マードック・ミステリー 〜刑事マードックの捜査ファイル〜 Murdoch Mysteries (カナダ / 2008年) 製作総指揮 - スコット・ガーヴィー、クリスティーナ・ジェニングス 製作 - ローラ・バービン、ピーター・ネイブーン、キャル・クーンズ 監督 - ショーン・アレックス・トンプソン、ドン・マクブレアテ ィ、ジョン・レクイエ、ファーハド・マン 制作 - シャフツベリー・フィルムズ、チャム・テレビジョン、グ ラナダ・インターナショナル http://www.mxtv.co.jp/murdoch/

第6話 灰色の色合い Shades of Grey

脚本／Laura Phillips 監督／Don McBrearty
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リリー・ダンは勤めているビクスビー保険会社のビルから出て
来ると体調が悪そうにしていた。気がつくと目から血が流れ落
ちてくる。

ジュリアはマードックの元に行くと、プレゼントが有るとして
彼に渡す。私が居ないときでも証拠を探し出せるとして、コリ
ンズ社製の最新の銃弾摘出機をプレゼントしたのである。マー
ドックは大喜びして、彼女にキスをする。
そんな中、ジョージがマードックのオフィスにやってきて
排水路で遺体が見つかったという。
遺体は女性で服を全て脱がされているが、金のブレスレットは
盗まれた様子がない状態だった。マードックはジョージに対し
て、どのように遺体をここに運んだのか、そして失踪者の届け
が無いか調べるように指示する。

ジュリアが遺体を調べると、左腕にはあざが有り、遺体は24時間
以上前に亡くなっていること。肌が青ざめており、体内の血が
殆ど失われており、目は濁って結膜炎を起こしているという。
服が無いのは恐らく失血死である事を隠す目的があったのでは
ないかと推察する。

遺体を改めて解剖すると、肺の中には水が無く、死後あの場所に
投棄されたこと。そして遺体は36時間が経過しているとの事。
ただし死因を特定するのは現在の所難しいという。病気だった
のではないか。しかし何故ブレスレットだけが残されていたのか。

そんな中、バーサ・ダンという女性が、娘・リリーが帰宅しな
いとして署にやってくる。遺体を見て娘だと確認し涙するが
ジュリアは決して汚されたものではないと慰める。
バーサによると、リリーはとても穏やかに生活していて恨みを
買うような人物ではないこと。仕事はとても忙しくしていたが、
自分がアイロンがけの仕事をしていると手助けしてくれる様な
子だったという。一昨日の朝に見かけたのが最後で、昨日の午後
親戚の家から帰宅した際に娘が居ないことに気がついたとのこと。
ただし残業が多かったので最初はそれ程気にもとめていなかった
と語る。ここ一週間、娘の具合が悪そうだったと告げる。
病院に行くことを勧めたが金を使いたくはないとして行きたが
らなかったと。

彼女が勤めていたビクスビー保険会社にいく。
すると社長のビクスビーは、一昨日の夜に彼女を解雇した事
を語る。とてもマジメだが最新のタイプライターを導入し
あまり仕事に向いていなかったのだという。彼女は体調を悪そう
にしており、これから主治医のアイザック・タッシュの元に
行くと話していたと語る。アイザックと言えば、ボートクラブ
の件(シーズン1の8話"美貌の罠")で協力してくれた医師である
事が分かる。

アイザックに会いに行くと、リリーの事は知っているが、予約
された形跡もなく、最近は随分逢っていないという。彼女の
死について何か知らないか?とするが、患者との件は全て秘匿
特権が有り、通院はごく普通のことであると語る。
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マードックは被害者・リリーの事を調べていく内に、彼女が
妊娠していた事を知る。父親は誰なのか。そして全身から血を
流して亡くなったとする彼女の死因は何なのか。

折角マードックとジュリアの中が最接近したのに、今回は
一歩後退したような感じになってしまった。
何よりもジュリアとアイザック医師の関係の中に何が有るのか。
医師という職業柄が秘匿特権によって患者の事情を隠している辺り
がドラマを難解なものにしているし、何よりも堕胎が死刑に
値する罪である時代性という事も有って、起きた悲劇でもある
のかもしれない。

昔デミ・ムーアがテレビムービー「スリーウイメン／この壁が
話せたら」の中でそんな悲劇を演じていた事があるけれど、
女性と仕事の関係はこの時代はより辛いものとして存在していた
感じだね。

何より驚いたのが、ジュリア自身も堕胎していた事実が存在して
いた事か。マードックがそれを告発すれば裁判にかけられる事に
なるという事で、彼の信念に問いかける物語だったという点で
興味深いものとなった。奇しくも「相棒」のシーズン10の最終話
は、右京のそんな信念を神戸がねじ曲げさせるという展開だった
事も有って状況的にはオーバーラップして見えた。

きな臭い医師やら薬剤師が多かったけれど、結果的には殺鼠剤
のようなものを飲んで子供を堕ろそうとした様だ。
全ての問題は彼女を妊娠させたあげく会社を退職させた社長が
悪いのかな。

そんなビクスビー社長役のAnthony Lemkeは、「リスナー 心を
読む青い瞳」でのブライアン・ベッカー役を演じている。