お母さんの最後の一日
(2010年9月11日・テレビ朝日)

脚本・原作 - 北川悦吏子
監督 - 新城毅彦
音楽 - 梅堀淳
プロデュース - 三輪祐見子、河瀬光
チーフプロデューサー - 五十嵐文郎

http://www.tv-asahi.co.jp/okaasan/


--------------------------------------------------------
有村桃子と姉の琴子は、姉の運転で病院に向かう。
車がぶつかりそうになるのを見ると、病院に付くまでに死んで
しまうとして桃子は不満を示す。

看護師の橘美由紀は、母・佳子と二人で暮らす。しかし最近
母が娘の持ち物を勝手に見ることに不満を示す。今日は帰るの
が遅くなるとして出社する。

先生が言うにはあと一・二週間の命。現在も奇跡的にもって
いるという。琴子は泣かない練習をする。

******
琴子は母の日記を手にしながら母について思い浮かべる。
娘のことに母のことを殆ど知らない事。どんなだったのだろうか。
1949年(昭和21年)生まれの享年63歳。これは日記の最後の一ペ
ージの話。
******

母・凛子の病室に父・弘文。夫婦仲良くしている姿に、次女
聡子は病室に入りづらい。姉が京都駅についた事を報告する。

桃子は琴子に病院に付く前に話があるという。
母には男が居たみたいだとの事。その男がイケメンで、リチャ
ード・ギアみたいで、父とは違うタイプだという。

聡子は恋人の渡辺信之に電話。彼は親に紹介して欲しいと考え
ていたが、聡子はタイミングを図っていた。

琴子たちが合流し病室へとやってくる。緊張感を持って病室に
入る琴子。家族が揃った光景だった。しかし父は女たちの騒がし
さの輪に入れず、一人母のガウンを取りに家に帰る。
母は娘たちの前で、思い残すことはないが、孫の顔がみたい事
を告げる。琴子も桃子もそんな兆候はないか?と問うが、無いと
済まなそうに語る。
聡子は現在市役所の広報誌を作っていた。母は聡子が作った
広報誌をみんなに見せる。

琴子は三姉妹の前で母の恋人の事を尋ねる。
毎日バラの花一輪を持ってくる人だという。そんな話をして
居る中、その彼がやってくる。三人は静かに彼の動向を見守る
中、病室の前に居る彼に琴子が声を掛ける。花を渡しておいて
くれないか?と告げ、琴子を見ると東京の一番上の娘さんか?と
し、大きくなったと感慨深げに語る。子供の頃の事を知っている
のか?

母の元に行くと、昼ご飯を食べてくれば?と言われ、外で食事
にしにいく。話題はバラの花を届ける男性について。今の所
父とは鉢合わせしていないという。母は病状を知っても平然と
している事に驚くが、聡子は父にはストレスをぶつけている
みたいだという。しかも父は心療内科に通っている事を聞かされ
琴子は意外に感じる。

そんな中、聡子が突然あと半年待ってもらえれば母の夢が
叶えられるという。お腹には赤ちゃんがいること。彼氏が近く
に待機しており、母に逢ってもらおうか考えているとの事。
三人の元に父も合流。そこで聡子は父に彼氏に逢って欲しいと
告げる。

--------------------------------------------------------

末期癌で余命幾ばくもない母の入院先に家族は集まることになる。
母の最後の日の日記に書かれていた事とは何か?

知っている様で実はあまりよく知らない母親の事について、
コミュニケーションを通して意外な一面を知ることになる。

前半は母親と謎の男性・高木仁志の関係がメイン。

終始ドラマでは姉妹としての葛藤が描かれ、長女と次女のプラ
イドを掛けた戦いがあったり、三女がムードメーカーとして
そんな二人に手を焼きながらも、基本的なスタンスとしては
我関せずと言ったB型気質の特有のまったり感を演じる所など
面白いやりとりが有った。

慎重派っぽい聡子が、夢を追うミュージシャンの男性と婚前に
妊娠してしまう所など、意外な一面も描かれるが、そんな彼女
が一番の親孝行をしてしまう。

女性ばかりの家族だと、父がハブになりがちだが、まさに女性陣
によって圧倒される父が、一人寂しそうにしている所は何とも
哀愁が漂う。

親の知らない一面としては、結婚前の恋愛事情が描かれる。
凛子を巡って夫・弘文と高木の三角関係は、興味深い者があるし
父には浮気していた過去があること。もともと結婚を決意した
時の一つの要素として、弘文ならば浮気をしそうにない所を
求めたのに対して、それを裏切っている辺りがまた皮肉に映る。

またそんな父も心療内科に通っている事が発覚するなど、東京
に出ている琴子にとっては特に驚きと意外性を感じたのでは
無かろうか。

最後の一晩を長女と過ごさせたこと。
勿論姉妹で付添人を決めるためにジャンケンしている時には
最後だとは思っていないにしても、やっぱり母が頼りに
しているのは長女かなと思うところがあり、最後の最後で
常盤貴子と倍賞美津子の熱演が見られた所は、このドラマを
上手く締めたと思う。

ただ個人的に言えば2時間枠に収めて欲しかった。

映像美も感じるもので、圧倒される桜の映像は、見ているだけで
心地良いものが有った。


有村琴子 …… 常盤貴子 (長女・広告代理店)
有村聡子 …… 京野ことみ (次女・33歳・市役所の広報誌)
有村桃子 …… 吹石一恵 (三女)
有村弘文 …… 橋爪功 (父)
有村凛子 …… 倍賞美津子 (母・63歳)
橘美由紀 …… 原沙知絵 (凛子の担当看護婦)
羽山浩人 …… 田辺誠一 (凛子の担当医)
渡辺信之 …… 細田よしひこ (聡子の恋人)
水野正一 …… 葛山信吾 (琴子の夫)
高木仁志 …… 夏八木勲 (凛子や弘文と元同僚)
橘佳子 …… キムラ緑子 (美由紀の母)
鈴木修平 …… 佐伯新 (桃子の恋人)

浅田祐二、大林菜穂子、まつむら眞弓、宮嶋麻衣、川村伸彦
大石彩未、鈴川法子、後藤凧彩、花田優里音、福田真也
大谷奈津江、加藤崇、松場優樹


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system