NHKスペシャル・ドラマ さよならアルマ 〜赤紙をもらった犬〜 原作：水野宗徳 脚本：藤井清美 http://www.nhk.or.jp/drama/alma/

「感動の涙!あなたは犬が戦争に行っていたことを知ってますか」

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戦争当時、軍犬として戦地に10万頭が送られたが、故国に戻っ
てきた犬は一頭もいない。あの日我々は一頭の犬に運命を託し
た。その犬の名はアルマ。

昭和17年1月。
獣医学生だった朝比奈太一に対して、祖母のカツはしっかりと
勉強するよう告げる。死んだ両親もそれを望んでいたという。
そんな中、女性の悲鳴が聞こえると共に、一頭のシェパード犬
が迷い込んでくる。その犬"アルマ"は、飼い主の元から離れ、
現在川上健太と千津たちが面倒を見ていたが、犬を飼えなくなり
処分されそうになる。健太らの通う学校"国分寺第一国民学校"
の教師をしている高橋史子は、その犬を子供達がかわいがって
いる事を知ると、彼女に一目惚れした太一は、自分が飼うと名
乗りでる。

太一はアルマを連れて学校へと連れて行くと、子供達はアルマ
を囲んで歌を歌う。アルマはこの歌が大好きだという史子。
史子から太一はすっかりアルマの虜ですねと告げられ、また
子供達のためにも来て欲しいと言われる。

アルマを散歩されていると、突然走り出す。
犬が向かったのは光塚秀行の元だった。太一に対してこの犬は
軍犬り資格検査は受けているのか?と尋ねる。こんな優秀なシェ
パード犬は滅多にいないという。彼は犬の訓練士で、獣医学を
学ぶ太一よりも詳しかった。彼から犬に関する色んな事を教わる
事になる。そんな中で、シェパード犬は人間以上に食料が必要
だと分かる。

犬の面倒ばかり見ている太一のことを周りでは犬一と揶揄する
声も出始める。現在人だって食べていくのが精一杯なのに、役
にも立たない犬を飼うことに対して憤りを感じるという山田
勝利。
やがて国民は食料の配給制になり、アルマに食べさせるものが
無くなっていく。役に立たない犬は処分すべきだとする気運が
が流れたこともあり、太一は軍犬の資格検査を目指すことにな
る。もしも受かれば軍から犬のための食費がもらえるという。

その日以来訓練をする。
しかし爆音に耐える強さが無く、どうしても障害物を越える事
が出来なかった。史子がやってくると、どうしても検査は受け
なければならないか?と尋ねる。子供と遊ぶのが大好きな犬だ
とするが、今はこれしかないと告げる。

試験の日、アルマの試験の様子をみんなが見に来る。
史子の妹・寛子は、姉が元気なさそうにしているのを見て、
戦地に居る石川の事が心配なのか?と尋ねる。しかしそうでは
無かった。アルマは抜群の成績を出して合格する。
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突然飼い犬だったシェパード犬"アルマ"。国の事情が悪くなり
人間の食料もまた不足し始めると、アルマの分の食料を捻出
することが難しくなり、苦肉の策としてとったのは、犬を軍犬
として育てる事だった。アルマはすぐに戦地である満州に送ら
れる事になる。

あまり取り上げられることの無かった戦時中の犬の存在にクロ
ーズアップしたものだった。

人間のエゴによって利用される犬は、人間に忠実であるほどに
その死が惨く悲しさを覚える。

戦争に限らず、人間のエゴによって時に飼いきれなくなった犬
やペットを捨ててしまう事への警鐘を鳴らす意味でも、とても
伝わる物の多い物語だった。

最初はゴミのように扱っていた軍人達が、やがて犬の活躍によっ
てその存在を見直すようになる。
太一が語るように、犬は訓練されていてとても忠実なものだけど
それを使う主人の性格によって人を見ているのだとする展開が
面白く描かれた。
最後は太一にさえも刃向かう所が、アルマの凄いところで皮肉
にも写るけど、戦争の最前線で犬の存在に癒され、犬の価値に
気がつく所など、なんとも複雑な気分にさせてくれる。