世にも奇妙な物語 映画監督編
世にも奇妙な物語’15超短編を含む 秋の特別編

ストーリーテラー:タモリ

編成企画 - 水野綾子、加藤達也
プロデューサー - 後藤庸介
アソシエイトプロデュース - 小椋久雄、岩田祐二
脚本 - 大浦光太
演出 - 植田泰史
ウェルズ - アルノ・ル・ギャル
パウリ - メクダシ・カリル

「世にも奇妙な物語・超短編含む秋の特別編総勢9名豪華10本の人生狂わ
す恐怖体験」





◆『バツ』

脚本:長谷川徹、山崎貴
監督: 山崎貴
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初野元秀と益田江梨子は銀行の融資部で働いていた。この日、
町工場の足立の元を尋ねる。足立は死にものぐるいでやるので
追加融資を頼む。元秀は検討してみますとしてとしてその場を
後にするが、追加融資はしないことを決めていた。江梨子は
融資はしないのかと尋ねると、バンカーとしてやるなら情に流
されてはダメだと語る。
帰宅する元秀は娘ははづきから、父の歯ブラシがくっついてい
ることに嫌悪感を示される。妻の弥生は洗えば大丈夫でしょと
語る。
いつものように朝6時半に目覚めると洗面所で顔を洗う。
すると額にX印がついていることに気がつく。妻に額に何かついて
いないかと尋ねるが特に何も無いと言われる。
出社すると江梨子に声をかけられ、江梨子にも額に何か付いて
いないかリアクションを見るがとくに何も言われなかった。
自分にしか見えないものなのか。鏡に向かうとバツが濃くなって
いる気がする。
落ち込んでいる父に対して娘は食欲がないのかと問われ、今朝
歯ブラシのことで強く言ったことを気にしているのかと問うと、
父は娘に額にX印がついていないかと問うが何も見えないという。
疲れているのか・・翌日富士見野記念病院に寄って脳の検査を
するが医師からは特に異常はないと言われストレスだろうという
診断の下、軽い安定剤を処方される。
雨が降る中駅のエスカレーターで下っていると、向かい側から
上ってくるラーメン屋を営む邑田英策という男性の額にもバツ印
がついている事が分かる。
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バツ印が果たして死を意味するものなのか。
そしてそのバツ印は何らかの方法で取り除いたり付いたり
するものなのか。

しかし初めてバツ印の人を見たときの安堵感から始まり、
それが死に繋がるものだと認識してから、やたらとバツ印が
見える人が増えていく辺りは怖いものを感じさせる。

自分が死ぬと分かると、途端に懺悔の気持ちが生まれ、周りに
優しくなれる。普段から優しく出来れば良いんだけどね。

街全体が死ぬのではないかと思うくらいにバツ印が増えて、
それと同時に伝染病が流行するという辺り、怖いところが
有ったね。

初野元秀 …… 阿部サダヲ (銀行支店の融資課長)
邑田英策 …… ムロツヨシ (ラーメン店主)
初野弥生 …… 鈴木砂羽 (元秀の妻)
初野はづき …… 吉田里琴 (元秀と弥生の娘)
益田江梨子 …… 山谷花純 (元秀の部下)

柴田義之、河原健二、氏家恵、谷藤太、児玉頼信、野崎祐介
福原直英(アナ)、田淵裕章(アナ)


