ドラマスペシャル“屋上のあるアパート”

原作阿…川佐和子
脚本…吉田紀子
演出…吉田秋生
音楽…羽毛田丈史
テーマ曲…渡watary「街角の音」
プロデューサー…志村彰

http://www.tbs.co.jp/okujou2011/



「阿川佐和子の長編小説をドラマ化!初めての一人暮らし…おかし
な隣人達と仕事と恋に波瀾万丈の27歳!誰もが優しく爽やかにな
る」 

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桂木麻子は27歳にして初めて一人暮らしをするためのアパート
を探す。

麻子は勤めていた会社
アセントプロダクションの社長・岡村実
から明日で倒産する事を突然言われて、行く当てもなくなり
実家に頼んで居候させて貰う。
母・喜代子は就職する際、出版社など受かるわけがないとして
否定していたが案の定就職面接は全滅。2年間のフリーターを
経て、父のツテを使って小さな編集プロダクションのアセント
プロダクションに入社した。編集の仕事は楽しく、小さな会社
故に一年目から広報誌を任され、料理研究家・
山本涼子の指導
の元で料理ページを任されることになる。料理に関して食べる
ことと作ることが好きだった麻子にはピッタリの仕事。

そんな中周りの同世代の友達は結婚相手を見つけて新しい人生
を送る。幼なじみのユカチンこと
片岡由香も、ロンドンで働き
外国で日本人商社マンと出会い結婚。他人は他人であり、
自分は今の仕事に満足していると言い聞かせた麻子も、ついに
会社が倒産し行き場を失う。

料理研究家の涼子からは、今まで電気代とか気にして生きたこと
が無いでしょう?とし、水道代が無料だと思っていないか?と
言われる。図星なだけに何も言い返せない麻子は、花嫁修業
でもしたらどうかと告げられる。また一人暮らしでもして
見なければ本当の大人にはなれないと言われ、一大決心して
アパートを見つけたのである。
弟の郁夫父・紀夫は、男でも出来たのか?と心配する。

麻子が住み始めたアパートには、屋根にネコが居る。
引っ越し作業をしている際に、麻子はオートロックだという事を
忘れて部屋を出てしまい、仕方なく隣人の
猪熊マキを尋ね、
ベランダから自分の部屋に侵入させて貰う。
マキはとても気さくな人で、彼女からアパートの住民である
佐藤夫婦のこと、チャーリーというアメリカ人男性が、アウレ
リオ
という男性と同棲している事を聞く。

引っ越し作業も一段落すると麻子は一人で祝いと称してビール
を飲む。そして布団にはいると、突然由香から電話が鳴る。
彼女は今頃ロンドンに居るかと思えば、日本にいるという彼女。
しかも突然麻子のアパートにやってくる。半年前に結婚した
はずの彼女だが、麻子は祐介さんはどうしたのか?と尋ねるも、
彼女はその件は追々話すとして、一週間だけここに居させて
欲しいと頼む。
由香はビールで酔いながらも、突然死にたいと口にするのを
麻子は目撃する。

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麻子は何の目的もなく親に保護されるまま生きてきた。
ある時勤めていた会社が倒産するも、危機感もなく暮らしていた
彼女に、仕事で出会った料理研究家から、一人暮らしのススメ
を告げられる。本当の大人になるべく彼女は再就職もせぬまま
一人暮らしを始めるが・・・

4月を前にして新入生、新社会人に向けたメッセージ性の溢れる
ドラマ。
言いたいことも言えず生きてきた女性は、自分は何をしたいの
かを模索していく。

麻子の周りの人間関係がとても有機的で恵まれている様な感じ
がしてくる所は好感の持てるところ。
新たな世界に踏み込むことで、恐怖心以上に人との出会いの楽
しさなんかも大いに実感できる内容だ。
アパートの住民の気さくさだったり、会社の人間関係に於いても
殺伐とするものが有るのかと思えば、実際には助け合う精神が
存在したり、時に的確に問題を指摘してくれる人物がいたりと
まさに理想を絵に描いたようなものだった。
全ては麻子の性格だったり、美人さん故の役得さなんかが
存在するのかも知れないけどね。

一人暮らしをしたことで、麻子は物事の価値観というものを
正確に掴んでいく中で、逆に主婦として一度は家庭に入った
女性・由香は、そんな感覚を麻痺させてしまう。

正直この感じだと恋愛要素は要らない気もしたけど、なかなか
贅沢な葛藤が存在していたりして、ちょっと幸せすぎる感じ
がする。

あれだけ麻子のことを面倒を見てくれた岡村の死。
助けて欲しいというシグナルは至る所で見て取れたけれど、
成長過程の麻子にはそれに気がつかなかった。
しかし二度目は無いとしてその失敗の経験を由香の問題で生か
して解決に導く辺りは、なかなか上手く出来ていたのでは無か
ろうか。

連ドラでも十分制作できそうなキャラクター像と設定が存在
していると思う。

原作が中年のアイドル阿川佐和子さん。
テレビタックルなどでも年齢を意識した発言が多い人なだけに、
ここでも結婚に対する要素がドラマの中で面白く使われていた
と思う。

桂木麻子 …… 長澤まさみ (主人公、27歳、出版業が倒産)
猪熊マキ …… 坂井真紀 (麻子の隣人、占いが出来る)
片岡由香 …… 芦名星 (麻子の幼馴染。ロンドン在住、結婚)
田中幸二 …… 加藤晴彦 (外資系企業、麻子とお見合いをする)
片岡祐介 …… 内田朝陽 (由香の夫、元彼女とヨリが戻りそう?)
桂木喜代子 …… 原日出子 (母)
桂木郁夫 …… 中村倫也 (弟)
桂木紀夫 …… 俵木藤汰 (父)
岩見拓郎 …… 脇知弘 ("ブルードルフィン"オーナー)
南のばら …… 篠原真衣 (工藤の姪)
不動産屋 …… 加藤歩 (麻子に物件を見せる)
角田浩一 …… 山崎樹範 (ウェブマガジンKSP)
丸川英樹 …… 三浦圭祐 (ウェブマガジンKSP)
岡村実 …… 近藤芳正 (アセントプロダクション社長)
山本涼子 …… 秋野暢子 (料理研究家)
工藤俊太郎 …… 吉田栄作 (ウェブマガジンKSP社長)

川崎侑芽子、清竹善仁、永嶋美佐子、Tho,as Robbjens
Riccardo B


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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