いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
(2016年1月期・フジTV・月曜21時枠)

脚本:坂元裕二
プロデュース:村瀬健
演出:並木道子 石井祐介 野舞

http://www.fujitv.co.jp/itsu_koi/index.html





第2話 東京編スタート都会の現実、募る想い…もう一度会いたい
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曽田練は杉原音の手紙を届けに北海道に行く。
音は里親の元で過ごしていたが、無理矢理、里親に金目的の結婚
をさせられる事を知り練と共に故郷を捨てて東京に行く。
しかし東京に戻り音が友人を訪ねている間に、練の元には幼な
じみの小夏が現れてそんな彼女と消えてしまう。音は一人東京
に置き去りにされた格好だった。

1年が経過。
練は幼少期のことを夢に見る。母親が亡くなり父親が再婚した
為に祖父の健二に預けられて育てられたこと。練は健二が作る
ダイコン畑を耕す仕事を手伝っていた。お前は親が居ないと
する健二は土を触って生きろと語る。その為によく寝て、よく
食べて、よく働くのだという。山がお前を守ってくれると。

目覚めると隣では晴太が寝ていた。
小夏は静恵が大学芋を作っている事を知り、練の大好物だと
いう。練は晴太におばあを紹介し、小夏とは幼なじみだと語る。
デザイナーになると言って会津から出てきたのだという。練は
小夏を助けたせいで人とはぐれたのだという。
静恵は晴太に対して元々この庭は何もないところだったとし、
練は寂しい人を見ると放って置けないのだという。
小夏は最近おじいに電話したのかとし、風呂が壊れていたこと
を語る。しかし練は金がないとし、何年も仕送りできていない
のだという。それでも練の顔を見たら喜ぶハズだとし連絡すべき
だと言われる。

一方音は駅から徒歩20分6畳1Kのアパートを居場所にしていた。
「私は私の部屋を手に入れた」、「東京は外にいるのよりも部屋の
中の方が寒い気がする」というのが音の感想だった。
しかも「東京のコンビニには駐車場がない」「電車で学校に通う小
学生がいる」「横型の信号機」「迷路のような地下鉄」「人身事故
で舌打ちする人がいる」「丸井のことをオイオイと読んで笑われた」。
それでも1年あの人に会えていない。そんな彼女は有料老人ホーム
"春寿の杜"で働いていた。
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かなり面白い作品になっていますね。
どちらかというと韓国ドラマっぽい設定で、貧富の差が前提と
して存在していて財閥のボンボンみたいな人物が出たり、職場いじ
めに耐えつつも祖父の為に歯を食いしばり、そのストレスのはけ口を
他人に向けるどころか優しさに変換しているところなど、
性格付けを見ると、親が無くても子供がよく育っているという
殺人事件のドラマとは逆の設定だ。

ドラマでは何と言ってもそれぞれの持つ価値観の違いだと思う。
冒頭から音が上京して感じた東京での印象を通して田舎に住んでいる
人たちとの違いを描いたけれど、何よりも恋愛に於いては1年経って
も練のことを忘れていない彼女の姿と対照的に、職場の女性は
1週間逢っていないだけで別れを決めようとしているところなど、
時間の進み方が違ったりする。そして何よりも利己的で、他人を
犠牲にしている職場の人たちを見て居ると、本当に胸くそ悪い気分
にさせられるのだけど、これも恐らく音や練の姿を見て改心していく
流れがあるのだろう。佐引なんて見るとホントぶん殴りたいキャラ
の筆頭のような存在だけど、この人も虚勢を張っていて、自分の
世界だけでは大物気取りで自尊心を満たしているんだろうな。

最終的にはそれぞれの人は悪い人ではないみたいなことが描かれる
のだろうけど、本音を吐露してぶつかり合うという坂口さんらしい
シーンが見られるのかな。

すれ違いの演出もまた韓国ドラマっぽく、何度となくすれ違い、
近くにいる足音は聞こえているのになかなかそれが混じり合わない
もどかしさを感じるけど、それがまたドラマを盛り上げたりするん
だよね。出来ればもう少し逢いたくても逢えないところを引っ張って
欲しかったけど、日本のドラマのスパンからすると一話で離れて
一話で再会しないと描きたいところも描けなさそうだものね。

冒頭での意図した演出のトリックはすぐに分かった。北口と西口の
クリーニング店に互いに通っていたこと。
北海道のパンフを通して互いに目を通して光景を印象づけて、
いつ会えるのか、どんなシチュエーションで会わせるのかを視聴者
に期待させる演出は素晴らしいものがある。

音と練が結ばれて欲しいとする反面、貧乏人同士が結ばれるよりも
互いに金持ちと繋がった方が今の彼らには求めているものに近づく
ものがあるのだろうし、単純で難しい問題を投げかけているな。

懐かないからといって犬を捨ててしまう女性が居たりして、
その犬を通して再会の演出を用意する所など、興味深い流れを作った
ね。


杉原音 …… 有村架純 (シングルの母を失い北海道へ、関西弁)
曽田練 …… 高良健吾 (運送会社"柿谷運送")
日向木穂子 …… 高畑充希 (広告代理店勤務、練の彼女?)
井吹朝陽 …… 西島隆弘 (チャラ男)
市村小夏 …… 森川葵 (練の後輩、デザイナー目指して上京)
中條晴太 …… 坂口健太郎 (練の友達、流浪の旅)
神部正平 …… 浦井健治 (大手介護施設"春寿の杜")
井吹和馬 …… 福士誠治 ("春寿の杜")
加持登 …… 森岡龍 (運送会社"柿谷運送")
船川玲美 …… 永野芽郁 ("春寿の杜"、彼氏がいる)
丸山朋子 …… 桜井ユキ ("春寿の杜"、音の先輩)
源大輔 …… 我善導 ("春寿の杜")
西野美織 …… 林田岬優 ("春寿の杜")
白井篤史 …… 安田顕 (北海道・八羽根町・地元の名士)
林田知恵 …… 大谷直子 (音の養母)
曽田健二 …… 田中泯 (練を育てあげる、祖父、福島)
林田雅彦 …… 柄本明 (音の養父)
佐引穣次 …… 高橋一生 (運送会社"柿谷運送"、金髪)
神谷嘉美 …… 松田美由紀 (運送会社"柿谷運送"社長)
井吹征二郎 …… 小日向文世 (介護事業、富豪)
仙道静恵 …… 八千草薫 (練の良き理解者)

廣井 …… ハマカワフミエ
幼少期の練 …… 池田優斗

小間千代、滝沢めぐみ、小貫加恵
増田具佑、菅谷和礼、林亜紀子、鐘々江佳太、吉谷絵莉子



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