黒部の太陽・前編 「戦後日本の復興に命を賭けた男たち! 巨大ダム建設のために前人未踏の秘境に挑め!!」 フジテレビ開局50周年記念ドラマ特別企画 原作／木本正次 脚本／大森寿美男 監督／河毛俊作 http://wwwz.fujitv.co.jp/kurobe/index.html

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敗戦から復興しようとしていた日本社会だが、日本全国が電力
不足に悩まされていた。
関西電力、太田垣士郎社長は黒部川第四発電所建設に着工する
ことを決意。
佐久間ダム建設に成功し名をあげていた熊谷組工事課長の木塚
一利と実質的に現場を取り仕切っていた倉松班の親方、倉松
仁志に白羽の矢を立てる。
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日本で語り継がれる黒部川のダムの建設の物語。

戦後復興に於いて最も懸念されるべきは、電力の供給不足の
問題。冒頭から頻繁に停電になったり、節電日などが設けられ
ていたりして、市民達が苦労している様子が伺える。
電力がなければ経済も発展しないとばかりに、ダムの建設に
よって電力供給を安定させようとする男達と、それを見守る
家族や女性達にスポットが当たる。

番宣の中で掘削現場は男性ばかりなので、泉ピン子が来ただけ
でも異様な盛り上がりを見せていたと言っていたので、男臭い
ドラマなのかと思っていたが、意外と女性陣の登場・活躍シーン
も多かった。

何と言っても一番目に惹くのは言葉遣いか。
昭和30年代の父親に対する娘達の丁寧な言葉遣いに関心される
と同時に、とても心地良い感じがした。

ドラマとしては色んな対立点が目に付く内容だった。

主に現場である熊谷組とそれを取り仕切る関西電力による
トンネルに賭ける思いの違いがドラマとして骨太なテーマと
して存在している。
トンネルを掘削する倉松が求めているのは仕事のためにトンネル
を貫通させる事であり、意地と誇りのためであるという。しかし
関西電力の滝山薫平は未来のため、国のために努力せよと
ばかりに工期の遅れを決して許そうとはしない。

面白いのは関西電力の内部の中でも経営者としての観念と技術者
としての視点が面白いように対立点を生んでいるところか。

時代性を考えれば戦争を経験して居るであろう滝山薫平が、お国
の為と思う気持ちも分からないでもない。ただ未来有る若者
たちは、あくまで自分たちのために行っていることで、国家や
未来という枠組みでは捉えられたくない気持ちが存在している。

また滝山薫平は定年間近の役柄であり、一線からは退きたい
心情なども有るようで、家族のために落ち着きたい気持ちとは
余所に会社が仕事を押しつけてくるところなどは、複雑な感情
を刺激する部分でもある。娘が病気だと分かったときに父親は
仕事と家庭どちらを取るのかは、後半部の興味深いテーマに
なってきそうだ。

ドラマとしては細かいエピソードが沢山散りばめられているが、
中でも沢井甚太と川口文子の恋愛関係は、昭和っぽいドラマが
待ち受けていてなかなか光るモノがある。
仕事が終わったら結婚して欲しいと告げた時点で、甚太が亡く
なるというフラグが立つような内容だったが、甚太の純情ぶり
は特に時代性を反映しているのかなと思わせる。

更に何と言っても特筆すべきは映像美か。
トンネル工事物語なので、セットが大半かと思っていたが、
とても美しい景観の数々を見せられた気がする。
途中で大町の地主から土地を買収していくシーンなども存在
するが、この地主の家周りだけを見てもとても美しい撮り方
をしていたと思う。地味なドラマを色んな所を魅せるように
しているところは流石だなと思った。

〜熊谷組倉松班〜
倉松仁志 …… 香取慎吾 (親方)
沢井甚太 …… 勝地涼
島崎哲蔵 …… 火野正平
石川伸也 …… 趙[王民]和
山下護 …… 木村昇
沢井甚五郎 …… 國村隼

〜関西電力〜
滝山薫平 …… 小林薫 (黒四建設事務所・次長)
太田垣士郎 …… 中村敦夫 (関西電力・社長)
林昭太郎 …… 竜雷太 (関西電力・副社長)
芦田昌章 …… 平泉成 (関西電力・常務)
平岡栄太郎 …… 小野武彦 (黒四建設事務所・所長)
向坂一徳 …… 宇梶剛士 (黒四建設事務所・事務担当次長)
武川毅 …… 大鷹明良 (黒四建設事務所次長・宇奈月支所長)
吉村亘 …… 寺脇康文 (関西電力建設部・次長)
村木勲 …… 遠山俊也 (黒四建設事務所・土木課長)
根岸弘泰 …… 柳葉敏郎 (黒四建設事務所・庶務課副長)
安達直樹 …… 山崎樹範 (黒四建設事務所・事務職員)
橋本幸吉 …… 矢島健一 (関西電力・社長秘書)

大牧治郎 …… 津川雅彦 (熊谷組・専務)
船田克巳 …… 伊武雅刀 (熊谷組・大町作業所所長)
木塚一利 …… ユースケ・サンタマリア (熊谷組・大町作業所工事課長)

滝山ふじ江 …… 風吹ジュン (薫平の妻)
滝山幸江 …… 綾瀬はるか (長女)
滝山響子 …… 末永遥 (次女)
滝山光子 …… 志田未来 (三女・白血病?)
倉松ツル …… 泉ピン子 (母親)
倉松の父 …… 春田純一 (額の中)
川口文子 …… 深田恭子 (甚太にプロポーズされる。赤線経験)
北島香 …… 浅野ゆう子 (女医・光子を診察)
遠山博士 …… 古谷一行
源吉 …… 田中邦衛 (大町の地主)
民子 …… 本仮屋ユイカ (仁志と見合い)
若一王子神社の氏子総代会長 …… 山田明郷
青葉の女将 …… 杉村暁 (文子の働く料亭)
ホステス2 …… 松田沙紀
キャバレーの客 …… 若山慎
ナレーション …… 三上博史

歌澤寅右衛門、木村多江、桑名湧、児玉頼信、嶋崎伸夫
田窪一世、武田義晴、津村雅之、渡仲祐蔵、西慶子、平尾仁
古川真司、八木優希、山野史人、Blake Crawford
John McDonald

評価：★★★★★★★☆☆☆ (7.0)