物は放火犯の息子だという。角田の同じ中学の
先輩であとぴんの教え子だということだった。
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時間が無いので完結に・・

脚本は宮村優子さん。
「あんたバカ?」の"みやむー"ではなく・・

角田さんの過去を取り上げた話で、家庭を崩壊させたものが
それぞれ思っていた事とは違う事実が浮上していくという・・
シナリオとしては面白い内容だけど、登場人物にして見れば
罪悪感によって縛られているものばかりで、年を重ねても尚、
その思いにとらわれているというのはちょっと気の毒な感じ。

過去の記憶というのは曖昧で時に事実がねじ曲げられたまま
で訂正されずに時間が過ぎて正すものがいない限りは曲解された
ものが事実として流れて行ってしまう。時間の流れをせき止
めて留めることが出来るのは写真やカメラの特性でもあるけれど
一枚の写真が全ての事実を照らすというものでもなく、一つの
事件を通して芋づる式に過去の事件の真相が明かされていく
という秀逸なものだった。

罪を犯すものとそれを守ろうとするもの。
結局事実から目を背けるとろくな事は起きないという教訓のような
モノが有るし、幼少期故に守るべき人が必要だったこともまた
事実だし、幼い子供ながら大切な人を守る為に色々と決断したり
決断を迫られたり・・時に欲心から来るものが罪悪感として
残ってしまったり・・

カメラが好きなのでフィルムカメラは使ったことがあるけど、
今のようにボタンを押すだけでなく、1枚撮影したらにネジを巻く
ようにして、次のポジションに駒を進めていかねばならないんだ
よね。

被害者がカメラを辞めた理由もみんなが思っていた事とは違っていた。
放火に関してもみんなが思っていた事とは違っていた。
過去に於いても現在に於いても暴力を振るっているとか恐喝されて
いるとか思っているものも全ては見た目通りのものとは違うし、
悪意あるものが証言すれば事実の様に聞こえてしまうというのも
また人が介在する限りは事実が事実として伝わっていくことの難しさ
を感じる。

周期的に見て34年ブリに訪れた天体現象を見て、それを機会に
やり直したいと感じていたものの残念ながらそれが叶わなかった。

出来事の裏に潜んでいる何かを探り挙げるというのは、あとぴん先生
へのリスペクトが含まれていたのかも知れないけど、いつもの右京
さんなら犯人を見つけるまでが仕事だとしそうな感じもするね。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目"花の里")

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)

仁藤景雄 …… 相島一之 (現場監督)
光田廣 …… 樋渡真司 (産廃場で撲殺、角田の中学の同級生"テンモン")
小林晴彦 …… 柴田次郎 (当時の恩師"あとぴん")
光田天子 …… 中村有沙 (廣の妻、恩師・小林の娘)
光田窓夏 …… 松永玲子 (天子と廣の娘、結婚式を控える)
橘 …… ふるごおり雅浩 (写真部同級生・カメラ店)
富永 …… 松本健司 (写真部同級生)
輝心 …… 海宝弘之 (写真部同級生・輝心写真館)
尾島司 …… 桐生コウジ (喫茶店のマスター)
鈴木 …… 田尾きよみ (目撃者は語る)
佐々木 …… 舟久保信之 (目撃者は語る)
仁藤の愛人 …… 八代みなせ (デジカメの中には・・・)

幼少時代の窓夏 …… 石井心咲 (私は見た!、父と祖父のシーンを・・)
少女期の天子 …… 赤月紗英 (みつめ合う・学生時代)
少年期(14歳)の廣 …… 今井稜久 (星座)
少年期の富永 …… 金井勝実 (鉄道の流し撮り)
少年期の橘 …… 佐藤元大 (校内スキャンダル)
少年期の輝心 …… 藤代隼人 (ポートレート命)
少年期の角田 …… 吉田晴登 (黒縁眼鏡)



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