任侠ヘルパーSP・国際ドラマフェスティバル優秀賞受賞記念 

脚本 - 古家和尚、池上純哉
企画 - 後藤博幸
演出 - 西谷弘
プロデュース - 牧野正

連ドラ版・任侠ヘルパー



「完全新作!介護への華麗なる転身を遂げたあの極道たちが帰ってくる!今の日本をぶっ飛ばせ!!」
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袴田静枝は、安心ふれあいコールと呼ばれる独居老人を対象に
したサービスに電話する。電話の対応に出るのは
美佳(ミク)
毎日サービスを受ける彼女の今月の使用量は19万2千円にも
なっていた。入金次第また話せるようになるという美佳。
静枝は通帳を探す中、そのまま一人アパートで亡くなってしま
う。

介護施設"タイヨウ"は一年後、再び施設運営の許可がおりて
営業を始める。施設の職員として残っている施設長の
園崎康弘
を始めとして松原浩美、黒沢五郎、美空晴菜は再会したことを
かつて入居者に電話して回るが殆どの場合、別の施設へと入居が
決まっていた。
取りあえず近くの団地に再会のお知らせを配りに行こうと営業
が始まる。

一方
彦一かもめ通り商店街に有るラーメン店"道草"の隣に
有る
ゲームセンターで寝泊まりしていた。この店舗の持ち主は
ラーメン店を経営している米長のもの。
商店街は軒並み閉店し、町は閑散としていて、営業しているの
はラーメン店とゲームセンターくらいしかなかった。

涼太と彦一は、羽鳥晶が療養している白岬灯台病院へ会いに
いく。若年性のアルツハイマーを患う晶は、息子を見ても
認識できるときと出来ないときがある。しかし最近はとても
調子がよいとして、主治医の
竹村は、精神力の強さによって
病状が安定しているのであろう事を告げる。彼女には強い思い
が存在し、認知症治療には大事だと彦一に告げ、彦一のことを
普通の道に歩ませたいとする思いによって支えられている事
を告げる。

静枝が住んでいたアパートに親戚がやってくる。
死後のことを静枝は全て用意していた。手伝いに来ていたタイ
ヨウの職員は、静枝が無縁仏に入るのを避けるために、親戚の
龍平に遺骨を引き取ってもらえないか?とするが、受け入れを
拒否する。
静枝は老人専門サービスを利用していたが、それは高額で
しかも電話だけの対応のみ。なんとかタイヨウの方で、関連する
サービスを提供できないかと考える。かつてここで働いていた
六車はマネージメント会社を設立しており、協力してくれる
という。
絆の制度化を目指す市民の会を立ち上げているさなえが共に
タイヨウと協力してサービスを立ち上げることになる。

その頃、鷲津組の
ワシオたちは、隼会のシマを占領し、徐々に
勢力を拡大する。
二本橋賢吾は、彼の組員が鷲津組のシマで
営業していた為に、ワシオたちから袋だたきにあい、金を出す
よう求められる。久米と隼会若頭の
四方木りこは仲裁しようと
やってくる。金は出すというりこ。
しかし隼会の若い構成員たちは、鷲津組の横暴に今にも戦争を
仕掛けようとばかりに意気込んでいた。

一方駅前の再開発をもくろむ
樽川コーポレート樽川潤は、
米長敏夫のラーメン店に立ち退きをお願いするために何度も
足を運ぶが断られる。樽川は鷲津組の構成員の一人で、安心ふ
れあいコールなど老人たちを食い物にするサービスも取り仕切
っていたのだった。

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タイヨウでの騒動が収束し、ヤクザから足を洗い堅気になった
彦一は、涼太を預かり、認知症を患う晶の事を面倒見ていた。
そして彼は彼女にプロポーズしようとするが・・・

