古畑任三郎


第13話 笑うカンガルー

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オーストラリアで行われるアーバックルアワードの受賞をした
のは日本人数学者の二本松晋と野田茂男だった。二人は授賞式
の為にオーストラリアを訪れる。無愛想な野田に対して二本松
は記者への対応を一挙に引き受ける。野田に対して少しはサー
ビスしろという。

一方古畑と今泉の二人も同授賞式が行われたホテルに来ていた。
偶々缶ジュースの懸賞で海外旅行が当たった二人。

この授賞式には野田の妻のひかるも同行していた。
茂男は妻にフロントに手紙が届いているので取ってきてくれと
告げる。野田夫婦は父親からの薦めで5年前に結婚するが、夫婦
仲は悪く、ひかるは野田のパートナーである二本松と仲が良か
った。離婚する事を仄めかしていた茂男だが、妻に対して
別れる気は無くなったとして、二人がそのままくっつくことを
妨害する。アイツにばかり良い思いはさせたくないというので
有る。

そんな中、ひかるは二本松に電話する。記者に囲まれていた彼
はひかるからの電話を受けて急いで部屋へと戻る。ひかるは
夫と口論となり思わず押し問答になった際に夫を突き飛ばして
しまったのである。夫は後頭部をぶつけて動かなくなってしま
ったとの事。ひかるは殺すつもりではなかった事を告げ、すぐに
警察に連絡すると言うが、二本松は二人の関係がバレる事を
気にして、これを事故として上手く処理するという。
二本松は倒れている茂男の口の中に酒と塩辛を詰めて、酔って
いる事を装い、服を脱がせて海水パンツを履かせて、腕には
壊れた腕時計をはめさせて、部屋から引きずり出して階段から
突き落とす。

二本松はバーにいるひかるの元にいくと、時計の針は10時30分
で止めてきたので、12時まではここにいて目撃者になってもら
おうという。
そこに古畑らがバーにやってきたので、二本松は一緒に飲まない
かと誘う。話しているウチに古畑が殺人課の刑事であることを
知る二本松。クイズをやったり、二本松の部屋でトランプの
セブンブリッジをやったり・・・二本松はアリバイ工作のため
に11時頃にトイレに行くといって部屋を抜けだし、茂男の部屋
に朝食オーダー用の札をドアの前に掛けておく。
完璧にアリバイ工作をしたかと思ったが、二本松は彼の部屋に
扇子を忘れた事に気がつき、古畑らを無理矢理部屋から追い出
して部屋まで取りに行く。しかし鍵をもらってくるのを忘れた
として、一度また戻る際に茂男を投げ捨てた階段を通ると、
なんと茂男の姿は無くなっていた。

恐る恐る茂男の部屋を訪れるとなんと彼は無くなっては居らず、
彼は自室に戻り後頭部を痛めてスプレーで頭を冷やす彼の姿が
あった。茂男は一部記憶が失われているかのように、気がつい
たら海パンを履いて階段で倒れていた事を告げる。こんな事は
初めてだという。しかし彼は別段落ち込んだ様子も無く寧ろ
軽い調子で、突然ホテルの壁に数字を書き始める。その理由を
尋ねると300年間人類が解けないとされていたファルコンの定理
を解いたのだという。頭をぶつけて倒れていたお陰で、目が
覚めた瞬間に答えが浮かび上がった事を告げる。
二本松は感動し早速発表しようというが、野田はこれはオレが
見つけた物で、今までの様に共同での発表はしないという。
これまでがどうかしていたとして、あくまで一人の手柄だと告
げる。二本松はそれを聞いて思わず灰皿で彼を殴り殺すのだった。
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舞台はオーストラリア

数学関係の授賞式が有るとの事で、日本人受賞者が居るホテル
が舞台となる。古畑と今泉は、懸賞で当たった為にオーストラ
リアに居るという設定だ。

被害者は二度死ぬ?

ドラマとしては死亡推定時刻と、容疑者のアリバイが重要にな
ってくる話だ。刑事・推理物にはスタンダードなもの。

最初は妻のひかるが茂男を突き飛ばした事で意識不明の状態に
陥らせるが、実際には亡くなって居らず、二本松が改めて
殺すことになる。

ドラマとしてはひかるはその事実を知らないので、その辺の関係
でもう少し複雑になるかと思ったが、あまり気の利いた話しには
ならなかった。

壁に書かれたファルコンの定理

野田の記憶が曖昧であることを上手く利用した形の話だった。
冒頭から出てきた手紙が意味する物とは一体何なのか。
単なるダミーの流れかと思いきや、実際には野田にだけ送られて
きた数学者としては名誉ある手紙と言った感じの内容。

ただこの数式を見てすぐに二本松自身もファルコンの定理だと
分かる辺りは数学者らしいところだったかも。

展開としては単純なようでよく見ていないと分からない。

これだけの材料で古畑が推理を利かせるというのもちょっと
難しいものが有るかなと思う。
細かいネタフリが結構してあり、朝食のオーダーシートや目玉
焼きの件、部屋に扇子を忘れたとか、酒に塩辛、海水パンツの
事など色々と有ったが、あまり効果的な物証ではなかった気が
する。

田口浩正さんの尻姿には笑えるものが有ったけどね。

一度目のひかるの件と二度目の二本松の事件を区別する材料と
しては実際に当事者でないと分かりづらそうだな。

科学捜査を無視した展開

近代のドラマの性質からすると、この手のドラマは成立しなく
なりそうな話だった。二本松は必死にアリバイ工作をしていた
けれど、アリバイがアリバイになっていない感じも受ける。
正直遺体を動かせばすぐに分かってしまうしね。
田口さんの巨体を動かすのは正直男性でも難しいな。

殺人だと分かるきっかけ

二本松が野田の事を過去の人のように話していたことがきっかけ
だった。色々と古畑は海水パンツの件を疑っていたけど、
あの状況でパンツを盗んで泳いで逃げたとするのは無理な気がす
る。普通人のパンツを盗んで泳いでいく物か?

古畑任三郎 …… 田村正和
今泉慎太郎 …… 西村雅彦

二本松晋 …… 陣内孝則 (数学者)
野田茂男 …… 田口浩正 (数学者)
野田ひかる …… 水野真紀 (茂男の妻)
クレクスン …… JOE BUGNER (刑事)
ワンチャイ・ハンヒラピカル …… KELLY LAM (プーケット大教授)

Allan Brown、Glen Burns、Philid Cecchi、Stephen Chard
Craig Corsetti、Lymn Cropp、David Earnsham、David Forsey
Danny Hanley、Lisa Ann Huxley、Yvonne O'hara、Darryl Prince


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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