世にも奇妙な物語〜20周年スペシャル〜人気作家競演編

有名人気作家×豪華キャスト夢のコラボ!奇妙の歴史が変わる!
衝撃の物語全5編


http://www.fujitv.co.jp/b_hp/kimyo/

ストーリーテラー:タモリ
メアリー:Lena Sukhoveeva
男:Christopher McCombs

世にも奇妙な物語 全エピソード


京極夏彦『厭な扉』×江口洋介
脚本/正岡謙一郎
演出/佐藤祐市

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引田慶治は、家と仕事を失い、社会からはじき出される。
起死回生のために事業を興そうとするも、騙されてしまい全て
を失った。妻・涼子(40歳)、娘・香織(8歳)とも別れてホーム
レス状態の慶治は、ある時別のホームレスから、一晩で幸福を
手に入れたとする新美禄造の話を聞く。よくある都市伝説で
有り、ホームレスはこういう話に縋り付くもの。
そんな中、街中でかつての同僚である深谷にバッタリ遭遇する。
彼からお前の元妻と娘が酷いことになっていると聞かれ新聞を
確かめて見ると借金苦で無理心中した事が掲載されていた。
ビルから飛び降りようとすると、突然男が声を掛けてくる。
彼は自らを新美禄造だとつげ、生きてこそ幸せを得ることが
出来るという。死ぬのは権利の放棄だという。そんな彼から
招待状だとして、カードを手渡される。それを持ってホテル
に行けば永遠の幸福を手に入れられると言うが・・・

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金の切れ目が運の切れ目とばかりに、全てを失った彼は自殺
しようとしていた所、男によって声を掛けられる。もう何も
失う物は無いとして、彼の語るやり方で幸せを掴んでいこうと
する。

無限ループの形で生き地獄を味わうという物。

律儀に約束を守り金を持ってホテルに行く辺りが少々理解に
苦しむ部分。
人の死は金になるとした、ドラマ「チャンス」の藤本建治
じゃないけど、確かに金にはなったけれど、同じ事を繰り返して
しまうということで、疲れるような人生だ。
新美禄造は何故こんな事をさせたのかという辺りが、不可解
だけど、このドラマでは動機なき内容は良くあることか。

引田慶治 …… 江口洋介 (ホームレスに転落)
新美禄造 …… 笹野高史 (都市伝説化した金持ち)
深谷 …… 神尾佑 (慶治の元同僚)
男 …… 田口主将・芝崎昇
フロント …… 天田暦
ポーター …… やべけんじ
…… 夏山剛一


評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

万城目学『はじめの一歩』×大野智
脚本/金子茂樹
演出/村上正典

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西倉商事に勤める篠崎肇は、この日恋人の坂本みさき(27歳)と
食事をする。話題は同僚の結婚話。まだ付き合って半年なのに
結婚したという事を聞くと、肇はリスクが多すぎるという。
"まず始めに"相手は離婚歴も有ると言うと、みさきは彼に
直して貰いたいところが有ると告げる。別に大したことは無い
というが・・・口癖を直して欲しいという。"まず始めに"と
いう前置きが気に触るとの事。

肇は会社でも企画のプレゼンに於いて前置きが長く、慎重に
語るためにいつも選考から漏れていた。もっとシンプルに説明
を求められる。

仕事の後、みさきと映画を観に行くがここでも慎重派の肇は
なかなか決められずみさきを怒らせてしまう。自分は先々の
事を考えてから踏み出したいという肇。判断材料が揃うまで
焦らずじっくりと待つと告げると、焦る必要があるものだって
有るというみさきは、その場から飛び出してしまう。
追い掛ける肇は、神社の前の道で突然不思議な出来事と遭遇
する。二人の神様が突然願いを一つ叶えるという。願いは恋愛
に関する事に限定し、5を数える間に望みを言うよう告げる。
しかし肇は慎重なあまり何も応えることが出来無かった。
幾らでも望みを言えたはずなのに・・・そういう神様は、
特別に彼から"まず始めに"という言葉をとってやるとし、言霊
を飲み込ませる。

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慎重すぎる相手に痺れをきたしたみさきは、距離を置くことに
するが、ある時から突然彼は、前置きをすることを辞めて
即断・決断力を見せると途端に出世街道を走ることになる。
果たして彼に起こった転機とは!?

