いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
(2016年1月期・フジTV・月曜21時枠)

脚本:坂元裕二
プロデュース:村瀬健
演出:並木道子 石井祐介 野舞

http://www.fujitv.co.jp/itsu_koi/index.html





第5話 第一部・完結編突然のさよなら…訪れた運命の日
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練は音に対して好きなったことを告げるが、その事を諦めなきゃ
いけないのが苦しいことを告白。晴太は小夏に練くんを君の物
にしてあげるとしボクと契約しないかと告げる。木穂子が練と
の関係に集中することになる。

朝陽は夜、音に逢いたいとして呼び出す。
望遠鏡を用意していた彼は2人で天体観測をする。東京でも風の
強い冬の夜には星座が見えるのだという。ベテルギウスは
640年かかって地球に光りが届いているという。将軍足利義満
が金閣寺を建設した頃だという。好きな人のことを思いながら
見る星は綺麗でしょ?片思いだとなおのことだという朝陽。
しかし片思いは扁桃腺の様で何の役にも立たないという。
ボクのことを好きにならないかとしボクならば君に両思いをあ
げられるという。しかし音は自分は一度人を好きになるとなか
なか好きではなくならないのだという。朝陽はボクも同じだと語る。
しかしホンの少し未練的なものが有るとし、猪苗代湖のことを
口にする。私の好きな人が生まれた所で一緒に行きたかったと
いう。ボクじゃダメかとすると生まれた所は何処なのかと尋ねる。
すると戸越銀座だと語る。

加持、佐引、練は引っ越しの作業でマンションのエレベーターを
使っていると健二という男が現れ、お前らのせいでエレベーター
が来ないと怒る。そして土下座しろと練に要求する。練が不条理
な要求に従わないのを知ってか知らずか、佐引が代わりに土下座
をする。こんなのくだらない儀式で、逆に相手のことを馬鹿に
しながら頭を下げれば良いことを語る。

小夏は晴太に練を好きになった時の経緯を語る。
有るときから父親が帰ってこなくなったこと。母に聞いても何も
教えてもらえず練がお祭りによく誘ってくれたという。純粋で
マジメで約束は守る。練は初恋の相手だという。ボクが小夏の
思いを叶えるという晴太は彼女のことが好きだからだという。
練が地元に帰るようにするか、練が好きな人を階段から突き落
とすことだという。勿論ジョーダンだというが・・・
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坂元裕二さんの近年の作品は何というか怖いくらいに外れが
無くなったな。暗黒の90年代中盤から2010年のNHKのドラマ
「チェイス」を撮るまではこれと言った作品が無かったけど、
突然覚醒してしまったようだ。

ドラマのキャラクターの役割、性格付けはハッキリとしていて、
自分の幸せの為に奔走する人か自分の愛する人の為に奔走する人
とがはっきりとしていて、他人の為に何かをしようとする現代人が
居ないとされる風潮が有る中でも、主人公は自分の境遇にも腐らずに
生きて居る姿に共感を覚える。昭和の人はこういう人が多かった
のだろうけど、現代人にとっては自分が一番大事であるとする価値観
が根付き、こと恋愛に於いてはその傾向もハッキリしている。

ウソから成り立つ幸せはあるのかどうか。
そんなテーマのドラマが何度となく描かれてはいるのだけど、
主人公たちの性格を見ると主要メンバーはきっちりとした信念の
下で動いていることも有ってか、そんなところから成り立つ幸せは
決して無いという固定的な観念があるような感じ。

現代の若者たちが普通の生活を求めることさえ難しくなっている今日。
政治家たちばかりが花を咲かせて日本は豊かだとしているけれど、
非正規雇用者の数を見れば日本の経済が如何に異常な状況なのかが
分かるというもの。

実はこのまま静かにドラマは進行するものとばかり思っていた。
勿論そこには震災による外的要因によって、悲しみとか出会いと別れ
なんかも有るとは思っていたけれど、こんな形で小夏が爆弾を投下する
ことによって一気にその場を焦土化するとは思わなかったし、
真理を突かれた分なかなか反論出来ないところもまたもどかしい所。
しかしその後に起きる現実に比べればこのくらいのことは正直
何でもないのだろうね。
音がカレンダーを3月にめくったと同時に何かのスイッチが入って
しまったかのようだ。

小夏は真理を突いているのだけど、人の内情までは把握していない。
それでも晴太の策略に乗せられて、一気に自分たちのペースに
持ち込もうとした結果、結局自分は本当の気持ちに気づかせてくれる
良い人としてではなく悪い人というイメージが付いてしまった。

一番謎なのは晴太という人物。この人何をしているんでしょうか。

そして何より感心するのは佐引の使い方かな。
この人も同郷の人なのか。それとも引っ越し屋さんという手前、
意外とよくその土地を訪れているだけなのか。

ドラマの展開自体は何となく先が読めるところも有り、じいちゃん
の土地を取り上げたのは井吹家の人だったりするのかなとも
思えるけど、草薙くんの韓国ドラマのリメイク版「銭の戦争」
じゃないけど、それを取り返す為に人格が変わってしまうのかな。
自分が闇に落ちた際にたぐり寄せてくれる人の存在が音であり、
そこが原点だということを思い出させてくれるのかな。

彼の生まれた土地・猪苗代湖が見たいと語り故郷に帰る帰らない
という話になったときには「東京ラブストーリー」を彷彿とさせた
けれど、流石にあんなバブリー時代のドラマと違ってここでは
相当シビアな展開が待っていた。

ドラマでは一気に2016年に飛んだ。
空白の数年間をどのような形で描いていくのか楽しみだ。


杉原音 …… 有村架純 (シングルの母を失い北海道へ、関西弁)
曽田練 …… 高良健吾 (運送会社"柿谷運送")
日向木穂子 …… 高畑充希 (広告代理店勤務、練の彼女?)
井吹朝陽 …… 西島隆弘 (リハビリ療法士)
市村小夏 …… 森川葵 (練の後輩、デザイナー目指して上京)
中條晴太 …… 坂口健太郎 (練の友達、流浪の旅)
神部正平 …… 浦井健治 (大手介護施設"春寿の杜")
井吹和馬 …… 福士誠治 ("春寿の杜")
加持登 …… 森岡龍 (運送会社"柿谷運送")
船川玲美 …… 永野芽郁 ("春寿の杜"、彼氏がいる)
丸山朋子 …… 桜井ユキ ("春寿の杜"、音の先輩)
源大輔 …… 我善導 ("春寿の杜")
西野美織 …… 林田岬優 ("春寿の杜")
白井篤史 …… 安田顕 (北海道・八羽根町・地元の名士)
林田知恵 …… 大谷直子 (音の養母)
曽田健二 …… 田中泯 (練を育てあげる、祖父、福島)
林田雅彦 …… 柄本明 (音の養父)
佐引穣次 …… 高橋一生 (運送会社"柿谷運送"、金髪)
神谷嘉美 …… 松田美由紀 (運送会社"柿谷運送"社長)
井吹征二郎 …… 小日向文世 (介護事業、富豪)
仙道静恵 …… 八千草薫 (練の良き理解者)

津村知与支、松本穂香、吉田幸矢、河原田ヤスケ、池田優斗
カゴシマジロー、橋本拓也、高木眞之介、滝沢めぐみ
鐘ヶ江佳太、菅谷和礼、吉谷絵莉子、飯尾夢奏、新川晃啓
山之内力哉、香田万春美、大谷麻衣



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