P&Gパンテーンドラマスペシャル
「フォルティッシモ〜また逢う日のために」

企画:中島寛郎
脚本:武井彩
プロデューサー:関口静夫、荒田昌員
演出:木下高男
エンディング曲:安全地帯「結界」

http://www.bsfuji.tv/fortissimo/index.html





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派遣社員の東條美空は28歳。資格だけは沢山取り、責任がある
仕事がしたいとして派遣を辞め、正社員として募集している
会社に面接に行く。私にしかできない仕事を求めている事を
話すが、面接官からは君が経験してきた中で、得てきたものと
は何なのか?と尋ねられ、逆に貴方は何が出来るのかと問われ
言い返すことが出来なかった。貴方は何者なのかと言われた事
でまるで地球外生物の様な扱いだと憤怒するも、確かに美空は
自分が何なのか分からなくなっていた。

ルームメイトの
大西さつきからは、今仕事を辞めたら大変な
事になると言われていたが、美空は派遣先の上司の
篠田亜季
は折り合いが悪く、しかも彼氏の若林が篠田と自分の二股を
かけていたこともあり辞めてしまう。自分を必要としてくれる
会社・人間を目指したいと考えていた。

美空がそう思ったのは、高校時代の彼氏・
南康介が自分の夢を
叶えていた事にあった。人生で一番好きだった人で、彼は
世界的なトランペット奏者として名前を馳せていた。

美空はなんとか採用されようとして会社周りをする中、元上司
の篠田に偶然会ってしまい、そこでもキツイ事を言われ、貴方
は東京に合っていないのではないか?とさえ言われてしまう。

落ち込んでいる中、田舎の
母・豊子から、母校の桜葉高校
2ヶ月間臨時教師を捜している事を聞かされ、渋々田舎に戻る。
国語教師として臨時採用になり、10月の終わりの文化祭まで
教鞭を執ることになる。

久しぶりに田舎に帰郷した美空は、思わず部屋に残してあった
学生服を着てみると高校時代の事を思い出す。
付き合っていた康介と、夢について語り合ったこと。
美空はその中で、音楽の教師として教えたい事を口にしていた。
康介からは別れても10年後に再会し、その時互いに独り身で
有ったのならば結婚しないかと言われていた。
ちょうど今年はその10年後の年だった。

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高校を卒業してから10年後。
夢を抱いて東京に出てきた美空だが、現実は厳しくやりたい
事も分からずにいた。10年後の生活や夢について語り合って
いた元彼の康介は着実に夢に向かって歩んでいることを知って
なんとか自分を変えたいと考えるが・・・

物語のメインという訳ではないけど、吹奏楽部の描写があまりに
も不自然で滑稽すぎる所もあって、相当萎える部分が有った。
今までこの部は一体何をしていたのか?ってくらいのヘタクソ
な部員達の姿から始まり、突然合唱部の教師が、そんな部の
現状とは身の丈の違うプライドの高さで、生徒達を指導して
いく姿。

28歳という年齢に於いて、過去を振り返ることは決して悪くは
無いけど、卒業して僅か10年の間に母校の状況がそう変わると
も思えないし、田舎に帰り、一度リセットするというのもアイ
ディアとしては悪くないのだけど、結局この子は東京での仕事
がしたいのか、吹奏楽の指導をしていきたいのかよく分からなかった。

美空の彼を演じる南康介も、大学時代から同棲している彼女と
ケジメで結婚すると言いだし、それでも恋愛感情など一切無く、早く
も倦怠期の様だけど、そんな事を元彼女に愚痴る辺りがどうに
も格好悪く、結婚する相手にも相当失礼な奴である。

10年前に互いに夢を語り合った事で、そこに近づけているのか
どうか、当時思い描いていた10年後の自分と現実との差に
かけ離れた部分をもう少し強調した上で、自分に問いかけ、
本来の立場に戻っても良いような感じがする。ただその中でも
時間が流れていて、元彼との気持ちの温度差を感じさせる必要
は有りそうだけどね。

吹奏楽部の伝統だとされるRhapsody in Blueの演奏も特に
効果的に使われた感じがしなかった。


そういえば久しぶりにソニンさんの姿を見た。
目の周りのメイクが酷くてボーイッシュな感じだったけど、美空は
さつきのアドバイスを悉く蹴って逆方向に進んでいたな。

P&Gパンテーンドラマスペシャル

2003年 笑顔セラピー
2004年 冬空に月は輝く
2005年 音のない青空
2006年 トゥルーラブ
2007年 永遠の1.8秒
2008年 かるた小町
2010年 初恋クロニクル
2011年 フォルティッシモ―また逢う日のために―

東條美空 …… 藤澤恵麻 (28歳、年齢の割に幼く、おっとりとした性格)
南康介 …… 笠原秀幸 (美空の高校時代の同級生)
篠田亜季 …… 絵美里 (大手広告代理店社員)
大西さつき …… ソニン (スポーツクラブのインストラクター)
田中あゆみ …… 山下容莉枝 (合唱部の顧問)
若林 …… 井上顕 (美空の元彼)
面接官1 …… 西村雅彦
面接官2 …… 玉置浩二

北川春樹 …… 藤原薫 (急遽クラリネットを担当)
鈴木紗江子 …… 替地桃子 (アルトサックス担当)
田辺美鈴 …… 荒井優歌 (フルート担当)
大下雪江 …… 田村夏奈子 (クラリネット担当)
小泉美加 …… 堀川恵理 (チューバ担当)
石田太一 …… 恵隆一郎 (パーカッション担当)
教頭 …… 本田清澄
東條豊子 …… 酒井麻吏 (母)
生徒 …… 山田清貴、河野奈々、林香那、犬章美瑠


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