ホームランド
Homeland

オリジナル:Gideon Raff ("Prisoners of War")

http://video.foxjapan.com/tv/homeland/
http://www.dlife.jp/lineup/drama/homeland_s1/




 

Dec. 4, 2011
第10話 始動 Representative Brody

脚本/Henry Bromell 監督/Guy Ferland
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ブロディはイラク北部でアブ・ナジールの息子・アイサの英語
教育を任されたが、ある時アメリカ軍の無人飛行機から投下

された爆弾によってアイサは帰らぬ人になる。その時作戦を
指揮していた元CIA長官は現アメリカ副大統領のウィリアム・
ウォルデンだった。ブロディはザハラニから彼は君を選挙に
出馬させようとするとするだろうことを告げ、出馬を引き受ける
のであればナジールに対して君の信念・決意が揺らいでいない
事を伝えると言われる


一方CIAでは、モスクで射殺事件が起きた後、教祖の妻から
トムがモスクに来ていた事を告白され、トムが会っていたのは
サウジアラビア外交官員の一人・ザハラニだと聞く。

ザハラニに関する情報は少なかったが、ソールはそれでも
十分なことはあるとして部下たちに作戦と情報を与える。

マンスール・ザハラニ。
サウジアラビア大使館の二等書記官
一週間尾行を続けた結果、三日前の映像をモニターに映し出す。
先週の電話は全て傍受した事を告げ、仕事や経済状況、プライ
ベートの全てを洗い出したという。ソールによると興味深い
発見は二つあるという。

1) ザハラニは投資の失敗により75万ドルの借金があること。
2) ザハラニはゲイであること。


3人の妻と10人の子供を持つイスラム教徒だが、これら情報を
利用して
トムの居場所とナジールの計画を聞き出すのだ
と語る。借金の大半は投資ファンドを運営する銀行からの
借り入れだという。小さな情報だが使い方次第だと語る。

キャリーは投資銀行家のプリチャードに会う。
プリチャードはキャリーがスパイだとして興奮していた。
正確には諜報員だというキャリー。現在この銀行の顧客である
ザハラニを調べている事を告げ、銀行を借りたい事を告げる。

一方やることもなく家で新聞に目を通していたブロディは
"副大統領・対テロ姿勢を崩さず"とする見出しの記事を読んで
いた。ブロディはザハラニが語っていた出馬の件で悩んでいた。
そんなブロディの元に何者か高級車が止まると、ブロディは
緊張した姿勢を見せる。車は一台ではなく複数台いることが
分かると、ブロディは習慣から脱出口を探して逃走経路を
確保しようとするが、相手はシークレットサービスだと分かる。
そして高級車から出てきたのは、副大統領のウォルデンだった。

ウォルデンはブロディに対していくつかの質問をする。
トムは優秀な狙撃兵か?・・・ジョンソン議員のことは知って
いるかetc・・・。するとウォルデンは早速本題とばかりに
ブロディに出馬する意向はないかと尋ねる。君と働けたら
光栄だとし、君は敵と共に生きて、奴らのことを理解している
という。やってくれるか?と問うとブロディはやりますと答える
が、まずは妻・ジェシカに相談させて欲しいという。ウォルデン
は当然ジェシカの存在も重要であり、「英雄として戻った
夫を8年間待ち続けた美しい女性像」としての価値を説く。

エスティスとソールは政府関係者のカイルにザハラニに尋問
したい事を告げる。カイルは彼には外交特権があるので
CIAに無関係でも国務省にとっては無視できない事だと語る。
ソールは昼休みにいくつか質問するだけだと告げると、それ
ならば国内の件で捜査するならばFBIの仕事ではないのかと
言われる。特権は無視しろというソールは、二時間だけ銀行
で話をするだけだという。しかし二時間も大使館員が居なく
なれば大使館が彼を捜すだろうという。しかしソールたちは
ザハラニがゲイである事を告げ、サウジアラビアでゲイは
大罪である事を語る。カイルは長官には報告すると告げ、
反対した理由も添えることを告げる。
ソールはキャリーに対して尋問を指揮しろと語る。
エスティスもそれに同意し、相手が女性の方が有利に運べる
だろうとの事だった。

