最後から二番目の恋 2012年秋
(2012年11月02日放送)

脚本:岡田惠和
演出:宮本理江子、谷村政樹、並木道子
プロデューサー:若松央樹、浅野澄美
音楽:平沢敦士
主題歌:浜崎あゆみ「how beautiful you are」





あの“大人って淋しすぎると笑っちゃう”の二人が今夜復活!
とにかく笑ってとにかく泣けるロマンチックコメディー!

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テレビ局のドラマプロデューサーをしている千明は、先日手が
けたドラマ「まだ恋は終わらない」の視聴率が予想以上に悪く
部長からは後がないことを言われていたが、本当に後がなかっ
たとして三井に、今後の企画の全てが見送りになった事を告げ
る。私から仕事をとったら一体何が残るというのか・・・

一方鎌倉市役所観光推進課で働く和平は、気が良すぎる為に
自分の功績を部下によって奪われてしまい、部下が昇進し、
年下の上司から色々と会議で指摘されていた。
和平の部下である知美と田所は会議がどうなったのかと尋ねる
と、鎌倉を世界遺産登録の為に協力するよう言われたのだと
いう。その為、小説家の向坂緑子に世界遺産の大使になって
もらう為の交渉を任されたという。以前から何度も頼んで
結局断られていた相手だった。

千明は仕事がない為友人と一緒に飲みに行こうとするが、
啓子も祥子も現在仕事で忙しいとして今日の女子会はキャンセル
される。
寂しくない大人はいない・・大人ほど傷つき、その傷が癒さ
れることにも時間はかかる。寂しさを紛らわせる為に恋をした
り、家族をより所にするものだが、仕事をより所にしていた
私はそれを失ったらどうすれば良いのかと呟くのだった。
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2012年の1月期に放送していた連ドラのSP版。
2014年の4月期に続編が放送するということで、未見だった
このドラマのSP版を見てみた。

2年前のドラマだけど、どういう結末だったのかイマイチ覚えて居な
かったので思わず自分の感想を見直して見たりする。
時間をかける割りに役に立っているかどうかも分からない
非生産的なサイトを黙々と作成していることに対して、
こういう時こそ、サイトを開設していて良かったなと思える瞬間
かも!

このドラマに於ける最終目的地は千明と和平が一緒に結びつく
ところに有るのかどうか。それ以上に目的はその延長線上に有る
崇高なものにあるのかどうか。

仕事を生き甲斐にしてきた人間から仕事が無くなるかも知れない
不安感を与えることで、気の合う相手を求める為の要因
として利用していく辺りは上手い導入部なのかも。

色んな意味で好条件を集めて、男女の結びつきの機会を与えた
のに結ばれないという辺りは、やはり"古くさい"人間だという
感じもするし、円熟味を帯びる古さが、時として味の様な形として
存在していく辺りは、鎌倉という土地柄を見ても明らかだ。

新しい価値感と古くささというものの融合がこのドラマのテーマ
の中にはあると思うし、変わりない関係を維持することにこそ、
生活に於けるリアル感を覚えるところ。

このドラマの良さはなんと言っても男女関係に於ける機微な一面を
上手く捉えているだけでなく、夫婦関係・恋人関係に於ける情事
に関するネタをおおっぴろげに明らかにして、男女の間でも
臆することなく会話しているところなのだろう。シャイな日本人
にはこの手の話題が特に苦手だとするところも有るのだけど、
そういうシーンが自然と話題に持ち上がるところも流石だった。

中年になればある意味何でも有りじゃないかという感じにも
思えるけど、そういう捨て鉢になりそうな年齢に於いて敢えて
自分なりのルールを固持している男性の中の誠実さに安心
させられるところが有るのだろうね。
このドラマからすると、そんなルールを堅守しているものの
価値感を壊せる人物にこそ恋愛に於ける特別な相手に思える所
が有る。ちょっとしたことだけど、仕事をサボらせ昼間から
ビールを飲ませることが出来た千明にこそ、和平への特別性
を感じるところだ。

ちょっと向坂緑子が出してきた問題提起が突拍子も無い感じ
に思えたし、典子のエピソードも万理子のエピソードも
よくよく考えると唐突感がありすぎるところも有るのだけど、
それを感じさせずに物語を構成させたのは凄いね。

相変わらず"ファンキー"の使い方とか"イタイ"という言葉の
意味を通して、世代差みたいなものを感じさせたり、時代の価値感
みたいな物をあぶり出している辺りも流石だ。

「いつからイタイなんて表現をするようになったのか」
「昔はイタイという状態に変わる言葉として何という言葉を
使っていたのか」

イタイのループですねという千明と和平の場面を色々と
変えてのおじさん・おばさんトークが冴えを見せていたし、
皮肉り方にも愛が有って良かった。

「みっともないことをしている。いつになったら本当の大人になれる
のか」。しかしそんな大人・大人していない人ほど可愛いという
のも分かるし、人間年を重ねるほどに誉められなくなっていく
中で、誉め合うことの重要性というのも感じるところ。

どんどんぶっ殺しましょう!
変化が欲しいと願っていた千明にとってはサスペンスドラマを
作ることはある意味一つの変化の機会なのだろうね。




吉野千明 …… 小泉今日子 (45歳、ドラマプロデューサー)
長倉和平 …… 中井貴一 (50歳、鎌倉市役所観光推進課課長)
長倉万理子 …… 内田有紀 (35歳、長倉家の次女、双子。)
長倉真平 …… 坂口憲二 (35歳、長倉家の次男、双子。)
水谷典子 …… 飯島直子 (45歳、専業主婦、長倉家・長女)

三井 …… 久保田磨希 (JMTテレビ)
武田誠 …… 坂本真 (JMTテレビ)
飯田ゆかり …… 広山詞葉 (JMTテレビ)

田所勉 …… 松尾諭 (鎌倉市役所観光推進課)
大橋知美 …… 佐津川愛美 (鎌倉市役所観光推進課)
一条 …… 織本順吉 (鎌倉市役所に電話してくるクレーマー)
荒木啓子 …… 森口博子 (出版業界で働く千明の独身仲間)
水野祥子 …… 渡辺真起子 (音楽業界で働く千明の独身仲間)
長倉えりな …… 白本彩奈 (11歳、和平の一人娘)
水谷広行 …… 浅野和之 (53歳、典子と歳が離れた夫)
水谷翔 …… 田中碧海 (典子と広行の一人息子)

灰田マモル …… リリー・フランキー (脚本家)
向坂緑子 …… 萬田久子 (小説家)
コア …… レイナードリー・フォレスト (フラダンスの講師)


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