◆『幸せを運ぶ眼鏡』
原作:
脚本:宇山佳佑
監督:本広克行
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パソコンに向かっている村上涼太に対して、メガネから突然
名前を教えてくださいと言われる。ウェアラブルライフサポー
トアドバイザー、通称ウェルサだという。村上涼太だと名乗る
と認識する。
一週間前、会社の同僚と飲みに行った際に涼太は色々と聞かれ
る。お前は一体何に金を使っているのか。休みの日には何を
しているのかと。DVDを見て発泡酒を飲むのが好きだという
涼太は貯金が趣味だという。金を使っているヤツが偉い訳でも
ないし結婚しているのは逆に煩わしさが増えるだけだろうと
感じる。しかしアニメのDVDを見て居た彼は今のままで良いのか
とふと考える。これからもずっと一人なのか。80歳になって
も・・ラスカルがノースの元から離れて行く映像を見て寂しさ
を覚える。
それも合って、同僚から勧められた結婚出会い系に登録する。
村上涼太(33歳)、株式会社・ユニバーサルトラベラーズの営業
企画、年収450万、貯金額1千万円。ついに登録したが該当者が
居なかったらトラウマになる事を呟く。しかしデートの申し込
みを知らせる該当者が多く現れる。その中でも三浦あゆみ
という書店勤務の女性があまりにカワイイ為にデートの約束を
取り付ける。何処にデートに行けばいいのか調べている中で
突然HAPPY GRASSと書かれたメガネが届く。
それをかけると必要な情報を全て教えてくれるというもので、
骨伝導で本人にしか声は聞こえなかった。あゆみとは上野駅前
で待ち合わせする中、デートは何処に行きますかと問われ
答えにあぐねていると、メガネは情報を収集し彼女のツイッタ
ーの情報から絵画に興味を持っている事を知り、フェルメール
展に行かないかと誘う。
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最近何でもウェアブルでネット検索に頼りがちになるツール
によって、本来便利に利用すべき立場の人間が、逆に支配されて
しまうという辺りの皮肉を描いたもの。ただコンピュータが
人間を支配しているものではなく、意図した人間が他人を誘導
しているという辺りは、今に始まったものではなく、ヴァレン
タインやクリスマスに於ける商戦もある意味では似たようなもの
だ。

一度手にしたツールの利便性。
自らを破壊する命令を出せる人工知能マシンの凄さを感じる。

結果的に販売促進の為のツールだったこと。
人は金を使うことで幸せになるとは思わないけど、使えるだけ
の金を持っている人は幸せになれるだけの要素を知らない
ウチに持っていたりするんだよな。



村上涼太 …… 妻夫木聡 (ユニバーサル・トラベラーズ社の営業企画担当)
三浦あゆみ …… 山本美月 (本屋店員、村上の見合い相手)
紳士 …… 橋本じゅん (リストランで倒れる)
ビジネスマン …… 古館寛治 (ハッピーグラス社)
ウェルサ …… 日高のり子

大石吾朗、菅原永二、与座よしあき、古屋隆太
石渡愛、清水葉月


◆『箱』

原作:
脚本:佐藤嗣麻子
演出:
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吉野朔子は関東薬科大の次世代治療研究所で働く研究員だった。
何者によって突然後頭部を殴打され気がつくと箱の中に閉じ込
められていた。暗闇の中、幸い近くに懐中電灯が有り付けてみ
ると、まさに何か狭い場所に閉じ込められていることが分かる。
大声で叫んで暴れてみるが誰にも声は聞こえていない様だった。
突然体にちょっとした痛みが走ったかと思うと体に何か虫が
這い上がるような光景を見てパニックを起こす。足元には
iphoneが落ちていた。取りあえず緊急用の番号に電話すると
110番の対応に出た男性は、色々と状況の説明を求めてくる。
貴方の名前や職業、どんな状況にあるのか。それはどんな箱で
その場所の心当たりはないか・・・iphoneは何処のキャリア
のものか、電池の残量はどのくらいか・・・残りは半分くらい
だとすると大切に使う様告げ、まずはSIMカードを外して
それを知らせて欲しいという。朔子はそんなことよりも電波を
探知して場所を特定して欲しいというが、対応の男性はなかなか
朔子の言う通りにはならなかった。現在その近辺に向かっている
とのことでちょっと安心するが、箱が動き出したことを報告。
車輪のような揺れは感じないとすると、何か特徴的な音は聞こ
えないのか?と問う。何も聞こえないとすると、とにかく狭くて
苦しく怖いので気が狂いそうだと語る。男は警察が捜索している
ので落ち着いてくれと。電話を繋ぎっぱなしにすると電波が
受信できなくなるので切った方が良いという。そんな中パイプ
オルガンの音が聞こえると、再び110番に電話してそれを伝える
が・・
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これは意外とありがちなシナリオだったかな。
自分が生きて居るという意思を他人に伝えたいのに伝えられない
苦々しさというものを描いたもの。
110番で対応する声の主・水橋研二さんが普段のドラマに於ける
役柄と同様に癖があって、相手を苛立たせる辺りの小馬鹿に
するような回りくどい対応が絶妙だった。

