フジテレビ開局50周年特別企画三谷幸喜作

わが家の歴史 
「一家を襲う最大危機感動最終章」

脚本/三谷幸喜
演出/河野圭太
音楽/服部隆之
企画/大多亮、和田行
プロデュース/重岡由美子、稲田秀樹、江森浩子

http://wwwz.fujitv.co.jp/wagaya/index.html


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昭和29年9月26日、台風によって洞爺丸が難破し、乗船した1337
人中182人しか生存者は居なかった。義男とつるちゃんは無事
海岸に打ち上げられたが、ゆかりと両親の姿は無く、間もなく
してゆかりの実家は売りに出される。

昭和30年4月、糸川のペンシルロケットの発射実験が始まり、
ロケット工学の第一歩を踏み始める。

ロッパはテレビ業界の仕組みを無視して、番組中のコントの中
でスポンサーであるビールを飲まない宣言を発する。宗男の
咄嗟の判断によってその場は切り抜けるが、番組は終了する。
テレビは一流の芸人の出る所ではないというロッパ。宗男は
打ち上げの際にロッパのライバル・エノケンの歌を歌って付き
人の仕事はクビになる。

阿野は相変わらず小説を書けずにいた。遠藤からは君は大物
作家だから自信を持てと励まされるも、その年の芥川賞には
遠藤周作が選ばれる。

立川基地の軍拡張で衝突が起こった砂川事件。そこに波子は
取材にいくと、拡張を反対している左派活動家の大浦に再会
する。

一方政子との間に子供が産まれた大造は子供を可愛がる。
しかし博多と東京の往復であまり会うことも出来ず、おもちゃ
を買うことで親子の絆を保っていた。

美空ひばりの公演の警備をしていたつるちゃんは意気投合し、
美空ひばりと仲良くなる。その序でに美空ひばりを使って、
つるちゃんと房子の仲を取り持って貰おうとするが、政子は
それでも許さなかった。

昭和31年、つるちゃんは南極観測船に乗る。
風俗の法律改正によって、大造が経営していた深夜喫茶は
閉店に追い込まれる。時流を読むのもビジネスマンだとして
そろそろ潮時で有ることを言われた父・時次郎は、それ以来
政子の子・実の養育係となる。

ある時町でゆかりとすれ違う事があるが、ハッキリとした確信
は持てなかった。義男は暫く町を探しまくるが、結局見つから
なかった。

手塚治虫のアシスタントを希望して房子は彼を手伝う大槻の
元を訪ねる。しかし政子からは漫画家にさせるために大学に
進学させたのではないと言われ反対される。

そんな中、大造は胃薬を飲む回数が増えてきた。一度きちんと
検査した方が良いと言われ検査すると、なんと末期の胃ガンが
発覚し、余命三ヶ月だと言われる。政子は大造には胃潰瘍という
事にして、博多の中洲にいる晶子に電話する。晶子は彼は
恐がりだからそのままにして絶対に本当のことは言うなと言わ
れる。そして今後大造は博多で静養して貰うと告げ、最後は
故郷で過ごさせると言われる。
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いよいよ3日、8時間に渡るドラマの最終夜。
果たして一家は幸せな人生を送れるのか。

流石に最終話だけ有ってドラマらしいドラマが演出され、
これまで三夜の中でも一番完成度の高いシナリオだった。

前半は大造の末期を看取るまでのエピソード。
正妻と愛人の扱い違いが面白いように描かれたし、決して越え
らるものではない日影の愛人が、最後の最後で交友関係を通して
立場が逆転するような一瞬を描いた所は良くできていた。

後半は政子の子供である実の養育を軸にしたドラマで、ゆかり
と義男の再会を描いた。

この二人の再会とは対照的にあるつるちゃんと房子の関係も
コメディとしてとても重要な役目を担っていたし、その使い方
も如何にも大泉洋って感じのちぐはぐさが面白く演出された。
つるちゃんはもの凄くいじられキャラクターだけど、その分
愛されるべきキャラクターだなと実感するものだった。
最近名言ばかりで堅苦しい役しか演じてこなかった佐藤隆太が
大泉洋に引っ張られる形で、本来の彼らしい持ち味が出ていた
と思う。

