FBI 失踪者を追え!
Without a Trace

制作総指揮/ジェリー・ブラッカイマー


第23話 911の爪跡(後編)
Fallout: Part 2

脚本/Hank Steinberg 監督/Paul Holahan
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サマンサがバリーとジャックの交渉仲介の電話をしている際、
隙を付いて人質の一人・リチャードはサマンサが隠しておいた
銃を取り出そうとする。サマンサが電話口で不可解な言葉を
発したことからバリーは異変に気がつき、リチャードともみ合
いになる。その際バリーが所持していた銃が暴発し、偶発的に
サマンサの太ももに銃弾が貫通する。
ジャックは電話口で異変に気がつき呼びかけるが、応答が無く
不安に駆られる。
バリーは銃が何故存在するのかで、警察がこの中に紛れ込んで
いる事を詮索。するとサマンサは自ら名乗り出てFBI捜査官で
有ることを告げる。
ジャックは電話し、バリーに何があったのかを尋ねる。
バリーは人質の一人が飛びかかってきた拍子に、銃を誤射した
が銃弾は床に当たっただけだと答える。しかしサマンサの容体
が思った以上に悪いために、自らジャックの元に再度電話し、
事実を告げる。バリーは責任の非をジャックに突きつける。
FBI捜査官が紛れ込んでいることを交渉の際に話さなかったせい
だという。彼女を助けたければ医者をよこせという。
しかし医師を派遣すれば新たに人質を増やすことになるので
無理だと告げる。それよりもサマンサを解放しなければSWATと
チームが突入してしまうかもしれない事を臭わせる。

ビブはバリーの叔母さんの元を訪ねる。孫を預かったのは2ヶ月
前からで、その時バリーはバンの中で自殺未遂を起こしたと
いう。しかし本人はそれを認めようとはしなかったという。

そんな中、マスコミはバリーが発砲した件を取り上げ、イカれ
た男が立て籠もっていると一斉に報道する。それを聞いた
バリーはあくまで偶発的なものだとして、ジャックにマスコミ
に正しい情報を流すよう要求する。

一方その頃、Eメールの調査を行っていた捜査官から、脅迫メ
ールが届いた前後にバリー宛てにメールが送られてやりとり
していた形跡を見つける。やりとりしていた相手はオズボーン
という弁護士で、彼に面会すると被害者救済基金の件でバリー
と接触したという。妻のニコールが亡くなった事で政府からは
68万7千ドルが支給される予定だったことを知る。
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今回は交渉人をしていたジャック自らが人質として店内に入り
込んでいく話だった。

話が出来る奴だと踏んだからの行動だと思うが、とにかく展開
に無理が無く、バリーに対して心を揺さぶり有利に持ち込んで
いくジャックとバリーのやりとりが素晴らしいものだった。

シーズン1の最終回に相応しい内容であり、ずっと懸案だった
ジャックと家族周りの話が展開上うまく挿入されたり、
ジャックとサマンサの関係や、サマンサとマーティンの関係など
がとてもうまく描かれたと思う。

一人一人交渉術によって人質を解放していく様。
あまり人質が多すぎても、犯人にとっては不利に働くし、
リチャードの暴走のようなことが起こらないとも限らない。
私一人が居れば良いとするジャックは腰を据えて彼と話し合う
つもりだったのだろう。

ジャックが家庭と上手く行かず、職業柄家庭は上手く行かない
と語ったときに、バリーは奥さんが生きているのに何故愛し方
を分からないんだとする発言には、とても印象深く写る。
しかし自分勝手な奴だとジャックを非難するも、バリーが自殺
を図った事実を盾に今度は彼に反論し、死を受け入れられない
だけであり、妻が死んだことを実感させるように言葉を激しく
投げかけるシーンは本当に魅了されるものがあった。
優しく相手の立場に立つ発言だけが交渉術に於いて役に立つ
わけでは無いこと。心をさらけ出して話し合うという意味が
この二人のやりとりの中で見えた話だった。

ジャックが飛び込んできたときの言動を見て、ジャックとサマ
ンサが特別な関係にあると見抜いてしまう犯人はちょっと出来
過ぎにも思えたが、この二人のやりとりを通してジャックの
家庭の事情を描いた事は興味深かったし上手い手法だと思う。

最後にJeff Buckleyの曲"Hallelujah"が流れると心が洗われる
ような感覚に陥るね。

ジャック・マローン (Anthony LaPaglia) FBI
サマンサ・スペード (Poppy Montgomery) FBI
ヴィヴィアン・ジョンソン (Marianne Jean-Baptiste) FBI
ダニー・タイラー (Enrique Murciano) FBI
マーティン・フィッツジェラルド (Eric Close) FBI

バリー・マッシュバーン (Tom Irwin) 犯人
シドニー・ハリソン (Marsha Dietlein) 41歳。人材派遣会社経営
ジョージア (Barbara Tarbuck) バリーの叔母
ポーラ・ヴァン・ドーレン (Lynn Whitfield) FBI上司
テッド (Steven Nelson) 人質。書店の店員
リビー・コールター (Betsy Brandt) 人質。シドニーの部下
フラン (Michelle Anne Johnson) 人質。舞台女優
カイル (Carter Jenkins) 人質。子供
シェリル (Jill Remez) 人質。カイルの母親
--- (Eliza Coyle) 被害者救済の女性

マリア・マローン (Talia Balsam) ジャックの妻
ハンナ・マローン (Vanessa Marano) ジャックの娘
ケイト・マローン (Laura Marano) ジャックの娘
ウェンディ (Steffani Brass) バリーの娘
ピーター (Thomas Curtis) バリーの息子
オズボーン (David Kagen) 弁護士

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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