東野圭吾・3週連続スペシャル第一弾!“11文字の殺人”
(2011年6月10日・金曜21時・フジテレビ)

脚本:黒岩勉
プロデューサー:小池秀樹
演出:林徹
企画統括:立松嗣章

http://www.fujitv.co.jp/higashinosp/index.html



「あの日恋人はなぜ殺されたのか?無人島より殺意を込めて…1
1文字に込められた悲しき殺意!クルーズツアーで何が起きたの
か?」 

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女流推理作家・結城梨花子はこの日、サイン会をすっぽかし
恋人の
川津雅之と会う。そこで雅之から命を狙われているかも
知れない事を聞かされる。
彼女がサイン会に出席しなかったのは、もちろん恋人と会う
目的もあったが、作家として三年間、一文字も書いていない
事もあった。最後に出版したのは
"廻りの森"
雅之は梨花子に対して、推理小説は善と悪がハッキリとして
良い事を告げ、しかし現実はその境界線は曖昧だと告げる。

梨花子を担当するのは
英林出版萩尾冬子
サイン会をすっぽかした彼女の変わりに謝罪して回る。
梨花子に逢うと一体何をしていたのかと問い、恋人と居たこと
を知ると、紹介した手前言いづらいがあまりのめり込むなと
告げる。
そんな梨花子の元に川津から電話が鳴り、今から逢えないか?
と言われる。今、編集の人が来ているので難しい事を告げると
彼は電話を切る。

翌日梨花子の家のチャイムが鳴る。
目の前に立つのは
深川東署の刑事・鎌田だった。
今朝、雅之の遺体が
小石木川の萬年橋付近で見つかったと
いう。川には
"無人島より殺意を込めて"と描かれた手紙が
流れていた。
梨花子は鎌田から事情を聞かれる。
しかし話をしている内に、彼は連載の仕事を失っていたとか、
200万円の借金をしていたなど、彼の知らない一面を知らされ
る事になる。
冬子は梨花子の家にやってくるが、彼女が携帯を置いたまま
家を後にしていることを知り、彼が亡くなって発見された
萬年橋に来る。彼女は後追い自殺しようとしているのかと思い
声を掛ける。私も大切な人を失ったので気持ちが分かると
いう彼女に対して、決して飛び降りたりはしないと告げる。
彼は殺害されたのだとして、その真相を突き止めると告げる。

梨花子は雅之の妹の
幸代に会うと、彼の私物を形見分けされる。
するとそこに
新里美由紀という女性がやってきて、自らを
雅之と一緒に働いていたカメラマンであり、仕事の大切な資料
を雅之が持っているのだという。しかし梨花子は既にその資料
を宅配業者に依頼して自宅へと配送してしまった為に、翌日
18時にウチに取りに来て欲しいと告げる。すると美由紀は
不思議なことに、私が到着するまで荷物は開けないで欲しいと
頼む。

幸代から手渡された雅之のスケジュール帳を調べると、亡くなる
前日に
山森スポーツプラザに行っている事を知る。足を怪我
しているのに何故スポーツジムに行っているのか。恐らく
社長の
山森卓也に会いに行ったのではないか?と冬子は語る。
取材を名目にアポを取り彼に会いに行く。

事務に着くと秘書の
春村志津子が対応に出る。
仕事が立て込んでいて一時間ほど面会時間に遅れるという。
その間にジムを体験して欲しいと言われる。
スポーツインストラクターで、社長の弟である
石倉祐介から
仕事を受けながら体験する。

そんな梨花子が取材している間に、彼女の部屋には合い鍵を
使って何者かが侵入する姿があった。

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梨花子は恋人の川津雅之が殺害された事を受けて、その真相
を探っていくウチに、彼女の回りで奇妙なことが起こり始める。
そして初音島でのクルーザー転覆事故の存在が明らかになって
いく。

金曜プレステージで東野圭吾三部作の一つ「11文字の殺人」。
来週・再来週には「ブルータスの心臓」と「回廊亭の殺人事件」
を放送するようだ。
金曜日に録画しているドラマが8本も有るので、普段はスルー
している所だけど、東野圭吾さんの作品だし見ておきたいな
と思い録画してみた。

ドラマとしてはオーソドックスな流れで、調査していくウチに
過去の一つの事件が発端になっていくというもの。そこに隠さ
れていた真相は何なのか。そしてそのツアーに参加している
リストのウチ、一人の存在が行方不明の中、それが誰なのか
という事に焦点が当たる寸法だ。

ドラマとしては娘の目が見えないことを利用し、事件当日の
矛盾点を指摘していくところとか、竹本幸裕から恋人を
守ろうとした金井が、再度犯人に対して同様の事をして
二つの命の生死に関わってしまう所など、皮肉な感じがして
面白くできていた。金井は梨花子の事も階段から突き飛ばして
いるし、完全に突き飛ばし魔化している所が滑稽だった。

ただそれ以外に突っ込み処が多く、女性が犯人役と推理して
解決する役の二つを担っている事で、ちょっと女性一人でやる
のは難しいのではないかと思わせる部分が多いこと。

またクルーザー事件に於いても、あの壮絶な状況の中で、
一晩付き合えなんていうギラギラした欲望を出すというのは、
心理学的にも男性心理的にもあり得ない気がする。

愛するが故に彼のことを無条件に信用し盲目と課しているのか
彼が浮気しようとしていた辺りは完全にスルーして復讐する
事に説得力はあるのだろうか。

梨花子と冬子の関係性がとても良かっただけに、冬子の死は
衝撃だった。特に梨花子にとっては夫と別れて、恋人は殺害さ
れ、親友のように接して来た編集人を殺されたという事で、
精神的負担は相当大きそうな気がする。そんな状況でも立ち
直れるだろうか。

結城梨花子 …… 永作博美 (女流推理小説家)
萩尾冬子 …… 星野真里 (英林出版・編集者)
山森卓也 …… 石黒賢 (山森スポーツプラザ社長・婿養子)
春村志津子 …… 安達祐実 (山森の秘書)
山森正枝 …… 赤間麻里子 (山森の妻)
山森由美 …… 日向ななみ (山森の娘・吾妻女子大付属中学)
金井三郎 …… 原田龍二 (器具のメンテナンス)
石倉佑介 …… 伊藤高史 (卓也の弟・インストラクター)
坂上豊 …… 浅利陽介 (俳優)
竹本幸裕 …… 東根作寿英 (フリーのルポライター)
竹本正彦 …… 野間口徹 (幸裕の弟)
篠原功一 …… 眞島秀和 (梨花子の元夫、文筆家)
川津雅之 …… 長谷川朝晴 (梨花子の恋人、フリーライター)
川津幸代 …… 杏さゆり (妹)
鎌田 …… 矢柴俊博 (深川東署・刑事)
田村 …… 佐伯新 (編集者)
喜多見 …… 遠山俊也 (東京の刑事)
スポーツ事務のウェイトレス …… 林沙織

中野順一郎、横塚真之介、竹尾一真、小久保寿人
吉川依吹、松本雅子、萩野みかん


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