脳死の状態というのは、こういう状態なのかどうか。
実際にはその状態に陥らないと誰にも分からない。
死後の世界は色んな人が描くし、生死を境にした状況のシチュ
エーションに於けるドラマというのは時に描かれる。

例えこのような脳死でなくともこの世の中、他人への意思の
疎通もままならない状況というのは探せばありそうだね。
そんな息苦しい状況を描いたようで、ネタ晴らしの際に、これ
まで竹内さんサイドから見た状況とは別の該当する事象を照ら
し合わせると妙に納得してしまうところが上手く出来ていた。

吉野朔子 …… 竹内結子
吉野大輔 …… 高橋一生・・・朔子の夫?
医師 …… 飯田基祐
110番の声 …… 水橋研二

難波圭一、猫田直、金沢きくこ、柏原優美、森本のぶ
小川智弘、小川夢華


◆『事故物件』
脚本:加藤淳也、三宅隆太
監督: 中田秀夫
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別居した早瀬由希子はマンションに引っ越しする。
娘の朱里はママの元にやってくると、お腹がすいたという為に
引っ越しそばでも食べようと語る。夜、娘を寝かしつける中で、
突然深夜12時13分に電話が鳴る。無言だった為に電話を切るが
突然寝ていたハズの朱里がベッドの中で怖がる。母はそんな娘
を落ち着かせると、何故か湯が沸く音が聞こえる。

翌朝朱里に対して大丈夫かと尋ねるが、娘は何も覚えていない
用だった。今度の授業参観にクラス代表で作文を読むことにな
ったとし、母にも来て欲しいと語る。
一人部屋を掃除していると何者かがいるような音が聞こえる。
すると朱里と由希子の写真立てで突然落ちてひびが入る。二人
の仲を引き裂くような割れ方をしていた。
また今日も12時13分になると電話が鳴るが無言電話だった。
しかし今日は白い服を着た女性の影を見る。すると今日もまた
朱里が寝室で叫び出す。由希子は娘をハグして落ち着かせると
「アンタのせいよ」と朱里が言葉を発したように感じる。
翌日由希子は不動産業者に行き幽霊が出ることを語ると、昔は
事故物件をごまかす大家が居たが今はそういうのはなかなか
居ないという。そんな中、由希子の元に夫の真一から電話が鳴
ると逢うことになる。そろそろ落ち着いて見られるかと思って
持って来たとしてDVDを手渡す。新居はどうかと尋ね、引っ越しの
手伝いに行けなかった事を謝罪する。由希子は今住んでいる所
がちょっと変だとすると、真一は戻ってこないかと声をかける。
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事故物件というだけで恐怖を誘うけど、それが安いことを知り
敢えてそれを狙って住む人も居る。アパートなど事故物件を
事故物件に見せないようにするため(記載するのを避ける為に
わざと人をある期間住まさせる)の仕掛け人というのも居た
りするけど、今時のネットだと事故物件かどうかが検索で
分かってしまったりもして、検索してみると怖かったりする。

やはり何と言っても中谷さんの演技が際だった。
毎日同じ時間に電話が鳴り、娘は何故かヤケドをしたりする。
夫は彼女がどんな状況でいるのかまでは分からないにしても
娘が死んでいることは認知しているのに、それを隠している
ところがドラマとして憎らしい演出だ。そこが肝なのでそのネタ
が分かってしまうとドラマの楽しさは半減してしまう作品だ。