政子が家族のために犠牲にしてきた人生を最後に恩返しする
様な展開になることは予想の範囲内だったが、忘れかけていた
獅子丸寿一が登場して男の約束を果たすところは良かったな。

後半ドラマを引っ張っていった一之瀬ゆかりの存在。
金持ちのお嬢様から一転して、全てを失う悲劇的な女性だけれ
ど、最後に八女家に吸収されて幸せな生活を送るのかと思えば、
そんな家族の幸せさが逆に辛そうな印象を与えていたね。

これだけ色んな事を体験できる人生ならば面白いだろうね。
金はなくても家族の暖かさが人生を彩る要素である事はきっちり
描かれている。ただ長女という責任感故に、家族に甘えること
の出来無い不器用な一面も有ったけどね。


八女政子 …… 柴咲コウ (長女)
鬼塚大造 …… 佐藤浩市 (政子の夫)
八女実 …… 
[1歳-2歳]:加藤憲史郎、
[6歳-10歳]:加藤清史郎 (政子と大造の息子)
八女義男 …… 松本潤 (長男)
八女宗男 …… 佐藤隆太 (次男)
八女波子 …… 堀北真希 (次女)
八女房子 …… 榮倉奈々 (三女)
一之瀬ゆかり …… 長澤まさみ (義男の恋人)
鶴鶴太郎 …… 大泉洋 (一家の幼馴染)
大浦竜伍 …… 玉山鉄二 (政子の元許婚者)
阿野三成 …… 山本耕史 (波子の恋人)
マリア …… 鈴木砂羽 (宗男の妻)
古賀巳代治 …… 高田純次 (時次郎の戦友)
鬼塚千晶 …… 天海祐希 (大造の本妻)
八女マキ …… 富司純子 (母)
柳隆五郎 …… 阿南健治
八女時次郎 …… 西田敏行 (父)

美空ひばり:さくらまや〔10歳〕、相武紗季 (歌手)
高倉健:小栗旬〔学生時代〕 (俳優)
笠置シヅ子:戸田恵子 (ブギの女王)
榎本健一:木梨憲武 (エノケン)
手塚治虫:藤原竜也 (漫画家)
力道山:山口智充 (格闘家)
村田英雄:中尾明慶 (歌手)
長谷川町子:和久井映見 (漫画家)
吉田茂:角野卓造 (首相)
糸川英夫:高嶋政伸 (航空工学、宇宙工学)
白井義男:武田真治 (世界フライ級王者)
仲代達矢:山田孝之 (俳優)
古川ロッパ:伊東四朗 (コメディアン)
遠藤周作:八嶋智人 (小説家)
丸山明宏:ウエンツ瑛士 (シャンソン歌手)
升田幸三:内野聖陽
山下清:塚地武雅
永井荷風:石坂浩二
岸信介:小日向文世
宮崎正志【架空の人物】:岡田将生 (大学生)
柊修二【架空の人物】:寺島進 (アメリカかぶれの男)
獅子丸寿一【架空の人物】:中井貴一 (ヤクザ)

浅野和之、羽場裕一、、宮川大助、梅野泰靖
洞口依子、田山涼成、近藤芳正、キムラ緑子、飯田基祐
濱田岳、小橋建太、秋山準、青山和也、入江雅人、島津健太郎
狩野学、桜井聖、内倉憲二、佐藤誓、蒲生純一、鳥木元博
望月章男、川井つと、中村祐樹、ねづっち、木曽さんちゅう
宮後由美、城戸光晴、諏訪部仁、藤岡大樹、木川淳一
高瀬媛子、桜井千寿、平松ケイ、中村敦子、山内ツトム
金子達、古山亮一、疋田豪、佐藤淳、松本唯、石橋裕美
白川博、高島真一、林陽一、橋本誠一郎、石原良、岡崎宏
小柴亮太

ナレーション:役所広司


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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