なかなかユーモアに溢れていて面白いものだった。
誰がこの物語を主導しているのかがこのドラマの肝で有り、
最後にサプライズの形で現れる。
言葉一つ取り除いたことで、決断力を得るという辺り、なんとも
皮肉としか言いようがない。
一つの箍が外れるとここまで人生、上手く回転し出すとはね。
慎重すぎる性格も時に邪魔だという事だね。


篠崎肇 …… 大野智 (慎重な性格を持つ)
坂本みさき …… 田中麗奈 (27歳、肇の彼女)
若い神様 …… 遠藤憲一 (交通安全の神)
中年の神様 …… 伊東四朗 (縁結びの神)
脇坂 …… 渡辺邦斗 (肇の会社の人)
増田はじめ …… 後藤康夫 (肇の取引相手)
千香 …… 中丸シオン (みさきの同僚)
部長 …… 岸博之
ウェイター …… 徳秀樹


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

堀北真希×朱川湊人『栞の恋』
脚本/坂元裕二
演出/岩田和行

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1967年、実家の加川酒店で働く邦子。
配達先のバーの店主・恵美から、もっと化粧でもすればどうか?
と言われるも、そういうのは向いていないという邦子。好きな
男は居ないのか?と問うと、その時突然ラジオから、タイガース
の曲"モナリザの微笑み"が流れてくる。あんたもジュリーが
好きなのか?という問いかけに、サリーが好きだという邦子。

邦子は商店街でよく見掛ける背の高い男に密かに好意を寄せて
いた。ホンの少しだけでも良いので一度話をしてみたいと考える。
幸子書房に入る彼の姿を見て、邦子は客のフリをして彼の様子
を伺う。店主から普段本を読まないのに珍しいねと声を掛けられ
それを否定。暫くして彼が店から出て行くと、読んでいた本を
手にする。"地獄の季節"、5千円。購入しようとするが高いと
感じる。中には栞が挟んでおり、Y.Tとイニシャルが入っていた。
あの男が栞を挟んでいるのだと思い、邦子は栞にメッセージを
書いて本に挟んでおく。

後日、栞に対して返事が来ているかと思い確かめに行くと、
"貴方は誰ですか?"という返事が書かれていた。店主によく店に
来る背の高い男性のことを聞くと、大学院生の高田くんだと
いう。金を持っていないから本を買う気はないみたいだという。
邦子はこんな事ならば習字でも習っておけば良かったと後悔
しつつも、本の中の文通が始まる。

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あまり恋愛に興味のない女性・加川邦子は、ある時街で見掛ける
男性に恋をする。彼が定期的に本屋に通って本を読んでいる事
を知り、邦子はメッセージを送ってなんとか意思を伝えようと
する。

携帯などのコミュニケーションツールの揃っていない時代の
良さが演出上上手く描かれているものだった。
タイガースの事をよく知らないので、サリーとは岸部一徳さん
の事なのかな?邦子がそんなサリーの事を好きだと知って、
岸部一徳さんが彼女に恋愛する機会を導いてくれたのだろうか。

とても順調に会話を続けていく中で、本の中の彼とは全く
似つかない現実的な高田の姿に失望しつつも、上手くイニシャル
の違いに気がついて、別人だと考える。
相手の男性、本の作者である帯刀耀一郎は、このメッセージを
どんな形で読んでいるのか気になるところだが、今回のドラマ
で一番好きなシナリオだった。
戦争によって別れ離れになるという設定は、この手の切なさを
感じる物が多いね。
それにしても堀北真希さんは、昭和の女役が定番になっている
な。


加川邦子 …… 堀北真希 (酒屋の配達)
恵美 …… 澤田育子 (バーの店主)
高田啓二 …… 竹財輝之助 (大学院生、サリーに似た人)
帯刀耀一郎 …… 比田勝憲人 (本の作者)
店主 …… 岸部一徳 (古本屋の店主)
女 …… 井上美琴
…… 地曵豪
DJ …… 大塚和彦

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

東野圭吾『殺意取扱説明書』×玉木宏
脚本/金子茂樹
脚本協力/山浦雅大
演出/植田泰史

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広告代理店に勤める木谷晋吾は、コーヒーを飲もうとしていた
矢先、機械を壊してしまう。女性社員の一人・八屋夕子は
有り得ないとして、明日までに直しておいてと告げる。仕方な
く取扱説明書を探す。木谷は取扱説明書が嫌いだった。
本当に知りたい情報にたどり着くまでに、全く書く必要もない
と思われる項目を目にして時間が掛かるという。そんな中、
取扱説明書の本棚に"殺意取扱説明書"なるものが見つかる。
何だこれは?と胡散臭いものに目にしながらも興味を示す。
殺意は誰にでも簡単に手に入れられるもので、安全に正しく殺人
出来るためのマニュアルだという。

一ページ目を見ると、殺したい相手・対象を確かめようと
書かれていた。木谷は先程コーヒーメーカーの事で文句を
言った女子社員の事を思い浮かべるが、殺したい程ではない
という。同期入社の川島実こそ殺したい相手だという。

