前半は渡辺晋自ら趣味としているJAZZバンドを率いて活動する
様子から始まり、TV開局後初めてのランキング形式POPS音楽
バラエティ番組「ザ・ヒットパレード」が始まるまでを描いた話。
後半はTV放送が開始された後、新しい産業として台頭を始めた
エンターテイメント業界の苦悩や葛藤を描いた話だった。

TV開局前から黎明期を通して、芸能活動・プロダクション
を行う渡辺晋の半生を描いたドラマであり、当時のTV業界、
エンターテイメント・芸能業界の様子を垣間見ることが出来る
興味深い内容だった。
当時を知らない私でも十分楽しめる内容であり、アルコールを
飲めない人でもその味を十分に堪能できるような作り方だ。

吉田栄作が演じた清水高志という人物は、ドラマの中では
渡辺晋の親友役だったが、どうやら架空の人物らしい。
この人物が一時は趣味の延長上で芸能界に足を踏み入れるものの
将来の保証がないこの業界から去ってしまうところが
渡辺晋の不安な一面を上手く引き出しており、よく設定されて
いる感じを受ける。

前半部は、TV業界に足を踏み入れるまでの躍動期的な物語
に対して、後半は戦後の日本経済に対するエンターテイメント業界
の実情が淡々と描いた話で、どんなに芸能界が盛り上がろうとも、
財界からは決して認められる事が無く、逆に軽視される場面が
度々訪れ、当初の信念を見失い、迷走する姿を描き出している。
そんな逆境にもめげず業界の地位向上のために奔走する渡辺晋の
活躍が見て取れる作りで面白く演出されている。

あらゆる面でドラマが美化されている感じがしないでもないが、
先見の明を持つ渡辺晋の事がよく描かれている。
当時財界では女性経営者など稀な存在だろうが、渡辺晋は経営に
広報に大いに妻の存在を信用し利用した辺りは、凄い事だと思う。

4時間の物語なので一つ一つのエピソードが駆け足になっている
感じは仕方がないが、主要キャラクターがどんな活躍をしたのか
分かる作りなので見やすい。

ところでザ・ピーナッツがエド・サリヴァンショーに出演していた
なんて知らなかった。現在Gyaoでエド・サリヴァンショーが放送
しているんだよね。

ザ・ピーナッツを演じた安倍姉妹も可愛くて良かった。

評価：★★★★★★★★☆☆ (8.0)