ヤクザでないと出来ないことが今回の物語の中で抽出され、
気質になった彦一に対して、かつての居場所に戻るのか否かの
選択を再度強いるような物語だった。

相変わらず老人問題については鋭く描かれているし、それを
食い物にするものたちの存在が嫌らしく描かれる。

ドラマとしては連ドラ版で彦一ら隼会が、ヘルパーとして働く
姿に違和感が有ったけれど、今回はそんな老人相手の商売に
鷲津組までもが関わっていることで、老人向け商売が完全に
ヤクザたちのターゲットになっているという何とも悩ましげな
ものが有る。

さなえが掲げている主張も立派なものが有るのだが、胡散臭さ
は払拭できず、金のあるところに群がる人たちが、どうも信用
出来ないのは、世知辛い世の中を反映しているのか。

独居老人の持つ悲しい境遇が描かれるのはもちろんのこと、
そんな老人達はこれまでの人生経験が長い分、なかなか性格や
信念を曲げてまで社会に入り込めない難儀な一面が描かれた。

ドラマでは何度も彦一がタバコを吸うのを止められるシーンが
有るけれど、窮屈な世界に縛られている感じがまた、ルール
とはいえ現実社会に生きる人間達の心を縛っている感じがする。

型破りだった彦一も、気質になれば社会のルールに従わねば
ならない辛さと共に、自分らしさを見失いつつ有る事への
寂しさ、そして恋人の為に生きるのか自分のために生きるのか
の選択を強いていくところなど、なかなか上手い葛藤を持ち込
んだ話だったと思う。

当然最後は暴れるしかないでしょうとか思ったけど、単純に
暴力シーンを見せない演出には好感が持てる。

翼彦一 …… 草なぎ剛 (隼会・翼興業組長)
四方木りこ …… 黒木メイサ (四方木連合組長)
和泉零次 …… 山本裕典 (介護福祉士)
鷹山三樹矢 …… 薮宏太 (鷹山組構成員)
黒沢五郎 …… 五十嵐隼士 (伍社組構成員)
美空晴菜 …… 仲里依紗 (ヘルパー)
六車雅人 …… 夕輝壽太 (六車組組長)

羽鳥涼太 …… 加藤清史郎 (晶の息子。虐められてる)
日野弥生 …… 中別府葵 (「ハートフルバード」第一秘書)
堀井皐月 …… 安田美沙子 (「ハートフルバード」第二秘書)
松原浩美 …… 橘ユキコ (ヘルパー1級資格)
大島陽介 …… 山田親太朗 (ヘルパー)
古賀健介 …… 高木万平 (ヘルパーのアルバイト、双子の兄。)
古賀康介 …… 高木心平 (ヘルパーのアルバイト、双子の弟。)
戸川由香 …… 甲斐まり恵 (ヘルパー)
野村愛香 …… 三浦まゆ (ヘルパー)
七海和樹 …… 向井理 (隼会・翼興業構成員)
鷹山源助 …… 松平健 (隼会若頭・鷹山組組長)
二本橋賢吾 …… 宇梶剛士 (二本橋興業組長)
園崎康弘 …… 大杉漣 (老人介護施設「タイヨウ」オーナー)
羽鳥晶 …… 夏川結衣 (「ハートフルバード」社長)


米長さなえ …… ミムラ (市民の会、敏夫の娘)
米長 敏夫 …… 北村総一朗 (ラーメン店"道草"経営)
樽川 潤 …… 北村有起哉 (樽川コーポレート社長)
竹村 …… 岩松了 (白岬灯台病院・医師)
立花浩平 …… ベンガル (独居老人)
美佳 …… 高橋真唯 (安心ふれあいコール)

沼田爆、新海なつ、谷川昭一朗
森富士夫、三浦誠己、鈴之助、渋川清彦、森永健司、CHIKARA
石井マサト、森里一大、伊勢田隆弘、内ヶ崎ツトム、日暮玩具
阿見201、山田公男、古川慎、小貫加恵、藤井京子、原田文明
横塚真之介、松波志保、鈴木雄一郎、花戸祐介、渡邉とかげ
夏樹リオ、川島鈴遥、高村竜馬、伊川慧、小柴亮太


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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