さだまだしドラマスペシャル 故郷〜娘の旅立ち〜

原案:『五島のトラさん〜頑固オヤジと大家族の12年〜』(制作:
テレビ長崎、第12回FNSドキュメンタリー大賞特別賞)
脚本:樫田正剛
企画協力:テレビ長崎
プロデューサー:中島久美子、高丸雅隆(共同テレビ)
協力プロデュース:大浦勝(テレビ長崎)
演出:平野眞




故郷〜娘の旅立ち〜“案山子”あの名曲をもとに描く大家族の
愛と絆の物語。長崎五島列島に暮らす頑固親父とぶつかる娘は
島を飛び出すが…

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長崎県五島列島中通島
佐伯ちづるはフェリーの上から故郷を眺める。

11年前。
父・寅夫(トラ)、母・美砂代を筆頭に、佐伯家は守、梢、
ちづる、静香、豪太
の大所帯。
夕食の際、守が家族を待たずに一人つまみ食いするのを見つけた
トラは激怒し、食事は家族揃ってから食べるのがルールだと
告げる。

朝は学校に行く前、家族全員が家業のうどん作りを手伝う。
更に佐伯家では家庭新聞を作って近所に配っているが、今後は
それぞれ家族に担当させるという。ちづるはトラからカメラマン
をするよう命じられる。

一年に一度の田植えの日。
佐伯家では家族全員で田植えするために、この日は学校を休ま
せる。担任の
若林は義務教育故に休ませる事は出来ないとする
が、トラは学校に怒鳴り込みに来て、これは家族の行事である
として強引に押し切る。

トラはタイムカードを購入し、今後は家族の物にもタイムカード
を押させて、働いた分お金を払うと告げる。
若林に頼まれ役場の職員
杉本は、トラの後輩である事から、
田植えの日に学校に来るよう頼まれるが、杉本の説得にも応じず
トラは家族全員で田植えをさせる。その光景を見た杉本は佐伯
家はこれで良いんだと呟く。

8年後、梢は信用金庫に、守はスーパーに勤務。
父はちづるに対して、
田んぼの案山子を作り直すよう命じるが
高校生のちづるは、私にも部活があったり勉強があるのでこれ
以上家のことを手伝うのは無理だと反発する。
兄や姉は既に父親の性格を知っていて、反抗する気も起きて
いなかった。
朝から毎日うどん作りしたり、田植えで学校を休ませるウチは
やっぱり他の家とは違うと感じる。
友人の
太郎は、ウチも名物オヤジが欲しいと告げる。

そんな中、豪太が有るとき野球をしていてガラスを割ったにも
関わらず図書館に行っていたとウソを付く事件が発生する。
父はウソを付くことだけは許さないとして激怒する。

ちづるはこの日、学校の宿題が有るのでうどん作りを休ませて
欲しいとするが、うどんのせいにするのは許さないとして父は
決して例外を認めなかった。周りで笑いたいものがいるならば
笑わせておけと。

そんな中、進路を決める時期がやってくる。
ちづるは全国の
写真コンクールで奨励賞を取ったこともあり
写真家を目指して東京に行きたいと考えるが、父は役場の観光
課で空きが出来たので公務員試験を受けろと告げる。
父と娘は対立していくことになる。

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長崎の五島列島で生活する佐伯家の物語。
さだまさしさんの曲をテーマに、サラリーマンだった犬塚はな
えさんの人生をモデルにして描いた様な話のようだ。

短い時間の内容でも家族の関係が色濃く描かれているし、
ロケーションとしても申し分ないほどに癒されるものがある
ドラマだった。

家族の長として絶対的な存在である父親と成長するに従い
そんな父親と意見を対立させていく次女のちづる。
自分の人生を貫くべきなのか、それとも家族の傍にいて寄り
添い、協力し有って生活するのが幸せなことなのか。

離島・田舎故に島から出ていきたい思いだったり、この島で
一生を終えたくないとする人間の心理だったりが興味深く対立
点を生んでいく。
父・トラは東京で働き、その後にこの地に落ち着いた為に他の
土地を知っている事から、東京での容易ではない生活を理解
していて娘の事を誰よりも心配しているだろうし、逆に此処以外
の生活を知らないちづるにとって飛び出したいであろう気持ち
も理解できる。

皮肉なことに幼少期に父親が与えたカメラマンの役割がその後
の人生に大きい影響を与えてしまう所など、何とも言えない
所がある。

東京での生活も裏切りがあったり、世知辛さが存在していたり
全く上手く生活出来ずにいる中で、故郷の家族だけはどんな事
が有っても味方であるとする主張が実に心強く感じる。

これだけ良い家庭に恵まれていけば、島から出ていきたくない
気持ちが生まれそうだな。

容易にちづるが成功を収めないところも良くできているかな。
色んな罠が仕掛けられていて、喜多川がちづるに優しく近付く
裏には、彼女の写真を奪おうとする意図が有るのかと思った。
早苗に裏切られる辺りはちょっとキツい感じだったね。

佐伯ちづる …… 堀北真希 (次女、カメラマン)
佐伯寅夫 …… 松平健 (父、うどん"とらや")
佐伯美砂代 …… 風吹ジュン (母)
佐伯守 …… 高岡蒼甫 (長男、スーパー勤務)
佐伯梢 …… 中越典子 (長女、信用金庫勤務)
佐伯静香 …… 美山加恋 (三女)
佐伯豪太 …… 中村柊芽 (次男)

杉本三郎 …… 温水洋一 (役場)
本屋の店長 …… さだまさし(友情出演)
白井 …… カンニング竹山 (高校時代の担任)
マスター …… 村松利史 (CAFEラボの店員)
早苗 …… 木南晴夏 (CAFEラボの店員)
和泉宗太郎 …… 相島一之 (プロのカメラマン)
章造 …… 山崎樹範 (信用金庫職員)
喜多川興起 …… 石田卓也 (デビューしたカメラマン)
若林 …… 山野海 (中学時代の担任)

幼少の頃の梢 …… 宮武美桜
幼少の頃のちづる …… 宮武祭
幼少の頃の静香 …… 畠山紬


鶴見健 …… 大和田健介 (ちづるの高校時代の友)
太郎 …… 大川雅大 (ちづるの高校時代の友)
日奈子 …… 徳丸琴乃 (ちづるの高校時代の友)

高杉真宙、大竹浩一、瀬野和紀、田島ゆみか、犬塚はなえ
長岡千夏(テレビ長崎アナウンサー)、當麻真歩
松島海斗、林田光輝、南好洋、伊藤玄紀、田村祐、宮坂あゆみ
滝川恵理、大塚まゆり、滝元吏紗、神保虎之介、南こころ
南慎太郎、武石さくら、武石房謙、諸國春馬


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