フジテレビ開局50周年特別企画三谷幸喜作

わが家の歴史 
「一家を襲う新たな運命波乱の恋」

脚本/三谷幸喜
演出/河野圭太
音楽/服部隆之
企画/大多亮、和田行
プロデュース/重岡由美子、稲田秀樹、江森浩子



--------------------------------------------------------
昭和24年、東京へ引っ越しした八女家。
中洲で店のマネージャーをしていた柳やつるちゃんの姿も有っ
た。家族でワイワイしながらご飯を食べるのが夢だったという
大造。
義男は姉に迷惑をかけたくないとして、実家に住まずアパート
に住むという。現在アルバイトをしている事を告げる。
それを聞いた政子は寂しくなるが、家族はいずれ離れるものだ
がそれでも繋がっているのだと大造は語る。

波子はあけぼの出版で働き始め、宗男は運送会社で働き始める。
そこで柊修二"ジョニー"と呼ばれるアメリカかぶれの男性と
出会う。

政子はゆかりとお茶をする。大体のことは同じ大学に通う義男
に聞いていたゆかりだったが、まさか奥さんの居る人と結婚
するとは思わなかったと驚かれる。義男が最近評判の良くない
連中と付き合っていると聞かされる。金が全てだと唱える
宮崎正志率いる学生サラ金"太陽グループ"だという。
政子は夫の大造に相談すると調べておくと告げる。
大造はそろそろ朝鮮戦争が始まるので、横浜での開店を急がねば
ならないことを告げる。
そんな中、横浜に別の物件を発見し、時次郎に喫茶店を開いて
もらうのはどうかと提案。店を改装し"エイトウーマン"という
アメリカ軍相手の喫茶店を開く。

政子はある時義男に太陽グループの事を尋ねると違法なことは
していないので安心して欲しいという。
しかしそんな中、太陽グループのリーダーを勤めていた宮崎が
検挙され不起訴になるものの、信用が失墜し経営が悪化。世の中
金が全てだと思いすぎたのが失敗の原因の一つで、企業家として
は若すぎたという。銀座商工ビルに居る義男に会いに行く政子は
そこでクビを宣告され殴られている義男の姿を見る。
金のないものたちからの集金を拒んだために義男はクビになった
訳だが手を切れて良かったという政子。たまたまそこに来ていた
宮崎に声を掛けられ、法に触れなければ何をしても良く、所詮
は人が定めたものだという彼に呆れる。しかし彼はその後、
自殺してしまう。

波子は上司の諸星からかつて応募してきた作家の阿野三成から
原稿を取ってくるよう指示される。彼のアパートにいくと、
死んだようにしている阿野は、なかなか執筆できないともがき
苦しんでいる様子。原稿を貰うまでは毎日通うよう言われている
として波子はねばり強く交渉していく。

ある時宗男は実家から離れて別のアパートを借りると言い始める。
その頃には宗男はジョニーの影響ですっかりアメリカかぶれの
人物になっていた。そんなジョニーが引越祝いを持って宗男の
家を訪れた際に、ついに大仕事をするとしてアメリカの映画で
見るような現金輸送車を強奪すると言い始める。
--------------------------------------------------------

東京に出てきた八女家。
果たして家族のそれぞれはどんな人生を送っていくのか。

とても数奇な人生を送っているのは、つるちゃんと宗男だけど
それ以外の人の人生もある意味では人生の楽しさみたいなものが
描かれている。

何と言っても凄いのは大造の影響力だ。
この人のお陰で家族が偉人さんに会える機会に恵まれたり、就職
に於いても自分の志望する進路に進める現実がある。

今回はそんな柱となる人物に別の女性が出来たことで、一波乱
起こりそうになる展開が用意されている。第二夜目にして今回
は男女関係に於ける難しい一面が描かれた話だった。

