土曜ドラマスペシャル　蝶々さん〜最後の武士の娘〜(後編) 〜平成２３年度文化庁芸術祭参加〜 脚本・市川森一 演出・清水一彦 制作総指揮・佐野元彦、谷口卓敬 音楽・村松崇継 【 前編 】

「遠いアメリカ、生涯たった一度の恋の結末は？宮崎あおい
“篤姫”以来のドラマが完結！」 
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みわややえの夢で有り、蝶自身の夢でもあったアメリカ行き。
その夢を実現しようとしていたが、養子になった先で不遇な目
に逢い、末石の女将・お幸の元で働くことになる。
そんな折り、上海に向かうアメリカの戦艦が故障で長崎に寄港
する事になり、その軍艦に兵士として搭乗していたフランクリ
ンと領事館のパーティーで運命的な出会いを果たす。すぐに
結婚することになるが、アメリカ軍の間では長崎式結婚と呼
ばれる、寄港する間だけの結婚が流行しており、蝶もそれとは
知らずに結婚してしまう。

NHKらしく技巧派的作品で、外国人が持つ誤った日本の価値観・
武士道などを丁寧な描写で描いた物。
まるで日本の紹介ビデオのように、日本の風俗文化やら伝統
文化、そして開国以降のアメリカとの交流の歴史など、日本の
価値観をふんだんに盛り込んで描かれる。

僅かな期間ではあるが、交わる間の二人の気持ちに嘘偽りは
無い物の、男性の下心が一人の女性を死に追いやってしまうと
いう悲しい物語で、その辺のすれ違い具合の描写がとても
丁寧に描かれていた。

蝶とフランクリンの出会いから関係が成就するまでの描写は
意外と少ないのだけど、二人の心が交わる様が実に上手く
描かれていると思う。
夢か幻か、一見すると現実逃避しているような描写の中にも
蝶という人物の性格や武士道に於ける価値観など上手く
描かれ、待つことの中にもそんな価値観を取り入れているの
だから面白い。

蝶の人生が身内だけで終わってしまい、フランクリンに何処ま
で伝わったのか気になるものが有ったけど、息子の行動を通し
て彼女の生き様が伝わっただけでも救われるような流れだった。

伊作の立場から見てもドラマは実に切なく、妹も意中の女性
も失い、その喪失感たるもの想像を超える物があると思う。

大河ドラマの中にこれくらい興味深い描写が描かれれば見る
んだけどね。