ドラマスペシャル 卒業ホームラン 3つの家族の物語

原作:重松清
脚本:赤羽博
演出:矢島正雄
プロデューサ:中川順平、阿部真士、菅井敦、川島永次
チーフプロデューサ:小川治
監督:赤羽博




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重松清の三つの短編小説を再構成してドラマ化。それぞれに問題を抱える
3組の家族を通し、厳しい現実に直面した時にこそ問われる家族の絆を描く。
脚本・矢島正雄、演出・赤羽博。 会社から地方の関連会社への出向を命じ
られた
加藤徹夫(船越英一郎)は、家族のために単身赴任を決意する。息子・
智(岡田蒼生)は、所属する少年野球チームで試合に出るため練習に励んで
いた。このチームの監督を務める徹夫は、最後の試合に実力で劣る智を
出すべきか悩む。一方、元応援団長の
井上竜二(山口智充)娘・
美奈子(高畑充希)が高校を休みがちだと聞いて驚く。理由を問いただす竜二
だが、美奈子は答えない。また、
末長優一(杉本哲太)は息子・俊郎 (倉本郁)
に、妻・
知美(戸田菜穂)が入院している病院へ行くためのバスの回数券を渡す。
俊郎はなかなか退院できない母が心配な上、運転手の
河野(中村梅雀)
苦手でバスに乗るのが怖くなってしまう。 

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多摩に住む3つの家庭のそれぞれの事情に迫っていく。
加藤家は夫の左遷、そしてボランティアで勤める野球監督の
物語。井上家は思春期の娘の物語、末永家は妻の病気の問題。

現代の厳しい社会の中で暮らすそれぞれの家族の物語に焦点
が当たるけど、もっと広義に見ていくと、地域・コミュニティ
に於けるご近所づきあい、そして理想的な町並みが存在している
様な話だった。

どの家庭も問題は抱えているけれど、子供達が理想的に成長し
とても優等生な感じ。子供は親の背中を見て育つとばかりに
一家の大黒柱としての父親像が凛として存在しているところが
どれも共通している所だ。

加藤家は頑固な夫の子供に対する特別視しない姿勢が描かれ、
野球の卒業試合に於ける監督として父親としての決断が求めら
れるもの。
会社での人物像と野球監督としての人物像がもう少し絶妙な
形でリンクすれば良かったのかな。会社では古い人間扱いされ
ているが、拘りを見せる事での何らかの功績が目に見えて分かる
と会社での顛末も上手く活きてくる。

井上家では、思春期の娘が何を考えているのか分からず戸惑う
話。応援団長であることから、学生時代のノリが未だに生きて
いる父親の姿が有ったけど、そんな意識を女性の中にも注入して
行く辺りが面白くできていた。
学歴社会に反発する娘。親としては高校くらいは出て欲しいと
願う気持ちも分かるし、娘の主張もストレートでぶつかってくる
だけに、その疑問に答えられるのかが、親としての資質を問わ
れて居る感じの話。
流石芸達者なぐっさんらしく、上手く説得していたと思う。

末永家は、どちらかというと主人公は父親ではなく子供だった
感じがする。
バスでの顛末が一つのポイントとして存在するけど、いつも
注意してくる運転手に対して、興味深いやりとりが有った。
息子は母親のために野球をしているとのことだけど、ここでも
父親の存在が影を潜めている辺りがちょっぴり寂しい感じがした。

どの流れも現実的な問題に真正面からぶつかっている感じがして
面白くできていたと思う。

卒業ホームラン

加藤徹夫 - 船越英一郎 (夫、ケイシン電気グループ・企画開発室長)
加藤佳枝 - 高島礼子 (妻、スーパー勤務)
加藤典子 - 美山加恋 (娘、中学生)
加藤智 - 岡田蒼生 (息子、野球チーム多摩スパローズ・補欠)

団旗はためくもとに

井上竜二 - 山口智充 (夫、元応援団長)
井上小百合 - 斉藤由貴 (妻)
井上美奈子 - 高畑充希 (娘、名門多摩第一高校)
井上翔太 - 栗田恵 (息子、野球チーム多摩スパローズ・投手)

バスに乗って

末永優一 - 杉本哲太 (夫、出版社)
末永知美 - 戸田菜穂 (妻、病気で入院)
末永俊郎 - 倉本郁 (息子、野球チーム多摩スパローズ)

河野清孝 - 中村梅雀 (バス運転手)
田島 - 吉田鋼太郎 (ケイシン電気グループ・常務)
伊達佳宏 - 北大路欣也 (ケイシン電気グループ・専務)

応援団 - 金山一彦、松永博史、野元学二、本郷荘二郎
堀田茂之、吉満涼太

会社員 - 菊地健一郎、加瀬尊朗、涼華せら、栗田よう子
幹てつや、竹本聡子、並木幹雄

町の住民 - 田京恵、松尾諭、渡辺志保、久保田磨希
浅見和俊、福井仁美、大坪貴史、須藤勉


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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