鍵のかかった部屋SP 〜2つの密室事件と、鏡の国の殺人〜
(放送日:2014年1月3日)

脚本:相沢友子
演出:松山博昭
原作:貴志祐介
音楽:Ken Arai
主題歌 嵐 「Face Down」




 

久しぶりだなぁ、榎本っちゃん!元気だった?
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弁護士事務所の芹沢豪青砥純子は、担当した案件に於いて
密室の解明をする必要に迫られ、たまたま防犯の為に設置に
来ていた榎本径に話を聞くと、破れない密室はこの世には無い
と告げる。そんな彼が密室を次々と解明していくことで、
推理小説・探偵もの小説が大嫌いな芹沢も少しずつ密室事件の
担当を増やしていくことになる。榎本に窃盗事件の疑惑がかか
ったことも有ったが容疑が晴れた後、彼は臨時収入が入ったと
して旅行に行ってしまう。

突然榎本が居なくなったことで、純子と芹沢は本来の企業法務
の弁護に戻っていく。簿外債務をしていた住成商事佐々木
専務を追求していく芹沢の名声はまた一歩確実に得ていく。
榎本が居なくなって絶好調だという。

そんな中、芹沢が担当しているクライアントからの依頼で、
AW証券会長藤林昌三の自宅を訪れる。約束していた時間は2時
だったが少し早めに到着してしまったことも有り、不在を確認
した後、外の車の中で待っていた。再び時間になった際にチャ
イムを鳴らすと、やっぱり不在。するとそこに岡村郁子という
エステサロンを経営し、藤林の弟夫婦の娘が現れる。藤林は
自分の叔父に当たる人だということで、郁子の合い鍵で部屋に
入ると、なんと藤林は頭を殴られ血を流して倒れて亡くなって
いるのを知る。
警視庁の鴻野が捜査にやってくると芹沢は全ての事情を語る。
藤林の亡くなった妻が所蔵・コレクションしていた10億円相当
の美術品コレクションに関して、寄贈しようとしていた中で、
その契約の件で話があると言われて家に訪れたこと。
鑑識からの証言を元に鴻野は今回の事件は侵入強盗であり、
突発的なものだと語る。裏庭の格子が破られている為、そこが
侵入経路ではないかというものだった。誰か不審者を見なかった
か?と問われ、芹沢はフードを深くかぶりマスクをした人物を
見かけていた事を話す。鴻野は今回の件は密室ではないので
芹沢にとっては残念なのではないかと問われる。

一方純子の元には、マンションの住民・朝妻貢と管理人の
小檜山進がやってくる。連続掃除魔事件の件で調べて欲しい
というものだった。連続掃除魔とは何なのかと問い話を聞くと
一人暮らしをしている朝妻は心臓発作で倒れたが、誰かが
救命措置をした後、119番通報して立ち去った人物がいるとい
うのである。命の恩人なので探して欲しいというものだが、
朝妻はマンションの鍵をロックし、補助錠もしていたので
密室状態だったという。最近マンション界隈では空き巣事件が
多発しているが、それと平行して起きたこの事件を密室活人
事件だと称し、人を活かす人だと語る。

芹沢の元に郁子が現れると、美術品の件で寄贈を中止すること
は出来ないかと頼みに来る。事件前日に自分の元に藤林から電話
が鳴り寄贈を辞めようと思うと電話が有ったのだという。恐らく
その件で叔父は芹沢を呼び出したのだろうと語る。しかし口答での
約束も契約は結ばれているので難しい事を語る。
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2012年4月期に放送された連ドラのスペシャル版。

冒頭ではさらりと連ドラ版の説明をしていた為に、分かりやすい
作りで好感の持てる構成だなと思っていたけど、見ていくウチに
CMの多さから来る編集の悪さと、内容のボリューム感の割りに
放映時間の長さが重なり、榎本が登場して暫くしたところがドラマ
のピークとなってしまい、その後はドラマとしてのテンション
は右肩下がりの内容だった。

密室事件解決が得意だという評判が出たことは分かるけど、
弁護士事務所に人捜しを頼むというのも変な話だし、全体的に見て
密室トリックが複雑過ぎて、あまりのクドさに消化不良を
起こす。

二つの大きな事件に介在している人物を捜すのは面白いもの
だし、動機が分からないウチはドラマとしてもそれなりに成立
していたのだけど、前半の事件は素人にしてはトリックを難解に
設定しすぎで、後半の美術館でのトリックは完全に視覚トリック
のHow toものになっていたので、説明っぽさが先行してかなり
退屈だった。

キャラクターが活きていたのも、最初の事件が解決するまでで、
その後の後半は相当我慢が必要だった。

死亡推定時刻・アリバイに関してかなり親切な作りになっていの
だけど、得てして人生には予期しないものがあるという事で小檜山
進を介在させて、結果として色んな人を助けて回っていたと
いうオチ自体は悪くは無かった。
そして遺書の矛盾点を指摘していく辺りの段取りは面白かったので
普通の刑事ドラマとして描かれている方が内容としてはしっくり
来たのかも。皮肉なことに密室自体が複雑過ぎてつまらないという
本末転倒も良いところだった。
理論的に考えればもっと複雑なトリックは沢山考えられるけど、
それを証拠無くして実行できるのかという事を考えると、ちょっと
難しい気がする。

榎本径 …… 大野智 (セキュリティグッズ販売)
青砥純子 …… 戸田恵梨香 (フリードマン・芹沢総合法律事務所弁護士)
芹沢豪 …… 佐藤浩市 (フリードマン・芹沢総合法律事務所弁護士)
鴻野光男 …… 宇梶剛士 (警視庁捜査一課刑事)

岡村郁子 …… 黒木瞳 (藤林の姪・エステサロン経営者)
松啓治 …… 佐野史郎 (新世紀アートミュージアム館長)
稲葉透 …… 藤木直人 (現代美術アーティスト)
藤林昌三 …… 黒部進 (郁子の伯父・AW証券会長)
小檜山進 …… 岡田義徳 (マンションの管理人)
朝妻貢 …… ト字たかお (マンション住人)
桐生はるか …… 松井珠理奈 (弁護士事務所秘書)
佐々木 …… 伊藤正之 (住成商事専務・被告)
立川 …… 夙川アトム (グッズを買いに来る)
ナレーション …… 真地勇志

宍戸美和公、菅田俊、佐藤玲、冨田佳輔、阿部六郎、難波圭一
市川千恵子、大波誠、高橋修、恩田恵美子、古川慎、橘家二三蔵
伊藤幸純、高山猛久、小島康志、山中章子(アナ)、西岡孝洋(アナ)

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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