アイシテル 〜絆〜

脚本/高橋麻紀
プロデューサー/次屋尚、千葉行利、宮川晶
演出/星田良子






あの衝撃作の続編、加害者家族のその後を描く。生きていくことの
意味、家族の愛と絆とは…命の重さをテーマに涙と感動を再び

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直人は兄・智也のアパートにいく。その存在をこの手で消し去る
為。しかしドアを叩こうとした瞬間、
妻・加奈から電話が鳴り、
お腹の中の赤ちゃんが流産の危険性が訪れる。病院に運ばれ
なんとかその危険は取り去られるが・・・

加奈からは子供の件で黙っていてゴメンと謝罪される。しかし
私は産むという加奈。しかし直人は生まれてくる子が今後どんな
に大変な事か。それならば生まれてこない方が良いと語る。
しかし加奈はそれを否定する。そんな中、病院には
母・さつき
が駆けつける。直人は母を見ると、こんな苦しみは俺で終わりに
すると語る。

直人は兄・智也と一緒に過ごしていたある日、引っ越しするこ
とになる。兄・智也は小学生の時に、
小沢清貴くんを殺害して
いたのである。引っ越しした後に、母から兄とは別に暮らす
事になったと言われ、その理由も知らされなかった。智也は
それを知り酷いと呟く。

さつきは神社で安産のお守りを買う。
そしてかつて家裁調査官をしていて健太くん殺害事件の時には
お世話になった人・
富田葉子に逢い、息子の件で再び相談する。
直人は愛する人との間に子を妊娠したが、生まない決断を
しようとしていること。母は直人が今までどんな苦しい思いを
したのか分かっているが、それでも生まれてきて良かったと
思える日が来ることを。葉子は自分にも息子・健太がいるが、
変わりにあの子の人生を生きることは出来ないのだとし、親の
決断がいつも正しいとは限らない事を語る。息子のことで悩ん
だり迷ったりしながら、親は子の幸せを祈るのみだという。

直人は、
森田工房というレザー製品のオーダーメイド店で
働いていた。店主・
須磨哲人から店を引き継ぎ哲人の孫である
加奈と結婚した直人は、この店を経営していた。
直人に対して哲人は、君たちが店を継いでくれたお陰で、夢
が叶ったことを語る。直人は加奈の妊娠の事を知っていたのか
尋ね、全ては自分の責任だと謝罪する。そして子供は持てない
事を話そうとする。かつて自分にも楽しいことが有ったはずな
のに今では思い出せない事を語る。

直人は高校時代・
アリサという好意を寄せる女性に肖像画を
描いた事があった。しかしその絵を渡そうとするときに、アリサ
から"清貴ちゃん事件"の事を初めて聞かされる。直人はそれを
インターネットで調べると、なんと兄が清貴ちゃんを殺害し
世間を賑わせていた事を知る。
帰宅すると母親にその事実を問い、俺に何も言わずに騙し続け
るつもりだったのか問う。そして優しくしてくれたのは後ろ
めたさが有ったからではないのかと告げる。そして自分は母と
兄のことは決して許さないとし、家を出て行くと語る。
さつきは、私と智也は一生罪を償わなければならないが、あなた
には幸せになって欲しいと語る。しかし直人はこの家に生まれて
どうやって幸せになるのかと問い、どうして俺を生んだのかと
問うのだった。

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加害者家族である野口家は、事件の後、妊娠し出産する。
生まれたときには既に兄が殺人者だった直人は、高校になって
初めて兄が殺人を犯していたことを知り、それ以降前を向いて
歩こうとすると途端にそんな事実に足を引っ張られて、なかなか
前を向けずにいた。

2009年度に放送したアイシテル 〜海容〜の続編。

加害者家族に一人の新しい命が誕生するも、兄の殺人のせいで
酷い目に遭い、自分が何故生まれてきたのか迷走していく物語。

世間からの冷たい視線に、自分は必要とされていない人物だと
思いこんで行くも、そんな中でも素晴らしい出会いがあったり
兄の思いを聞かされて、少しずつ生まれた事に感謝していく
展開が用意される。

時間軸が微妙に前後することも有って、ストーリー自体は
とても書きづらいものが有るけど、特に見ていて混乱する
って程ではなかったかな。

ドラマとしての興味は、そんな時間軸の中に色々と含まれて
おり、直人がどのようにして卑屈になっていくのかとか、どの
段階で兄の事件を知っていくのか、どの瞬間に妊娠の事実を知
ったのか、どの時点で須磨さんに自分の兄の件を話したのかな
ど、その殆どは過去に詰まっている。

自分が親の立場になって初めて母親に感謝するというのは
ありがちだけど、やはり同じ立場になってみないとなかなか
見えない事も多いのだろうね。

子供を持つことに恐怖心を抱くのは直人だけでなく、虐待を
受けて育った加奈が母親になる事を恐れるという両面から
子供の存在を浮かび上がらせる辺り、良くできているとも
言えるけど、加奈の件はかなり希薄なエピソードだった。

結局人との出会いが全てであり、生きる上でどんな人物と
出会うかによって人はその後の人生を左右されていくのかなと
思うところがあった。

母親との関係性については、やや不可解な部分も有ったし、
消化不良な部分も有ったけど、その辺も2時間の枠の内容なので
仕方がないのかな。

しかし岡田将生 & 向井理兄弟、妻・水河あさみ、母・稲森いずみって
どんだけ美系を揃えて居るんだか・・
確かにドラマとしては絵になるけど、生活感の中に泥臭さみたいなもの
を感じなかったな。

森田直人 …… 岡田将生 (次男、美大中退)
森田加奈 …… 水川あさみ (直人の妻、母親から虐待)
須磨哲人 …… 伊東四朗 (森田工房を経営、加奈の祖父)
野口智也 …… 向井理 (直人の兄)
本木 …… 窪田正孝 (直人の美大時代の友人)

野口さつき …… 稲森いずみ (母、弁当屋で働く)
野口和彦 …… 山本太郎 (父、2年前に死去)
野口智也 …… 嘉数一星 (小学時代の智也)
小沢清貴 …… 佐藤詩音 (被害者)
小沢秀昭 …… 佐野史郎 (父)
富田葉子 …… 田中美佐子 (家裁調査官)

田口トモロヲ、田南響子、浜丘麻矢、香取海沙、松本じゅん
佐藤裕、西田薫、林晃平、五十嵐空、三戸梓美、細谷徠斗
立田隼琉


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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