東野圭吾・3週連続スペシャル第二弾!
“ブルータスの心臓 〜完全犯罪殺人リレー”

脚本:ひかわかよ
演出:入江悠
企画統括:立松嗣章
チーフプロデューサー:小池秀樹
企画:鹿内植
プロデュース:森川真行




「完全犯罪殺人リレーバトンは死体!大阪〜名古屋〜東京をつなぐトリックと殺意!
悪女に翻弄されるエリート研究者の運命は!?」 

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2年前の2009年5月11日。中森弓絵との結婚式を控えたMM重工業
勤務の
高島勇二は、夜勤で作業していたところで、機械用ロボ
ットが誤動作を起こしロボットによって命を落としてしまう。

2011年5月10日。この日MM重工の
社長賞と発明考案奨励賞
祝賀パーティが開かれる。社長・
仁科敏樹と長女の夫である
宗方伸一が出席する中、奨励賞が橋本敦司に手渡され、社長賞
末永拓也が受賞する。特に末永が開発したロボット用OSは
画期的で、今後世界中のロボットにこのOSを搭載するという。
末永がそのOSを搭載したロボット
「ブルータス」が試運転中
だった。

社長は娘の
星子を末永拓也とくっつけ婿候補の一人として考え
ていた。パーティー後、末永は星子に声を掛けると、星子は
父親が言い渡した男性との関係を否定するが、末永はボクとい
う人間を知ろうとしないのは惜しい事だという。その言葉を
気に入り星子はつきあい始める。

末永は人間が平等などというのは幻想であり、今は使われる側
だが近い将来必ず支配者側に回ると誓う。その為に足りないの
は権力だけだと呟く。

末永は社長秘書・
雨宮康子と付き合っていた。そんな彼女から
妊娠した事実を聞かされる。しかし末永は康子が複数の人物
と付き合っていることを知って本当に俺の子なのか?と問う。
誰の子か分からないのに産むつもりなのかと問うと、自分は
結婚はしないという。堕ろせという末永に対してそれを否定す
る康子の首を思わず絞めるが・・・

そんな中星子から電話が鳴ると、末永は康子に対して必ず
星子をものにしてあの家に入り込んでやると誓う。そして養育
費を多額に取ろうとしている康子に対して、あまり調子に乗る
なと警告する。

会社に行くと、室長の
仁科直樹から呼び出される。
彼のオフィスに行くと、そこには会社のライバルでも有る橋本
敦司の姿もあった。直樹から康子のことだと切り出され、妊娠
した事実を聞かされると、ここに居た三人は全て体の関係があ
った事を知る。康子が巨額の養育費を求めてきたことに対して
直樹は会社での立場が悪くなるし、橋本は妻子のある身であり
そして末永は星子との関係が有る状況の中、全員にとって都合
の悪い人間である事が分かる。三人で共謀してアリバイを工作
し殺害しようと告げる。

三人が大阪、名古屋、東京を死体をリレーさせてアリバイを作
るというもので、康子を殺害する者をA、運搬する者をB、康子
の死体を処分する者をCとし、3人の役割は、直樹の提案でトラ
ンプで決めることになる。

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ロボットの開発を行うものたちは互いの欲望のために邪魔と
なった康子の事を殺害しようと考える。
いざ計画を実行すると、運ばれてくるはずの康子の姿が無く、
計画を主導した直樹が遺体として運ばれてくるのを知る。

シェイクスピア作の"ジュリアス・シーザー"を現代劇として
描いた話。

カエサルが旧友であり腹心の1人によって裏切られた時に発し
た「ブルータス、お前もか」の言葉通りに、信じていた唯一
の存在・ロボットによって殺害されるという流れが下地として
存在しており、その間に起こる人間同士の醜い争いごとを
描いたもの。

そもそもこのドラマ、拓也が物語を主導しているものでは
ないという時点で感情移入が難しいものがある。

拓也は殺害計画に乗っかっていたものの、不利な状況になっ
た際には計画から下りて自分の有利な状況に幾らでも持ち
込むことは可能なはずなのに、それをせずに流されるまま
最後まで身を任せている所がある。随分と計画だの人生の
設計が為されていると豪語している割に、隙が多く、何の
計画も無しに勝利者としての人生を歩もうとしている印象し
か受けない。

アリバイに於いても崩す崩される辺りの流れは、面白く
作用しているのか分からないものがあったし、警察の追い込み
方もせめて「新参者」の阿部ちゃんくらいの嗅覚の鋭さが
有れば、緊迫感が生み出されたのかも知れない。

康子の意図がイマイチよく分からず、殺すほど追い込まれて
いた様に見えないし、悟郎にしても直樹以外の人物を手に掛け
る必要もなさそうで、拓也の言うとおり過去の事件は被害者
のミスによって引き起こされたとしているので殺す必要もな
かったのではないかという事ばかりが頭に思い浮かぶ。

色んな登場人物が多すぎて一人一人の思惑を把握しきれない
所が、ちょっと散漫さを感じさせる結果になったのかも知れ
ない。

末永拓也:藤原竜也 (MM重工業勤務)
雨宮康子:内山理名 (MM重工業社長秘書)
仁科敏樹:風間杜夫 (MM重工業社長)
宗方伸一:鶴見辰吾 (MM重工業航空機開発部・敏樹の長女の夫)
仁科直樹:袴田吉彦 (ロボット事業部企画室長)
仁科星子:芦名星 (敏樹の次女)
中森弓絵:加藤あい (MM重工業開発企画室)
橋本敦司:大倉孝二 (MM重工業開発・妻子有り)
佐山総一:近藤芳正 (警視庁捜査1課刑事)
酒井悟郎:高橋努 (MM重工業工場実験部作業員・弓絵の幼馴染)
新堂:音尾琢真 (警視庁捜査1課刑事)
高島勇二:忍成修吾 (弓絵の婚約者・2年前に死亡)

河田:佐藤正宏 (タクシー運転手)
課長:杉崎真宏 (MM重工業)
拓也の亡き父:岡本光太郎 (妻の死後・酒に溺れる)
田所:佐野泰臣 (MM重工業)
長瀬:君沢ユウキ (MM重工業)
拓也の亡き母:後藤祐里

気谷ゆみか、明石香織、坂木彩夏、市川孝樹、有浦奈津子
小川智弘、大内田真也、鶴森久大、三根由美子、小山颯


評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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