わたしを離さないで
(2016年1月期・TBS・金曜22時枠)

原作:カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
脚本:森下佳子
音楽:やまだ豊
プロデューサー:渡瀬暁彦、飯田和孝
演出:吉田健、山本剛義、平川雄一朗

http://www.tbs.co.jp/never-let-me-go/





第2話 因縁の再会…20年前の嘘が今、3人の運命を動かす
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恵美子は生徒たちの前であなたたちは普通の人じゃないとし、
生まれながらにして果たさねばならないある使命を負っている
という。提供という使命。使命を全うするのは当たり前のこと
だと言われる。

--- 現代 ---
美和の元に恭子が訪れる。
美和は肝臓を提供した為に貧血気味で寝たきりだった。看護人
のリクエストを恭子で出していたのだという。恭子はプリンを
持って行くと美和は私が好きだということを覚えていてくれた
のかという。恭子はデータに書いてあっただけだというが・・
何故か美和の部屋にはかつて友彦からもらったCDが置かれていた。
陽光学苑時代にもらったハズのものだった。
美和は恭子に対して「"あれ"誰が犯人だったと思う?」と問う。
「20年前の森の殺人鬼事件・・・4年生の展示会の後のことだ」
という。恭子はそんなことを言い出す彼女のことに理解し難い
ものを感じる。

--- 陽光学苑時代 ---
自らの体の一部を提供する天使・・龍子は友彦に対して「君たち
はホントのことを教わっていない」と語っていた。
広樹は何で俺たちの体をやらないといけないのかと語る。
生まれ付き決まっているからでしょという美和。

一方龍子は恵美子の元に行くと、あんなことを毎年しているの
かと問うと、偽善にも程があると激高する。我が身を捧げて私たち
を救ってくれるのは素晴らしいことで、天使と呼ばずに何という
のかと反論される。

花は提供は誰かの命を救えることで良い事だという。珠世は提供
して死んだりしないのかと問う。心臓をとられたりして。
誰かが生き延びて私たちが死んだら意味がないという美和。
あげても大丈夫なところをあげるだけでしょという花。
そんな中、聖人、友彦、広樹は塀の向こうのことについて話
あっていた。殺人鬼なんてホントにいるのかと。先生が毎日
森を通って来ているんだぞと。
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子供たちに対して使命のことを語る恵美子はまるで悪びれた
様子一つ見せず、子供たちのことを別の意味で天使だと語る。。
それに異議を唱える龍子だが・・・

カズオ・イシグロさん原作の「日の名残り」はもの凄く面白かった
けど、このドラマは正直まるでリアリティを感じず、何故こんな
事をしてこの事実が公にされないのかというところに違和感を覚え、
龍子がその事実を目の当たりにして、何のアクションも起こそうと
しないところもまた不自然極まりない。。

人が人に感心を寄せず無関心な世の中・世界観というものが背景に
有って、子供たちも世間から見放されて、関心をもたれないことを
利用して大人が都合良く子供たちを無機的でロボットのような人間像を
作り上げているのだろうけど、自我が生まれていく色んな
転換点の中で、新たな価値観を吹き込むことで複雑な葛藤点を
ドラマの中では繊細に描いている感じはするけど、少々上述した
ように倫理観を遙かに超えたところで行われているので、それが
理解出来るかどうかというところで、このドラマは見て居る人を
敬遠させてしまうところがある感じがする。

もっと年齢層が低い子供たちならばそんなウソにも騙されそうだけど
この設定だとどんなに情報を遮断して自らのエゴを押しつけても
色んな性格の人が出てくると思う。
このドラマの設定が成り立つのは、孤児である子供たちを経済的理由
で助けることが不可能なキャパを持つ国であり、中国の農村とか、
壁が崩壊した当時の東ドイツ辺りだと何となく納得できそうなところが
あるのだけど、日本のキャパシティを考えると、貧富の差が近年叫ばれ
ているにしても、まだまだこの倫理観を打ち破るには至っていない感じ
がする。

作品の中でロベルト・バッジョを取り上げた。
先日まで金満中国の広州恒大の監督を務めて来たリッピ監督の
インテル時代のバッショとの確執を考えると、サッカー好きには
面白い使われ方をしたのかなとも思えるのだけど、話を聞いただけ
でバッジョのこと、サッカーのことを子供たちは理解出来るのか
どうか。

また子供たちが外に出ることで命が奪われてしまった。
まさか子供たちに配っていた靴の中にGPSが組み込んであるとは
思わなかったけど、「里子・里親制度」のように、昨日まで当たり前
のようにいた生徒たちが突然居なくなるという違和感と恐怖感
というのは存在しているのだろうね。

鬼は人の心の中に居るとは言うけど、まさに怖いのは人々の中に
救うエゴそのものだったりするんだろうな。

今後生徒たちの間で葛藤していくシーンなんかも有るのかも知れない
けど、そこまでに視聴者が離れないか心配な程、内容としては退屈
なところでドラマを描いている。
そもそも先日までいじめられていた友彦はなんで他の子と和解して
いたのかな。

あの芸術発表で美和が作った手を見たマダムはまるで自分に
救いの手を求めているような責めているような手の形をしていて
怖いところが有ったのだろうか。


保科恭子 …… 綾瀬はるか
土井友彦 …… 三浦春馬
酒井美和 …… 水川あさみ

恭子 …… 鈴木梨央 (幼少期・優等生)
友彦 …… 中川翼 (幼少期、絵が下手でいじめ)
美和 …… 瑞城さくら (幼少期・リーダー格、次郎先生が好き)
花 …… 濱田ここね (幼少期、美和らと連む)
珠世 …… 本間日陽和 (陽光学苑の子、美和らと連む、ものまね)
真実 …… エマ・バーンズ (幼少期、一匹狼)
広樹 …… 小林喜日 (陽光学苑の子、ガキ大将)
聖人 …… 石川樹 (陽光学苑の子、広樹の連む)
克枝 …… 山野海 (給食のおばさん)
"マダム" …… 真飛聖
堀江龍子 …… 伊藤歩 (陽光学苑・教師)
山崎次郎 …… 甲本雅裕 (陽光学苑・美術部の顧問)
神川恵美子 …… 麻生祐未 (陽光学苑・校長)

荒川ひなた、宇野光星、小国ひなた、金岡澪生、金山仁、川上奏龍
山西希林、小藥英斗、塩浦愛彩、鈴木元治、竹下拓真、武田麻充
塚平詩樹、中里美歩、橋本優里、長谷川斗輝、林一太朗、前田一誠
松田北斗、丸山大虎、渡邉陽、渡部徳子

河原健二、今村均、井ノ口知佐、赤楚衛二



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