ドラマスペシャル 警視庁捜査一課9係
(2014年10月5日・テレビ朝日)

脚本:深沢正樹
音楽・吉川清之
ゼネラルプロデューサー・松本基弘
プロデューサー山田兼司、金丸哲也、丸山真哉
監督・新村良二
主題歌・V6『涙のアトが消える頃』

http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari/
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日曜よる9時に“9係”がドラマスペシャルで登場! 実行犯の
違う連続殺人の謎に、個性豊かな9係メンバーが抜群のチーム
ワークで挑む!!

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一年前。
百瀬フーズの宅配弁当を食べて腹痛を起こす人物で都内の病院
はあふれかえる。社長の百瀬重行は会見の場でまるで反省せず、
我が社の品質管理は幾重にもチェック体制を整えているので
我が社の製品での食中毒はあり得ないと語る。週間潮流の夏目
亜紀記者は250名が病院に搬送され3名が死亡しているにも関わ
らず責任逃れをしていると非難するが、社長は我が社を陥れよう
とするライバル会社によるものだとして一蹴する。すると
製造過程で有害物質が混入されたと聞いている事を告げるが
企業の顧問弁護士を務める久松恵理子は単なる風評だとし、
いきすぎた報道には法的な対応をすると警告する。

その半年後、走行中のバスが突然炎上する事故が発生する。
御手洗文孝はアポロンツアー社の社長を務めているが、記者
会見の場で、例え原因が整備会社にあるとはいえ、そのような
会社に任せた原因は我が社にもあると告げ土下座謝罪をする。
二人が亡くなったが生涯を掛けて償うという。
しかし雑誌では「形だけの謝罪」と称して経費削減の為に
法定点検も受けずに運行していたことがすっぱ抜かれる。
顧問弁護士を務める久松は、被害者側と妥協点を見つけて
賠償するしかないという。御手洗は例え死傷者が出たが、そんな
奴らが生きていたとしても社会に何の価値があるのかとして
横柄な態度を見せる。
そんな中、御手洗は駐車場にいるところを帽子を深めに被った
男によってナイフで刺されて死亡する。

9係は現場入り。
一番遅くやってきたのは直樹だった。
被害者は半年前に名ばかりの謝罪をしたとしてマスコミを
賑わせた土下座社長だという。財布からは抜き取られたもの
はなく、警備員によると待ち伏せしていたとする情報が
見つかる。加納は待ち伏せしていた場所を探ると明らかに血痕
のようなものを見つける。

防犯カメラ映像でそれを確認すると、不審者が駐車場に入った
のが午後8時、出て行くのが9時20分だった。死亡推定時刻が
午後9時前後からほぼ容疑者として間違いなかった。
現場の壁で見つけた血痕はB型。悪性の腫瘍に冒されている
人物であることが判明する。
加納は週刊新潮に掲載されている被害者の会の抗議している
遺族の中にその帽子の男が写っているのを見つける。
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業種は違えど悪徳の経営者、百瀬フーズの社長・百瀬重行と
旅行会社・アポロンツアーの社長、御手洗文孝が殺害される。
殺害した犯人を調べていくウチに、二人共に末期の膵臓がんを
患う人物であり、被害者との接点がまるでないことが分かる。
二人の経営者と共通しているのは、企業法務を担当していた
のが大手弁護士事務所の大河原法律事務所の久松恵理子弁護士
が担当していた事が分かる。更に新文明館の週間潮流の記者の
夏目亜紀は、執拗に二つの事件の真相を追求するために厳しい
論調で記事を掲載し、弁護士からも警告を受けていたことが
判明する。

7月期に放送していたドラマだけど、早くもスペシャル版として
登場するところは意外ではある。
結果として見ると、このスペシャル版はシーズン9に組み込まれても
おかしくないものがあるので、全12話構成だったというところ
だろうけど、一度物語を切り離して、スペシャル感丸出しにして
描いていくという当たりが実に憎たらしい演出だ。

