謎解きはディナーのあとでスペシャル (2012年3月27日・フジ・火曜21時) 原作：東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」 脚本：黒岩勉 音楽：菅野祐悟 プロデュース：永井麗子 演出：土方政人、石川淳一 主題歌：倖田來未「Love Me Back」 主題歌：嵐 「迷宮ラブソング」 http://www.fujitv.co.jp/nazotoki/index.html

「東京、香港、沖縄、驚愕の三都ミステリー有名画伯を襲った
密室殺人事件〜南国の夜に狙われた令嬢と消えた遺体。死の
棺桶で灰となる名画の謎〜逃亡を図る美女の正体とは？完全犯
罪に執事探偵と令嬢刑事が挑む！」
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昨年放送した連続ドラマの特別編。大財閥の令嬢という身分を隠
した刑事・宝生麗子(北川景子)と、彼女に仕える毒舌執事・影山
(桜井翔)が、ある焼死体が見つかった事件の謎を解いていく。
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影山が香港にいる麗子の父に年次報告のために一週間日本を
留守にする間に、刑事・麗子の前に幾つかの不可解な事件が
起きる。
大学の体育倉庫でクラブ運営費が盗まれる事件が発生したかと
思えば、休暇で訪れた沖縄で麗子は不思議体験を数々経験し、
東京に戻ってくると、有名画家・松下慶山のアトリエで本人の
ものだと思われる焼死体が発見される。
戻ってきた影山に全てを話して謎を解いてもらうのだが・・・

小説の中で見れば恐らく二つの事件の繋がりにも違和感が無い
のかもしれないが、全く関連性のない二つの事件の流れを強引に
合致した感じの流れが有り、捜査していくウチに二つの流れに
共通点を見いだすのならば分かるのだが、麗子の話を聞くだけ
で、二つの流れが合致すると考えてしまう影山を見ていると
世の中は麗子中心にしか回っていないとしか思えない程の
世界観の下で物語が描かれている。

久しぶりに見ると相変わらず安っぽいドラマに見えてしまう所
があって気になる所が多かったな。

今更否定しても仕方がないのだが、全ては麗子が詳細に語る
話だけで影山が結論に導いていくこともあって、事件の真相の
究明には相当難しい物が有ると思わさせれる。
今回影山が指摘していた事にも繋がるけれど、大抵人が物を語
るという事は、それ相応の主観が入り交じってしまい、事の真相
が分からなくなってしまう。女性は話したい話を優先してしまい
時系列を忘れがちだとする辺りの指摘は興味深かったけど、
酔っ払った麗子が当時のことを詳細に覚えているというのも不
自然な話だし、アトリエで見つかった箱を調べていけば、あれ
だけ大きい物がアトリエに運び込まれているのだから、十分
沖縄にたどり着く物語なのに、一切捜査した形跡がない。
麗子はレギュラー放送の中でそれなりに成長していた筈なのに、
またしてもリセットがかかってしまった様だ。

ドラマとしては、画家の苦悩なり、日常から解放される沖縄の
地を利用したメインの部分はそれなりに面白くは出来ている。
芸術に対する人々の曖昧な視線も皮肉として面白く描かれて
いるし、金や名声によって人の行動が制約されてしまう事での
苦悩と開放感を沖縄の地を使って描いていく。

冒頭で意味のなさそうな大学生のエピソードも見方によっては
テーマの中にある"学生"という刷り込みが行われているので、
全く無関係であるとも言い切れない物が有るし、影山の芸術に
対する広い見識が上手く事件解決に導いたり、宝生家と風祭家
の格の違いを見せつける所にも上手く芸術を使って表現している
ところは悪くはないと思う。

内容を見ていると、風祭が勘違いしているショウレイの流れを
ピアニストのレイコウの流れに結びつけていく物が有るのかと
思っていたけど、全く違う意図で利用されていたのでちょっぴり
肩すかしを食らった気分だった。

ドラマ「喰いタン」でもスペシャル版は香港だったけど、
中国を巻き込みたい意図があるのかな。