愛と感動のドキュメント・いぬのおまわりさん  (2010年7月4日TBS、21時) 脚本 ：加藤綾子 プロデューサ ：志村彰、森雅弘 演出 ：竹園元

「ママは産むよ!妊娠4ケ月突然のガン宣告!
夫婦は245日の壮絶な闘いを挑んだ!!
日本中が涙した珠玉の実話完全ドラマ化!!」

--------------------------------------------------------
2008年3月、北九州市。
石原真由美と夫の有紀矢、そして真由美の母・久子と長女の
沙紀で結婚式場を見て回る。偶然目の前で幸せそうなカップル
が式を挙げているのを見て真由美は予行練習とばかりに自分
たちもそこで写真を撮る。
交際4年目にして二人は、長女・沙紀を妊娠した事で結婚した。
真由美は、姉・直美や弟の太一に囲まれ幸せに育ってきた為に
自分の娘にも兄妹を作ってあげるのが夢だった。

そんな中有紀矢に電話が鳴る。
電話は北九州中央医療センターから。
先日のMRI検査の結果、子宮の後に陰らしきものが映り、筋腫か
と思われていたが、悪性リンパ腫の可能性が高いという。
現在妊娠16週目というデリケートな時期だけ有って、本人では
なく夫に連絡したとのこと。お腹の子供は今のところ無事だと
言う。

真由美は母親と共にウェディングドレスの試着をしてまわり、
思い切ってオーダーメイドのドレスを作ることになる。仕上がり
は一ヶ月後との事で楽しみにする真由美。

帰宅する有紀矢に真由美は食事を出す。
これまで自分ばかりが結婚式の事を決めてきたので、有紀矢に
披露宴の食事を決めて欲しいという。しかし彼の様子がおかしい
事に気がつくと、仕事で何かあったのか尋ねる彼女。
病院から電話があって、念のためにもう一度検査したいと言わ
れたという。赤ちゃんに何かあったのか?と心配する真由美に、
とにかくちゃんと調べようと告げる。

母・久子も付き合い病院へ検査に行く。
長女の出産の時にも貧血に悩まされたが、無事産まれてきた
ので大丈夫だと告げる。
その頃、病院の医師たちは治療方針について話し合いが行われ
ていた。内科としては中絶して母胎のガン治療に専念すべきだ
とする。
生検を行い、子供は無事だと判明する。

有紀矢は久子が一人になった所を見計らい、真由美が悪性リン
パ腫である事を告げる。母は健康だけが取り柄だった娘に
何故そんな事が起きるのかと悲観する。有紀矢は彼女ならば
きっと頑張ってくれるはずだとして、明日全てを話すと告げる。

真由美は検査入院していた。退院はいつかなと語る彼女に
有紀矢は全てを話す。問題があったのは子供ではなく真由美の
方だった事。真由美は自分のことよりも赤ちゃんに何もなかった
事を喜ぶ。真由美は頑張ることを決意し、絶対病気を治すと
宣言する。結婚は子供が産まれてからにしようと告げる。
--------------------------------------------------------

次女を妊娠した時の検査で、妻の真由美は悪性リンパ腫で有る
事を知る。医者は中絶して治療を優先すべきではないかと
薦める中、真由美は絶対に産む事を誓う。

ドラマとして難しいのは実話と言うことで、既に結末ありきの
内容である点だ。
奇跡が起こるかも知れないという一抹の希望を持たせたとして
も、結末を知る人にとってはその事実にトキメクものがない
だろうし、闘病生活となるとやれることも少ないだろう。

ドラマとしては夫婦の高校時代からの思い出の場所・思い出
のエピソードを交えてドラマを描いていく。

このドラマの主人公のように身内に癌で失った人でも居ると
感情移入出来る部分が多いかも知れない。
若い年で癌を患うことへの不幸、身内ならば何故ウチの子がと
嘆くところが多いだろう。

患者にとっての希望が、今までにない事をやろうとする決意
に至ったこと。胎内で出産の時を待ちながらも抗ガン剤で
治療を行う事が如何に難しいことなのかを訴える。
しかしもう少しこの辺の要素を如何に難しいことなのかを、シビア
な視線で描かれると良かったかも知れない。

自分から産まれてくる子を失う事への辛さを母親の視点で描き、
真由美から見た美有だけでなく、久子から見た真由美の感情を
描いた所は興味深いところで、この部分はドラマとして考えさせ
られる部分が詰まっていたと思う。

ドラマ性を持たせるために、思い出の場所とか、それに纏わる
エピソードを盛り込んだけれど、逆に在り来たりの内容になって
しまった感は強く、入院生活も淡々とした印象になってしまった
所は残念だった。
しかしキャストは豪華だね。映美くららさんや南圭介くんの活躍
をもう少し見たかった。


石原真由美 …… 水川あさみ (次女の妊娠と同時にがん)
石原有紀矢 …… 永井大 (真由美の夫)
真崎陽子 …… 鈴木杏樹 (総合病院内科医)
大久保久子 …… 戸田恵子 (真由美の母、ピアノ教室)
小暮修司 …… 山崎一 (総合病院産科医)
能勢敬志 …… 柴俊夫 (総合病院院長)
石原沙紀 …… 栗本有規 (三歳。真由美と有紀矢の長女)
大久保直美 …… 映美くらら (姉)
大久保太一 …… 南圭介 (弟)

伊藤麻実子、西慶子、奥村友美、黒田恵未、伊藤武雄
岩下貴子、日野更紗(子)

評価：★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)