ドラマスペシャル 迷子 
(2011年2月19日・土曜21時・NHK)

脚本・前田司郎
演出・中島由貴
制作総括・越智篤志
技術統括・森本祐二

http://www.nhk.or.jp/osaka/maigo/



ねえ、誰なんですか?言葉の通じない外国人のおばあさんと若者たちの心の旅
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迷子になった外国のおばあさん(ユン・ユーチュン)を助けよう
と、都会の“心の迷子”たちが心を通わせる、一夜限りの物語。

都会の雑踏に、一人のおばあさん(ユン)が座り込んでいる。
トミー(太賀)、菊地(永嶋柊吾)、木島(山田健太)の男子高校生
3人組と、OLの
君枝(中村映里子)が声を掛けるが、言葉が通じな
い。どうやら外国人の迷子らしい。困った彼らは警察に連れて
いこうとするが、警察官を見たおばあさんは突然、姿を消す。
おばあさんが逃げ込んだ先は、公園のホームレス・
斎藤(逢坂
じゅん)
の小屋。途方に暮れる斎藤。そこに斎藤の顔見知りの
高校生・
ミキ(南沢奈央)、大学生・雅夫(金井勇太)、ミキの
弟・
コウシ(岡田廉)が通り掛かる。何とかしてあげたい彼ら
は、通訳をしてくれそうな人を探し、おばあさんとの珍道中を
開始する。 

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交差点の前で一人のお婆さんが道に座り込んでいた。
誰もが不思議そうに眺めながらも声を掛けずに居る中、三人
の高校生が話しかける。するとそのお婆さんは日本語が全く
通じなかった。

言葉が最後まで一貫して通じないという不思議なドラマだった
けど、通じない事へのもどかしさばかりが少々際だった話
だった。

このドラマの面白いところは、お婆さんとのコミュニケーショ
ンばかりでなく、それ以外の日本人同士のコミュニケーショ
ンに於いても、実際にはなかなか意思の疎通が図れずに、もど
かしさを感じる部分が上手く照らし出される事だと思う。

日本語を話し合える状況にもかかわらず、丸太と君枝は互いに
ドモったりして正確に言葉や意思をを伝えられなかったり、
ミキと雅夫、ミキと菊地の間に於いては、恋心が有ることを
上手く表現できなかったり、富山、菊地、木島の間でも友人
同士であるにもかかわらず、なかなか本音で語り合えない部分が
存在している。

都会の世知辛い一面が、ドラマでは至る所に散見され、
必要以上に詮索する警察官に始まり、滅茶苦茶な親子関係やら
ホームレスの存在など、これでもかという位に底辺を照らし出
している。
そんな状況に於いても、人との出会いの興味深さみたいなもの
が面白く浮かび上がってくる。

これだけの人口が居る東京に於いても、なかなか隣・近所・
すれ違う人との関係が結ばれない中で、ちょっとしたきっかけ
によって、人との繋がりが見えてくるところにドラマとしての
面白さや人生の楽しさが詰まっている。

演劇のような長回しのワンカット、人とのコミュニケーション
が自然な流れで進行するところなどとても特徴的で、光るものが
あった。流石NHKのドラマだ。

お婆さん …… ユン・ユー・チュン (日本語が話せない)
猪野ミキ …… 南沢奈央 (高校生、お好み焼き"オカメ"でバイト)
相田雅夫 …… 金井勇太 (ミキの住むアパート大家の息子・大学生)
丸田大吾 …… 忍成修吾 (職質をかけられる、社会人??)
篠田君枝 …… 中村映里子 (OL)
富山 …… 太賀 (高校生・継母が外国人・父が怖い)
菊池 …… 永嶋柊吾 (高校生・メガネ、ミキを追いかける)
木島 …… 山田健太 (高校生)
猪野コウシ …… 岡田廉 (ミキの弟、サッカー選手を目指す)
斎藤 …… 逢坂じゅん (ホームレス)

炭釜基孝、宮城誠、板東正敏、酒井高陽、ペク・スングッ
全リンダ、蔵内王太


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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