二ページ目には、自分との関係を明確化せよとの事。
相手は同期でかつては親友だと思ったこともあった。
更に本では殺意の初期化をして、最初に殺意を抱いたときを
思い出すよう指示がある。一緒に飲み明かしながら仕事の件を
話した際に、木谷が話したアイディアを実が奪い、それを
大手住宅メーカーのプレゼンに使うと、見事採用され、それ
以降トントン拍子で出世していったという。逆に木谷は大した
成績も残せず、総務部に異動になっていた。人気モデルを
していた美由紀は、木谷の事をクリエーターではないとして
恋人関係を解消し、実と付き合う事になる。
あんな奴死ねばいい・・・と木谷は感じる。

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トラブルが生じたときに参照する取扱説明書。
不要なことばかり書いてある為、敬遠しがちなものだが、なんと
殺意の取扱説明書まで有ることを知る。それを読んで憎めべき
相手を殺そうとするが・・・

取扱説明書を皮肉った様子が面白い形で描かれ、マニュアルに
よって踊らされる人間の滑稽さが上手く皮肉として描かれてい
た。

冷静に考えると、川島が木谷を殺害したいと考える必要など
ない気もするけど、オチとしてすっきりさせるにはこの形が
ベストなのかな。

マニュアルなどと馬鹿にしていた彼も最後にはマニュアル通り
にしか動けなくなるという現代人の滑稽な一面が上手く描かれた
と思う。


木谷晋吾 …… 玉木宏 (広告会社・総務部)
川島実 …… 塚本高史 (広告会社・クリエーター)
美由紀 …… 杏さゆり (モデル、晋吾から実に鞍替え)
八屋夕子 …… 野口かおる (晋吾と同じ職場のOL)
社員 …… 鶴岡幸乃
解説 …… 田丸楓


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

宮部みゆき『燔祭』×広末涼子
脚本/橋本裕志
演出/若松節朗

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両親が亡くなり、妹・雪江と住んでいた一樹。
雪江はバイト帰りに誰からに尾けられている気がするとして、
一樹に迎に来られないか?と電話するも仕事で行けず、その時
何者かに殺害されてしまう。
一樹は灯籠を流しながら、たった一人の肉親である妹を助けら
れなかったことを悔やむ。
その後事件は女子高生連続殺人事件として17歳の男子高校生・
小暮昌樹が逮捕されるも容疑不十分で釈放される。警察署から
出てくるときにマスコミは一斉にカメラを向けるが、父の太郎
はこれは不当逮捕の犠牲者だとして訴える。
一樹はそんな昌樹が駅のホームで電話しているのを耳にする。
友人に殺人したしたが捕まらなかったことを自慢のように語る
姿に、列車が来た際にホームから突き落とそうとするが、
いざ目の前にするとなかなか実行に移せない。
一連の行動を見ていた一樹のことを、同じ会社のメイル部で
働く青木淳子が声を掛けてくる。あの犯人は捕まらない、
だから殺そうと決めているのでしょう?と問い、自分が力に
なりたいという。私は貴方の武器になれるという。
淳子は自分の力を見せるために廃品の積み上がる空き地に連れ
ていくと、能力を見せる。すると廃品は一気に燃え上がる姿
が有った。

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妹を失ったことで失意の余り、犯人に復讐をしようと考える
一樹。そんな心中を察して淳子は自分が彼の武器になって
殺害の手伝いをしようとする。そこには、彼女自身の存在の
意義・証明を求めるものだった。

殺害を計画する不純な動機で結ばれた不思議な恋愛・復讐話。

妹への復讐を誓う中、淳子との出会いによって心変わりをして
行く。

恋愛モードに入ろうとすると、途端に雪江の写真立てが倒れる
辺りがなんとも言えない。恋愛に現を抜かすなと訴えている
のか、それとも他に意図があるのか・・・

互いに相手の気持ちを考えて行動している所がよく現れていた
が、淳子にしてみれば一樹の無念を晴らしてあげたいと同時に
自分の中で存在の意義を求め、自分のための殺人という意味合い
が有り、そんな所にすれ違いを求めていく所など、面白く描か
れていた。

対象物に火を付けるときの広末涼子に熱気を感じモヤモヤっと
した感じが怒りの様で滑稽にも迫力にも感じるものだった。


青木淳子 …… 広末涼子 (特殊能力を持つ)
多田一樹 …… 香川照之 (妹を殺される)
小暮昌樹 …… 中村倫也 (17歳の殺人鬼)
多田雪江 …… 飛鳥凛 (妹)
小暮太郎 …… 高杉航大 (昌樹の父)
記者 …… 吹上タツヒロ
リポーター …… 池田宣大
子供の頃の一樹 …… 米本来輝
子供の頃の雪江 …… 篠川桃音


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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