古畑任三郎

脚本:三谷幸喜
演出:河野圭太


第42話 ラスト・ダンス

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テレビドラマ"鬼警部ブルガリ三四郎"が完成される。
脚本家・加賀美京子が手がけた作品で、加賀美京子とは、
双子の姉妹(かえで(妹)ともみじ(姉))の脚本家の総称だった。

スタッフの殿山、古手川、福井などは彼女の作品を絶賛する。
打ち上げには是非双子の姉・もみじも連れてきて欲しいと頼む
スタッフたち。
しかしかえでは、姉は偏屈で部屋から出たがらないとして、
約束は出来無い事を口にする。

そんな中、現在制作中のドラマ「ポタージュ」の件で、主演女
優・星野夢子の出演を巡って相手の事務所からクレームが有っ
たと、東や海老沢が脚本家のかえでに報告がある。出演を多く
しろというのではなく、逆に自信がないので登場を減らして
欲しいというもの。かえでは変更するのは良いが、作品としての
完成度は低くなるとスタッフに告げる。

かえでの元にもみじから電話が鳴る。あの話考えてくれた?と
いう姉からの訴え。そして妹からは「ポタージュ」の脚本の
手直しをお願いする。

古畑は打ち上げ会場にやってくる。古畑は"鬼警部ブルガリ三四
郎"のシナリオにアドバイスをしたのだった。今回の脚本を
担当するに当たって一番の収穫は古畑と出会えたことだという
かえで。今まで刑事ドラマを書いたことはなかったことを告げる。
古畑は彼女に姉が居ることを初めて聞く。二人で台本を書いて
おり、ストーリーを企画し組み立てる人とシナリオを書く人で
分業している事を聞く。
そんな中古畑は打ち上げで行っていたビンゴゲームで見事、
ビンゴとなる。当たった賞品は、ブルガリ三四郎が劇中で来て
いた黄色いコートだった。

かえでは古畑に相談したいことが有るとして、クラブに場所を
移し、今度立ち上げる脚本「ラブポリス」に関しても協力して
欲しいと頼む。警察官のプライベート部について是非アドバイス
して欲しいとの事。古畑は犯人を相手にすると色々と話せる
のだが女性と対面するのは苦手だという。恋に臆病になって
いないかと言われ、かえでに翻弄させられてしまう。明日再び
カフェ「ラ・ボエム」で1時に逢う約束をする。

翌日、かえでは姉・もみじのオフィスにやってくる。
オフィスでは杉浦が彼女の専属のマネージャーとして働いて
いた。姉はかえでにあの話を考えてくれたかと問い詰める。
姉によると互いに書きたいシナリオ・世界観が違ってきており、
独立して別々に脚本家としてやっていきたいという。かえでは
姉に、引っ込み思案の貴方が直接交渉とかマスコミ相手に発表
とか出来るのかという。人前に出るのならば身だしなみに気を
つけろと告げる。かえでは「ラブポリス」で共同脚本は終わり
である事を了承する。

かえでは杉浦にタバコを買ってきてもらう。
不在になった時を狙い、"かえで"は"もみじ"を拳銃で撃ち殺し
てしまう。そして部屋の中の彼女の服や化粧品を持ち出し、
自殺したように偽装する。そして杉浦にはなにかもみじが最近
精神的に疲れている事を吹き込み、如何にも自殺しそうな感じ
を臭わす。暫く一人で作業をしたいと言っている事を告げ、
かえでは外へと出ると、再び裏口から入り直し、自殺の為の
工作をし始めるのだった。
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双子がすり替わるトリック

双子という事を利用した殺人トリックで一番興味深くなるのは
やはり二人が入れ替わるという事だ。何と言ってもDNAでも判別
出来無いくらい双子は似ている。ただしこのドラマに於いては
二人の違いが発端で、殺人の動機に発展してしまうという悲劇
を描いたものだった。

とても良くできたシナリオ。

一番笑えたのは、今泉が「鬼警部ブルガリ三四郎」の中の鶴田
刑事という役の参考になっているという設定で、過去の
エピソードに於いて観覧車に閉じこめられた事件の事が取り上げ
られている。また西園寺が自分をモチーフとしたキャラクターが
登場しない点を不満に思い、古畑に失望する。

過去の古畑を踏襲している。

今泉がアリバイを調べるために、タイムウォッチで量りながら
走り回るシーンは、過去にも古畑が何度も意地悪して走らせる
エピソードが有ったよね。
静脈認証のセキュリティによって、初めて視聴者もすり替わって
いるであろう事実が浮かび上がる所など、シナリオとしても
面白くできていた。

とても単純だがよく出来た自殺偽装工作

短時間に上手いこと自殺したように偽装したなと思う。
ロウソクが燃える時間なども綿密に時間を計っていたのだろうね。

古畑が目を付けた着眼点

ピエロのピンキーのアイテムは着眼点を持つには面白いのだけど
流石に床に落ちていただけで不自然と見るのは無理がありそうだ。

携帯電話が置かれていた状況が不自然で、2ページ分のシナリオ
が床に落ちていたという設定は面白い所だった。

喫茶店での口紅の件は、私は見ていて口紅の色が違うとか、
姉は口紅をしていないのに何故かコップに口紅がついていた
などの差違が描かれているのかと思った。
あの短時間に、妹は口紅を拭き取るクセを見つけ出していた所
は流石古畑ってところなのか。

ドラマとして不自然な点

最後の段階で二人は入れ替わった訳だが、姉の方は古畑とは
初対面であるであろうハズなのに違和感なく接していた点は
ちょっと不自然か。記者会見の場で、音楽やハリウッドスター
に例える妹に対して姉は例えられなかった事で、違和感は出て
いるけど、これまで引きこもって仕事をしていた割りに、
その辺の整合性はやや不自然に映る。


古畑任三郎 - 田村正和
今泉慎太郎 - 西村雅彦
西園寺守 - 石井正則

大野かえで/もみじ …… 松嶋菜々子
杉浦 …… 松金よね子
海老沢 …… 近藤芳正
東 …… 菊池均也
殿山 …… 義田貴士
古手川 …… 高川裕也
ブルガリ三四郎 …… 小日向文世

入江純、森谷あかり、森喜行、紀瀬美香、白井圭太、川嵜美佳
峰剛一、蔭山征彦、島岡安芸和、外崎明彦、鈴木修平、枝村みどり
福田裕也、本多隆二、天現寺竜、原田文明


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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