特にシーズン9で衝撃だったのが、直樹と倫子の間で起きた色恋沙汰
で、二人が別れるというところから始まったものだったので、
その原因である"倫子の精神的なところに起因する味覚障害"の流れを
解決する流れとして描かれた。

複数にわたる事件の場合、犯罪者と被害者のそれぞれの共通点を
探る作業はドラマでは当然の流れだと思うけど、その作業が
ある意味面白い内容だった。
必ず何処かに繋がりは有るハズで、その証拠をどのような過程を
経て突き止めていくのか。

第一印象では如何にも弁護士の久松と記者の夏目が組んでいて
世直し殺人でもしているような流れが有ったけど、まるで
反省していない経営者たちの妙な自己中心的な階級意識を持って
いるところを見ると、過去に共通する殺害した人物がいるで
あろうことも分かる。そしてそれが大学時代の存在していた
やりたい放題のサークルだった"YTCサークル"であろうところで
繋がっていくところは興味深いところ。

当時の時代からすると相当バブル期だったのだろうなと思うと
その時代に生きた人たちが、妙な階級意識をもって人を人と見て
いない人物として成長している姿が有る。
何をするにしても経営者として地位が確立されているところを見ると、
如何に親の教育がしっかりとしていないと大変なことになる
のだろうね。

マジメで地味に生きて来たと思っていた人物も気が付くと、
自分も悪の人間と化しているという当たりがなんとも憤るものが
有るけど、最後に犯人の性格が変わって豹変したかのようにして
ナイフを差し出す流れを見ると、あまりに違和感が有ってある意味
何の冗談なのかと思うほどに滑稽さが有った。

過去によって脚を引っ張られること。
自分かわいさに犠牲にしてしまった娘の死の現実が、その後の彼の
性格をねじ曲げるに値するものだったのだろうけど、あの場面で
正直あの少女を助けるのは相当難しかっただろうなと思うと、
瀬戸山も被害者的なものはある。しかしその後の行動には相当
ねじ曲がったものがあって、そういう所に人となりの性格が表れて
しまうのだろう。

倫子と直樹が山梨で偶然出会うとか、倫子と亜紀が既に精通した
関係に有るという唐突な設定にも多少目をつむる必要があるけど、
過去を絡めた流れとしてはそれなりに面白く構成されていたかな。


加納倫太郎 …… 渡瀬恒彦 (9係・警部)
浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (9係・巡査)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (9係・巡査部長)
青柳靖 …… 吹越満 (9係・警部補)
矢沢英明 …… 田口浩正 (9係・巡査部長)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (9係・警部補)
早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (東京都監察医務院に勤務する監察医)
石川倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の彼女)

久松恵理子 …… 高岡早紀 (大河原弁護士事務所・女性弁護士)
瀬戸山和義 …… 林泰文 (亜紀の上司"新文明館")
夏目亜紀 …… 原田佳奈 (32歳、女性記者"週間潮流")
樫村幸作 …… 中山仁 (ぶどう園)
御手洗文孝 …… 阪田マサノブ (旅行会社社長)
大河原益男 …… 森下哲夫 (弁護士事務所代表、元検事)
百瀬重行 …… 田崎トシミ (食品会社社長"百瀬フーズ")
江尻慶介 …… 嶋本勝博 (百瀬を殺害した)
井川博英 …… 石田佳央 (37歳、御手洗を殺害した犯人)
時田正則 …… 山上賢治 (アポロンツアー専務)
小杉義弘 …… 大森博史 (サンレッド勝沼ワイナリーオーナー)
樫村百合香 …… 冨手麻妙 (樫村の娘)
井川清美 …… かとうあつき (井川の妻)
井川竜太 …… 矢村央希 (井川の息子)
江上聡子 …… 頴娃靖子 (江尻の母・認知症患者)
夏目克典 …… 野村将之 (夏目の兄・元司法修習生)

かなやす慶行、田中護、松原啓介
怜果、杉野なつ美、明石浩充、青柳尊哉、穴原陽
杉浦双亮、松田知己



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