ドラマ奇跡の動物園・旭山動物園物語2010

〜旭山動物園物語〜日本一の新たな挑戦!幻のアザラシジャンプ
氷点下過酷な流氷作り子ライオンと涙の別れ命を描く実話最新作


脚本/大島里美
監督/加藤義人
プロデューサー/加藤義人、小林みつこ
企画/金井卓也

http://wwwz.fujitv.co.jp/b_hp/100212kiseki/index.html


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旭山動物園は新しい命が日々生まれる。

坂内の元にボルネオで獣医をしている長谷川勝人から手紙が
届く。狭い檻に閉じこもっていないで、こちらに来てボランテ
ィアをしないかという誘い。
いよいよ坂内が夢に見ていたシンリンオオカミの遠吠えを身近
で聞くことが現実のものになろうとしていた。ついに行動展示
の中にオオカミ館が出来たのである。

一方光ヶ崎動物園から2泊3日の時を経て遙々フェリーでキリン
が運ばれてくる。キリンは一歳を超えると引っ越しが出来無い
のだという。理由が分からない飼育員達は坂内に尋ねると、
移動の際にトンネルを通れなくなるからだという。

あざらし館の責任者が中川新一になる。既に動物園でも人気の
有る館だが更なる努力とアイディアを求められる。

坂内はその頃、新しいアイディアの為に東の果て知床へと
向かう。ネイチャーガイド・美山かおるの案内で自然のエゾシ
カの生態を見に来たのである。90年代に急激に増え始めた
エゾシカによって自然界が破壊されるという事態が起こってい
た。鹿が木の皮を食べることで木が枯れ、森が破壊されるの
だという。ただ鹿を悪者にするのは可愛そうだという美山。
しかし何もしないと森が消えることは明らかだった。
大型展示エゾシカに決める坂内。

その頃キリンと一緒にやってきたのは、矢部裕司の姪で16歳の
茅野瑛里だった。突然学校に行かなくなったという彼女は、
動物園ならば行っても良いというので今回帯同してきたのであ
る。瑛里が着くとすぐにライオンの出産があり、彼女をその現場
に連れていく。その様子をモニター越しに見ていた牧原優一郎
は我々に出来るのはただ遠くから見守るだけだという。

瑛里は名目上ボランティアスタッフとして動物園にやってきた。
雪国に突然やってきた彼女は場違いな靴を履いてきて滑って
しまう。それを見ていた泉佐和子は滑り止めを履かせてあげる
が、格好悪いから要らないとしてそれを取ってしまう。矢部
から瑛里の事情を聞かされる。

そんな中、園長・小野勇夫の定年は刻一刻と迫っていた。
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園長の定年が近づく中、動物園としての在り方について考えさ
せたり、自然と動物の関係、そして動物園という見せ物小屋の
中で、動物をどのようにして魅せるのが最適なのかを考えさせ
られるものだった。

ちょっとドラマとしては色んなドラマが山積していた様にも
感じる。

ドラマとして興味深く映ったのは、行動展示という事で動物たち
に自然には有り得ないような行動をさせる事への是非が葛藤
して描かれた部分だ。

中川と坂内の衝突は、動物園としての在り方を示すものだった。
自然の環境というものを経験したこともないのに、坂内が自然
を意識しすぎる事への疑問符を投げかけるモノ。見に来る人たち
への間違った知識の植え付けに警鐘を発するモノ。
泉と坂内の衝突は、自然界へのアプローチの仕方を示唆するもの
だった。

どちらも坂内の裁量によって右にも左にも結末がぶれるもので、
そのどちらが正しいものなのか、判断に迷うところもある。
そこには命に関わる判断も伴うために、心情的には坂内の決断
ではなく泉の決断を指示したい部分も出てくる。

ドラマとしての命題が大きすぎて遠くに感じるという人が登場
するが、まさにテーマとしては壮大なものだ。
最近このドラマで訴えられる事は色んな所で目にする。
田中哲司さん嘉数一星くんが出演するNTT東日本のCM「少年と
父編」でもイチローみたいになれるかな?という子供に対して
なりたいと思ってなれるものではないが、なろうと思わなければ
決してなりないことを口にする。
このドラマでもそんな一歩を踏み出す勇気を訴えた。

今回は動物園の職員内で葛藤をもたらしたことは、ある意味
園長が引退する現実を前に、彼らが独り立ちできるかどうかの
テスト的な意味合いも有ったのかも知れない。
坂内のやり方が決して間違っていない事を強調する訳だが、
その都度分からなくなれば自然に帰って学び取ってきたり、
仲間の中で意見を出し合い問題を解決していけば良いのでは
無かろうか。

茅野瑛里のエピソードや、動物園の拡大路線に対する是非も
描かれたが、やや中途半端な流れながらも、結構響いてくる
ものが有ったかな。
水沢エレナさん、いつの間にか滅茶苦茶綺麗になっていますね。

坂内禅 …… 山口智充
泉佐和子 …… 戸田恵梨香
中川新一 …… 小出 恵介
矢部裕司 …… 利重剛
佐々木征也 …… 荒川良々
井村一葉 …… 酒井敏也
牧原優一郎 …… 伊東四朗
小野勇夫 …… 津川 雅彦

茅野瑛里 …… 水沢エレナ
長谷川勝人 …… 吉田栄作
美山かおる …… 紺野まひる
平尾賢一 …… 小林正寛

飯田基祐、永田彬
木場勝己、小沢道成、田口主将、伊勢志摩、鈴木綜馬
児玉謙次、曽川留三子、井上智之、井上史欧、石山蓮華
加島碧、平岩輝海、渕辺凌雅、宮武祭、中村一輝、船附道治

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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