ヤクザに銃を突きつけられたり、現金輸送車を襲うと言い出す
同僚が居たり、サラ金、学生運動、そして大造の浮気話と、
どれも難局を迎えそうなシーンの連発だ。

かなり危ない橋を渡りかけるシーンも有るのだが、その都度寸
止めで良い選択肢を選んでしまうドラマである。その分人生の
難しさというものを実感する内容ではなく、互いを心配し合う
家族の暖かさが描かれる。

本来ならばもっと強弱のついた人生を描くべきものなのかも
知れないが、全体を通して喜劇といった感じの展開であり
激動の時代を前にしても効率よく切り抜けていく家族の姿が
暖かく写る。

当時を象徴する人物と事象を早回しで描いている様な感じを
受けるが、いつまで立っても三女は高校生だったりするし、
長男に於いても大学生として活動しているので、妙な錯覚に
陥る一面もある。

最後は「タイタニック」と「ロミオとジュリエット」の様な
パロディシーンだったが、なかなか面白く出来ていた。

八女政子 …… 柴咲コウ (長女)
鬼塚大造 …… 佐藤浩市 (政子の夫)
八女実 …… 
[1歳-2歳]:加藤憲史郎、
[6歳-10歳]:加藤清史郎 (政子と大造の息子)
八女義男 …… 松本潤 (長男)
八女宗男 …… 佐藤隆太 (次男)
八女波子 …… 堀北真希 (次女)
八女房子 …… 榮倉奈々 (三女)
一之瀬ゆかり …… 長澤まさみ (義男の恋人)
鶴鶴太郎 …… 大泉洋 (一家の幼馴染)
大浦竜伍 …… 玉山鉄二 (政子の元許婚者)
阿野三成 …… 山本耕史 (波子の恋人)
マリア …… 鈴木砂羽 (宗男の妻)
古賀巳代治 …… 高田純次 (時次郎の戦友)
鬼塚千晶 …… 天海祐希 (大造の本妻)
八女マキ …… 富司純子 (母)
柳隆五郎 …… 阿南健治
八女時次郎 …… 西田敏行 (父)

美空ひばり:さくらまや〔10歳〕、相武紗季 (歌手)
高倉健:小栗旬〔学生時代〕 (俳優)
笠置シヅ子:戸田恵子 (ブギの女王)
榎本健一:木梨憲武 (エノケン)
手塚治虫:藤原竜也 (漫画家)
力道山:山口智充 (格闘家)
村田英雄:中尾明慶 (歌手)
長谷川町子:和久井映見 (漫画家)
吉田茂:角野卓造 (首相)
糸川英夫:高嶋政伸 (航空工学、宇宙工学)
白井義男:武田真治 (世界フライ級王者)
仲代達矢:山田孝之 (俳優)
古川ロッパ:伊東四朗 (コメディアン)
遠藤周作:八嶋智人 (小説家)
丸山明宏:ウエンツ瑛士 (シャンソン歌手)
升田幸三:内野聖陽
山下清:塚地武雅
永井荷風:石坂浩二
岸信介:小日向文世
宮崎正志【架空の人物】:岡田将生 (大学生)
柊修二【架空の人物】:寺島進 (アメリカかぶれの男)
獅子丸寿一【架空の人物】:中井貴一 (ヤクザ)

榎本孝明、浅野和之、羽場裕一、山西惇、平淑恵
野間口徹、池谷のぶえ、山崎裕太、四方堂亘、細山田隆人
茂木淳一、吉村崇、坂本真、小山圭太、小笹将継、板倉チヒロ
星野園美、藤村一成、岡田幸子、向野章太郎、中江大樹
山本東、足立龍弥、中川幸省、中野薫、今野ひろみ
コリン・アサヌマ、ケニー・スコット、成川凪人、田端
Zina Blausova、Michael Joseph、Julio Obama、Smdski Vital
中島大介、大西恵美子、土方浩、河内孝博

ナレーション:役所広司


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system