第20回ヤングシナリオ大賞 作品

戦士の資格
〜社内でアナタを欺く奴はきっとアナタの隣にいる〜


脚本/高橋幹子

http://wwwz.fujitv.co.jp/senshi/index.html


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栄羽物流の本社に勤める高木修一。
上司の藤堂の下に付き、出世欲の強い33歳。
同期の青山涼子と共に今の社風を俺達の時代に変えていこうと
して積極的に彼女を長期外部研修に推薦するが、自分の出世
以外に興味のない彼は彼女を踏み台にしようと考えていた。
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本社に勤める男性は出世のために同期の社員や恋人さえも踏み
台にして自らの為に動く。しかしある時、あてにしていた
上司が別の会社にヘッドハンティングされ、次に就任した上司
から左遷を言い渡されてしまう。
同期を蹴落とし、恋人さえも踏み台にする男にとって、出世
と言うモノを取ったら何が残るのだろうかと考えさせられる
内容だ。

流石に一時間で印象深いドラマを作るのは難しいけれど、色ん
な要素が混在していて考え練られている感じのする内容だった。

色々と時代性を盛り込んだ点も良くできていて、単純なリストラ
ばかりが会社にとって利益ではないという事が上手く盛り込まれ
ていたり、本社と現場の温度差など上手く演出上効果的に描か
れている。

ただ残念なことに現場を担当した際に、出世本位の男に何を
もって価値観を変えさせるのかという点では、やや描き方が
弱い。

自分が適当に作った安全対策によって自ら危険に晒されてしまう
という皮肉なシーンが笑える所だが、自分のしている事の虚無感
を感じさせることによって、それを転換点とするには少々無理
がある。この男性、色んな人を裏切っている訳で、それくらい
の事で心を動かされるとはとても思えないんだよね。

井上雄一が上司になることによって職場の膿を出すという事だ
が、やっている事は結局これまでの会社の慣習と一緒。
高木にリストラ候補を挙げろと取引に持ち出すけれど、
派遣されたばかりで何も分かっていない男に人事を任せてどん
な効果が有るのか。

働く価値の有る職場を作る事の必要性を何から感じ取ったのか
という点もきちんと描かれているようだと、ドラマはもっと
深くなっていくと思う。

高木修一 ……… 西島秀俊/経営戦略部企画課 (33)
青山涼子 ……… 眞鍋かをり/経営戦略部企画課 (33)
花野郁子 ……… 紺野まひる/経営システム課 (28)
田端加代子 ……… もたいまさこ/倉庫事務課(東雲倉庫) (57)
井上雄一 ……… 志賀廣太郎/総務部長 (59)
藤堂守 ……… 白井晃/経営戦略部・部長 (58)
小田豪 ……… 平賀雅彦/倉庫事務課・業務主任
太田健 ……… 笠原秀幸/新入社員

森一 ……… 大波誠
課長 ……… 吉田晋一

宮成竜二、竹森千人、オレンヂ、雪嶋なおき、坂本充広
米田拓也、佐藤多助、杉本潤哉、土屋史子、加藤祥司

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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