スペシャルドラマ・海峡

第2話 海を越える誓い

http://www.nhk.or.jp/drama/kaikyou/

脚本/ジェームス三木

どこにも行き場のなくなった朋子は友人の岡田清美の元を訪れ
るが、ここでも状況は厳しく落ち着ける場所が無かった。
仕方なく釜山でお世話になった叔父の進藤登の元を訪れる。
登も弟夫婦に世話になっていた手前、自ら歓迎の意は表明
できない。弟は留まることを了承するが、奥さんは嫌みを発し
ここにも居場所がないことを示唆していた。

76分の中に色んなドラマを詰め込んだ感じだ。
それ故に落ち着く場所もなく、韓国へ行ったり日本に行ったり
日本国中を飛び回る印象ばかりが残った。

時代が時代だけに居候の身の肩身の狭さは何処でも目立つが、
嫌みを語るのは常に女房の役目。それだけ女性の方が生活に
シビアな視線を持つと言うことだろうか。

救世主の様に現れた木戸俊二。
日本に渡ってきて進藤登に約束の金を手渡すところに、彼の中の
誠実さを見ることが出来る。進藤登が嫌みを言いたくなる気持ち
も十二分に伝わってくるが、俊二にそれをぶつけても意味がない
事だ。

凄いのは俊二の母親、コ・ドゥシムが演じた金桂淑。
息子とは今生の別れなのかも知れないのに、息子の幸せのために
日本に送り出す心の強い役だ。しかも現状をよく見極めている。
息子のために余所様の嫁さんを不幸にするなど出来ない
とする考えの持ち主で、短いながらも凄い存在感を発揮する。

日本人が引き揚げた当時の朝鮮で日本人が生活する事の難しさ
は容易に想像が付くが、その為に二人を別れさせるのではなく
息子を日本に送り出すのだから当時の人間にとってかなり先進的
な人間だと思う。

日本に来てから同胞の助けを得て京都に落ち着く。
日本の中でも朝鮮差別の意識が根強かった事が伺い知ることが
出来るエピソードのオンパレード。日本の役人/警察
の語る不条理な論理に刃向かう俊二の姿が印象に残るが、
悲しいかな、上述した進藤登が俊二に向かって嫌みをぶつけた
のと同様に、警察官に不条理の論点を付いたところで収拾が
付くわけもない。

ただこの時代幸せだったという人はホンの一部で、朋子と俊二
が時代に翻弄されるのも分かるのだが、これだけの純愛が存在
している分幸せにも見える。互いに思う気持ちが希望に繋がり
ますからね。

それにしても二人が結婚をすると誓ったときの映像は綺麗だな。
日本でもこんなに綺麗に撮れる人が居るんだね。

そういえば山下規介さんが刑事役で出ていた。
確か作者ジェームス三木さんの息子だよね。
ジェームス三木さん自身、中国からの引き揚げ者のようなので
こういうドラマが生まれたのかな。

出演
長谷川京子、眞島秀和、辺見えみり、田島令子、津川雅彦
豊原功補、美保純、佐戸井けん太、大西多摩恵、浅野和之
山下規介、俵木藤汰、松岡哲永、五宝孝一、ミョンジュ
ハン・チェンイル、シン・スルギ、小野朝美、アンディ岸本
木元としひろ、林加奈子、小野真也、岡大介、黒神龍人
橋本千枝子、竹本翔之介、都丸智栄、イ・ジョンホ
ホン・ペヨン、犬塚弘、コ・ドゥシム

評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)

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