東野圭吾ミステリー新春ドラマ特別企画 
“新参者”加賀恭一郎再び! 

原作/東野圭吾
脚本/牧野圭祐、桜井武晴

「赤い指〜シリーズ人気No.1ドラマ化最愛の人が殺人を犯したら!?
加賀が解く涙の連鎖・家族の絆とは」


連ドラ版"新参者"




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青山亜美は花束を購入し、墓へと向かうと、そこには先に加賀
恭一郎
が来ていた。あれから二年ですねと告げる。

二年前、
松宮脩平は伯父の隆正が入院する病院へと足を運ぶ。
既に余命幾ばくもない中、彼は妹の
克子と看護師の金森登紀子
の世話を受けていた。特に看護師は隆正の将棋の相手をしてい
たのである。松宮は登紀子に従兄弟(加賀恭一郎)は見舞いに
来たか尋ねると、それらしき人物は来ていないという。

この日、
春日井優菜はメールを受けて一人で公園へと遊びに行
く。そこに、
前原直巳の姿が・・・

前原八重子はこの日、仕事中の夫・昭夫に電話する。
八重子は早く家に帰ってきて欲しいと告げ、その際、昭夫の妹
春美には来て欲しくないのだという。春美は認知症の母・政恵
の為に、毎日のように世話をしに前原家を訪ねていたが、昭夫
は、今日は来なくて良いと電話する。

3年前、昭夫たちは政恵の住む実家に戻り、一緒に住む事になる
が、嫁・姑の対立に加えて、昭夫は仕事で家庭を顧みることが
なく、母とも距離を置き、息子の直巳は母から甘やかされて
成長したためか、引きこもるようになり、家庭内でも暴れる
様になっていた。

昭夫は駅に降り立つと、母の大好きなくず餅を購入する。
するとそこで一人の男性・
春日井忠彦が、娘がいなくなったと
して探し回っていた。フードのついたピンクのベストを着てい
たとし、辺りの人から聞きまくる姿。

帰宅する昭夫だが、八重子の様子が可笑しいことに気がつく。
八重子が見つめるのは家の庭。彼も何かあるのかと覗いてみる
と、なんと女の子が芝生の上で横たわっているのを目にする。
ゴミ袋がかぶせてあり、妻は隠さないと行けないという。
部屋にはオシッコの臭いがついたと言うと、多分息子が女の子
の首を絞めて殺害した為に失禁したときのものではないか?と
いう。昭夫はすぐに警察を呼ぼうとするが、妻はそれを止める。
取りあえず息子に事情を聞きに行くが、息子は五月蠅いと言って
暴れるばかりで事情を話そうともしない。すると息子は責任は
親にあるとし、自分は未成年だと告げる。

妻の八重子が息子から聞いた話によると、一緒に遊ぼうと言って
も言うことを聞かなかったから殺害したのだという。自首させ
れば更生の道も有るとするが、警察に渡すくらいならば私は
今ここで死ぬとし、包丁を手にする妻に、昭夫も頭を抱える。

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ある閑静な住宅街で女児の遺体が発見される。
殺害したのは前原家の一人息子・直巳で、彼は思春期であり
学校での虐めや仕事人間の父親と母親からの過剰な愛情を
受けて引きこもり状態だった。
父親は警察に告げようとするが、妻の八重子はそれを許さず、
仕方なく遺体を公園に捨てにいくが・・・

連ドラ版の始まる2年前の出来事。
連ドラ版と違って、町の人たち全体を巻き込むような展開にならな
かったのが特徴的で、加賀vs前原家の一騎打ちの体制となって
いる。

加賀周りの事情を描く事で、加賀自身の人物像を上手く掘り
下げている。

ドラマとしては家族や親子関係がテーマとしてすり込まれて
おり、加賀の父との関係性だったり、今回犯罪者となる前原
家の事情が面白い形でリンクされている。

完全犯罪とはいえない犯行の中で、加賀がどういう着眼点を
もって真相を暴いていくのか。そして最終的には誰が被害者
を殺めたのかどうか証明しづらい状況の中で、家族自らに
告白するよう誘導していく辺りの展開の妙を感じていく。

何よりも連ドラ版で見た加賀の存在感は、既にこの頃から圧倒
しているし、容疑者に対して常にそれらの人物を監視している
感じがホラー仕立てのように面白く描かれている。

ちょっと政恵自身が認知症を患っていると偽装している辺り
が展開上嘘くさく感じたのが残念だった。
そして口紅が、犯罪の実行の有無を分けるアイテムとして取り
上げられていたけど、幾らでも都合良く利用できるアイテムと
して存在しており、芝生の件と共に口紅に関しても科学捜査の
対象として証拠の裏付けをして欲しいところだった。

あれだけ愛情を受けて育った昭夫も、家族の認知症によって
親や子供のことを疎かにする人物に育ってしまった事は残念
だし、前原家の妻・八重子のドキュンぶりが、今の犯罪者を
生んでしまったのかと思うと納得なものが有ったかな。

加賀と父・隆正の関係なども最後に後付のような形で色んな
絆が浮かび上がってくる辺りは、サプライズとしても十分な
ものが有ったし、加賀の性格を上手く反映していたかなと
思う。今後もこのシリーズは撮られていきそうだね。

少々加賀が刑事とはこうあるべきだと語る辺りは、優等生
過ぎるところもあるけど、こうあって欲しいとする市民の代弁
はしていたかな。所轄の刑事が警視庁の人物を圧倒するという
意味でも加賀の存在は興味深いのだけどね。

加賀恭一郎 …… 阿部寛 (練馬西署)
青山亜美 …… 黒木メイサ (記者)
松宮脩平 …… 溝端淳平 (捜査一課)
前原昭夫 …… 杉本哲太 (夫)
前原八重子 …… 西田尚美 (妻、スーパー店員)
大森春美 …… 富田靖子 (昭夫の妹)
小林 …… 松重豊 (捜査一課)
佐藤 …… 児嶋一哉 (捜査一課)
前原政恵 …… 佐々木すみ江 (昭夫の母・認知症)
金森登紀子 …… 田中麗奈 (看護師)
隆正 …… 山崎努 (恭一郎の父、元刑事)

前原直巳 …… 泉澤祐希 (息子、引きこもり)
春日井優菜 …… 石井香帆 (娘、泉台第二小学2年生)
春日井忠彦 …… 滝藤賢一 (夫)
春日井奈津子 …… 飯沼千恵子 (妻)
山本 …… 温水洋一 (昭夫の会社の同僚)
太田 …… 森本卓郎 (前原家の近隣住民)

宮下順子、螢雪次郎、大橋一三、寿大聡、橘家二三蔵
辻しのぶ、服部唯人、井上莉隠、高橋麻理香、鈴木福
末永心羽、江藤愛(アナ)、田中みな美(アナ)


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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