第23回ヤングシナリオ大賞　 (2012年12月25日・フジテレビ) 脚本／宮本陽介 プロデュース／石井浩二 演出／��野舞

父と幼い娘の感動物語「君は空を見てるか」 

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井口亮介は子供の頃、父親からホントはオレの子ではないと言
われた事がある。しかしそのすぐ後に嘘だと言われるも、その
言葉の真意は分からなくなっていた。

一ヶ月前。
埼村優一(43歳)は、娘・美園の為に食事を作る。
娘はメイクにハマっていて、友人の光の下に会いに行こうとす
るが、父は食事を食べてからいけという。そんな折り、家には
借金取りである富岡正がやってくる。富岡は娘の小学校にまで
借金取り立ての圧力を掛けてきていた。優一が働いていた会社
の社長・玉野が優一を連帯保証にしたまま、借金を残していなくなっ
た事で彼はその借金を全て背負っていたのである。社長は必ず
戻ってくるのでもう少し待って欲しいと訴えるが、突然富岡は
口から泡を吐いて倒れる。優一と会話していた場所が階段口
だったこともあり、階段から転落して亡くなってしまう。
近所のアパートの住民・松野知子はそれを見て人殺しだと叫ぶ。

優一ははオレではないとしながらも、美園を連れて外に出て行
く。娘は亡き母・麻美の墓前に祈りを捧げてから出かける。

優一は与田弁護士に相談すると、自分ならば目撃者を捜す事が
先決だという。見ていないものだと思っても必ず誰かは見ている
ハズだという。今度は執行猶予では済まされない事を告げられ
る。

町の交差点で、優一と美園は井口の運転する車にぶつかりそう
になる。井口は現場で太田記者と接触し、容疑者の顔写真を
見せられると先ほど交差点でぶつかりそうになった人物だと
知り、すぐに彼の元に行き彼らを車に乗せる。自分はフリーの
記者であり、あんたを掴まえに来たのではないという。
彼は自分の家へと連れて行くと、自分は借金取りの富岡の勤めて
いた会社の親会社であるリンググループの出資法違反について
調べている事を告げ、グループの責任を明るみにしたい事を
語る。例え優一が富岡を殺害していようとも、自分は匿う
つもりだという。

警察署では市川アパート転落死亡事件の帳場が立つ。
刑事の吉田、北見、宮脇は、第一容疑者である優一の捜索を
するとともに、富岡についても調べ始める。
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お人好しの優一は、社長の与田の紹介によって麻美と結婚する
も、彼女の元夫がDV持ちで、彼を殴ったことで傷害罪として
危うく起訴されそうになる。社長の助言によって執行猶予が
ついた事で、優一は社長の借金の連帯保証人になるが、社長は
ある時夜逃げ同然に居なくなる。残った謝金を優一が払う事に
なるが、借金を取りに来た男性が突然階段から落ちて亡くなる
事で、容疑は優一に向けられてしまう。

短いスパンのドラマなので、全てが解決する物語でもなく
色んな複雑な要素が入り交じっていた様な話だった。

井口の視点から見れば、父親との関係に於いて心の傷とも
言える言葉を投げられたことがきっかけで、真実を追究するため
に記者になったような感じ。しかしいつの間にかその信念も揺らいで
金儲けの為の記者になってしまった様な役柄だ。
一つの出会いをきっかけにして人生の修正を図っていくとい
うのは面白いけれど、ドラマとしてはやや中途半端な流れでは
有った。

一方主人公の優一は、人の良さから人生損をしていくタイプの
様で、それでも血の繋がらない娘との関係に勢力を注いでいる。

親子としての血の繋がりが一つのテーマとなっており、
そんな血の繋がらない親子と一人のジャーナリストを面白い具合に
引きつける。そのジャーナリスト自身にこの親子関係の持つ正直さが、
上手く影響を与えていった感じだ。

ドラマを見て一番恐いのは、殺人の冤罪をかけられた時にそれ
を晴らすことの出来ない状況が描かれた事。特にどんな形で
アレ一度でも罪を犯したことで、先入観から人を見る目が変わってしまう
所が恐ろしい。世の中の人は過程ではなく、結果や肩書きで
人を判断するものなんだなと感じさせるものがあった。

刈谷友衣子さんが脇役で出演。NHKのドラマ「金魚クラブ」と同様に
やっぱりここでも居場所を探して彷徨い歩いていた。