シスター後編


解決編真相はこうだ!隠された真実

原作・演出/渋谷未来
--------------------------------------------------------
〜3rd Story YUI〜
祥子は由比に東京に行くことにした事を湖の前で語る。そして
二人だけで秘密の場所で写真を撮ろうと告げる。

2009年4月6日。由比は大学へ登校する。猟師として働く直太に
ちゃんと働けよと声を掛けていく。
函館芸術大学へいく。今日は特別講師としてドイツのブラナー
国際写真展で受賞したという生馬が講義に来る日だった。
2年前の2007年10月10日にTVで生馬の受賞の記者会見を見て以来
由比のファンだった。しかしそんな日に同時に姉の祥子を失っ
た日でもある。
生馬はその日、展示して有る由比の写真に目を留めていた。
由比は彼がそれを見ているのを知って後から声を掛ける。
その写真に映るのは姉であると。そこで由比は生馬から写真の
指導・先生になる事を約束する。
なんで生馬は私達二人の秘密の場所を知っていたのか。

2009年5月。由比は生馬のアパートを尋ね、撮った写真の批評
を願いする。直太を使って上手く彼の視線を反らしたときに
彼女は生馬の部屋を捜索して、生馬と姉・祥子が写った写真を
見つける。由比は生馬に写真のタイトルでもある"思い出の場所"
について、以前大切な人の事を口にしていた事を質問する。
大切な人とは恋人のことなのか。その反応を見て由比はすぐに
アパートを飛び出し、大学の図書室で生馬の写真に関する専門
家の評論を見てみる。すると生馬のものとは思えないほどの
冒険作である事が書かれていた。

由比は東京から送られてきていた祥子の荷物を紐解く。
すると中から破れた写真が有ると同時にその中の一枚はなんと
生馬が受賞した"思い出の場所"と同じスナップ写真が有った
のである。姉の作品を盗作したのだと思いこんだ由比は突然
家を飛び出し、大学にいき、彼の作品を持ち出して湖の近くで
燃やしてしまう。
--------------------------------------------------------

一体誰が生馬の写真を焼いたのか。
何故生馬と祥子は喧嘩することになったのか。
そして生馬が抱えている精神的な病は祥子に起因するものなの
か。
そして由比がしようとしている本当の意味とは。

探してみれば色んな謎が有るけれど、そうしたものを別の登場
人物の視線から描くことであぶり出していくという面白い物語
である。
あくまで時間の流れは未来へと進んで折らず、同じ時間枠内での
物語の中でそれらを明かそうという面白い試み。

平面的な時間軸の中で立体的な物語が存在しているという当たり
前の事のようでそれが不思議な感覚を生むという所がとても
面白い内容だ。

由比が生馬の事について姉との関わり合いが有ることを知って
付きまとっているのだろう事は分かっていたが、後半部では
それが発覚して暴いていく為の過程が描かれた。

ドラマとしては最初にインパクトあるセリフやシーンを描いて
いき、改めて違った角度で描いていくと最初に感じるインスピ
レーションとは全く別の意味合いが有ることを知って実に巧み
なドラマだとうならせる。

一つを例に取ってみると、
最後に由比が生馬に会った際に"ウソツキ"と漏らす
シーンが有る。最初に見たときには生馬が盗作した事に対して
指し示す流れとして、由比は彼のことを憎しみの視線で眺めて
いるのかと思う。しかし別の角度から描くとそのウソツキには
全く別の意味の愛情の意味合いが含まれている事を知り、
視聴者は混乱と同時にその仕掛けに驚く。

ちょっと最後は生馬が由比の為に"演技"しているという辺りの
顛末が分かりづらかったのは残念だが、とても面白く描かれた
と思う。
また最後にオマケとして、祥子が何故亡くなったのかが描かれ
た。
失恋によって亡くなっていたのではない所が面白いところだが
思い返してみると、祥子が自殺するような雰囲気は全く無く、
納得感が有るオチだった。
上述した"ウソツキ"と語るシーンでも由比の表情はスッキリと
した雰囲気も有ったので、一度見た後に見直してみるのも
また面白いかも知れない。

小田切由比 …… 加藤ローサ
成瀬生馬 …… 小澤征悦
山田直太 …… 田中圭
小田切祥子 …… 紺野まひる
村上優也 …… 加藤清史郎

畠山彩奈、須藤みり愛、木村祥世、工藤舞、野坂智美
飯塚優、原田恵介

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system