早瀬由希子 …… 中谷美紀 (看護師)
早瀬真一 …… 高橋和也 (由希子の別居中の夫)
早瀬朱里 …… 新井美羽 (由希子と真一の娘)

諏訪太朗、最所美咲、羽村純子、小野里麻耶
秋山皓郎、芦村顕、宮田亜紀



◆『嘘が生まれた日』

原作:渡辺優平
脚本:宇山佳佑
監督:清水崇
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あの頃僕らの世界には嘘がなかった。事実だけを口に士言われ
た言葉を疑うことはなく生きて居た。

ヨシオとショウ子の結婚式。ショウ子は金と男が好きのアバズレ
だったという。過去正太郎もショウ子の毒牙にかかっていたと
するとヨシオは彼を殴る。ショウ子から誘ってきたんだという
正太郎。テレビではメガカロリーバーガーと称して不健康な
バーガーのCM。金を受け取ったという藤本議員はたったの500万
だろうとして市民や記者たちにキレていた。正太郎はHighest
Cellphoneで働いていたが、上司からはリストラ候補だと言われ
る。正太郎は成績が悪いのはウチの商品が粗悪だからだと反論
する。上司はただクビにするのも難しいので問題でも起こして
首になってくれと正太郎に無茶な要求をする。

正太郎はレストランに彼女のカヨを連れて行く。
レストランのウェイターがやってくると味を尋ねてくると、
カヨは全然美味しくないという。そんなカヨは正太郎に対して
別れて欲しいとし、本社の人に乗り換えるという。
正太郎は何故自分は付いていないのかと落ち込む中、サイフが
落ちているのを知る。正太郎はサイフの中身を確認するとそれ
を自ら持ち去ってしまう。警察官が突然正太郎の前に現れると
サイフを拾ったでしょうとしそれはあなたのものなのかと問う。
違うというとそれは窃盗だといし逆らえば逮捕するという。
正太郎はタイホもクビも失恋も嫌だと主張すると、警察官は
過剰に反応しあれは脱法ドラッグをしている目だとして銃を
取り出すとこれは正当防衛だとして今にも撃とうとする。
しかしサイフは僕のですと嘘をつくと、突然その場にいたもの
たちは安心し警察官も早く言ってくれたら良いのにと
語る。
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今までそんな概念は存在しないと思っていたが、有るときそん
な便利なものがあると知った時、一人の人生は大きく変わって
しまう。

オレオレ詐欺にしても、ピッキングにしても、古くは援助交際
にしても、その概念が世間に認知されていない時には一切起きて
いなかったことだったのに、人間というのは如何に愚かなもの
なのかという事を感じさせる。

「昔は良かった・・・」。そう感じるのも人間関係に於ける
やりとりがシンプルだった頃の事で、今のように格差社会の
サバイバルのような世界があると、だましだまされの世界で
自分だけが幸せになれば良いと思っているエゴのむき出しの世界
だからこそなんだろうね。
こう考えると、資本主義の善し悪しと、社会主義の善し悪しを
感じさせるようなネタな感じだ。


宇佐美正太郎 …… 満島真之介 (携帯電話販売員)
増谷理 …… 白洲迅 (正太郎の友達)
内田和也 …… 矢本悠馬 (正太郎の友達)

正太郎の父 …… 小市慢太郎 (酒屋店主)
正太郎の母 …… 内田淳子 (亡くなっている)
市川幸恵 …… 笹岡ひなり
警官 …… 矢柴俊博
上司 …… やべけんじ
ウェイター …… 中村靖日
幸恵の祖母 …… 佐藤直子

田実陽子、杉本有美、友松栄、松野井雅、山ア勝之
鈴木聖奈、川面千晶、太田いず帆、岩本淳、松下太亮
原舞花、藤井ペイジ、ビューティーこくぶ、枝元萌
雪中梨世、太宰美緒、小澤知将、清宮義騎、斗澤康秋
村田絢、手嶋政文、慶徳優菜




佐久晋吾



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