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■信念と弱点

人間にはどんなに立派で確固とした政治的信念を持とうとも、
それを上回る存在が有る。家族の存在であり、そして本人の
持つ性的嗜好だ。他人との価値観と相容れないものを持つと
いうことは、すなわち弱点にもなる。
皮肉なことにテロリストのしている行為そのものがタブーで
エゴの固まりなのに、今回アブ・ナジールと精通している
サウジの高官のザハラニがイスラム教徒としての規律を破って
いるところがまた皮肉だった。イスラム教徒にしてみれば
アメリカの持つ自由さ加減が人間の怠惰を生み出しているとする
主張も有るのかもしれない。かつて世界中の資本主義社会国家
を震撼させたオサマ・ビン・ラディンも裕福な立場であったが、
意外と質素なくらしをしていたことは言われている。

■任務の無い海兵隊員

人間として生きる限りは何らかの社会貢献したいとする気持ち
が有るはずで、その積み重ねが自我を形成するのに役に立って
いるのかもしれない。エゴと社会貢献のどちらを優先するのか
は人それぞれだけど、軍人である限りはエゴ以上に国家を
優先するような教えは受けているのかもしれない。

今の立場では何も出来ないブロディにとっては、議員となって
社会貢献することを考えている様だが、主要なポストに立てる
と信念という名のエゴを貫き通しやすくなる。

ナジールとの関係は洗脳だけでなく、アイサを通した家族として
の繋がりもあるようなので、現在の状況ではナジールの為の
行動にも思えるところも有る。本当の家族は裏切っていたとする
失望感がまたそれを助長していたけど、人は環境によって
信念を貫くのは難しくなるし、大切なものの存在の優先順位は
刻一刻と変わっていく。イラクでの繋がりが異常下での繋がり
であったことを考えると、アメリカの土地で暮らして続けている
ブロディにとって当時のことがどれだけの意味合いを持って
いくのか。

映画「スピード」のサンドラ・ブロックがキアヌ・リーブスに
対して"非常事態の中で芽生えた恋は長続きしない"と名言を
はいたことが有るが、それはインスタントな出会い方をした
擬似的親子関係にも言えるのか。

■セックス・スキャンダル

英雄偶像という意味ではアメリカでもどの国でもあんまり変わり
はないが、やはり戦地での経験を積んでいる人物ほどに政治家
としては箔がついて人々の受けも良いようだ。

ただその偶像化もスキャンダルが存在する。
封印しようとしても事実はなかなかうち消せないことは、アメリカ
のドラマではよくあることで、ブロディとキャリー、ジェシカと
マイクの関係が公の物となった時には果たしてどういうことになる
のか。CIA局内に事実を知っているものが居るとなれば、対テロ
リスト相手の戦略が筒抜けになっている以上、逆のこともあり得る。

■ザハラニの優先すべきもの

自分の性的嗜好に関しては公表されてもかまわないと言い切った
けれども、家族のことを持ち出されると流石にザハラニも
協力せざるを得なかった。家族との関係を調べ上げていた
キャリーはやはり優秀だった。正義という名の下での脅迫なので
全く違和感は無いのだけど、法の下では完全にルールを破っている
し、正義が法の下で成り立つものであることを考えれば、CIAの
していることもかなりエグイ感じはする。
よく強盗犯が家族を人質にとって犯罪を犯させるという構図と
似たような感じ。立場が変わるとまた違った感じに見えるのね。

ちなみにザハラニの妻は、ザーラ、ハラ、ナズミーン。
ザーラとは15歳で出会い見合い結婚。
彼女との間には5人の子がいてファリド、スヘイル、ガミラ、
フーダ、ケディアが居るとのことだけど、結果的に彼の弱点は
ジャニーンというイエール大に通う娘のようだ。サウジに
強制送還させて一生ブルカを身につけて惨めな人生を送らせるわよ
と語るキャリー。


■恋愛・元サヤに期待するキャリー

このシーンはちょっと痛々しかった。
前回、ソールとの間で私たちは独りぼっちでいるしかないのか
みたいな寂しい台詞が有ったので、ブロディからの突然の電話
にはサプライズ感も大きかったのだろう。特にキャリーの家で
会いたいと言われた日には、なんとなく期待してしまい、
高級シャンパンに黒い色っぽい服装をして、BGMには
Miles DavisのMy Funny Valentineをかけてムーディな雰囲気を
醸し出す。
デスパレートな妻たちシーズン7の最後で、ダグとの
離婚が決まった際にレネがこのナンバーを繰り返し歌うシーン
ブロディと別れた際には「くたばれ!」と言われていたし、
今回ザハラニを取り調べしている際にも、放送禁止用語「クソッ
タれ!」と思いっきり浴びせかけられていたので、例え鉄の女
だったとしても心に潜む乙女心は傷ついているのだろう。

残念ながら一瞬にしてその期待が失望感に変わってしまったけど
とりあえずは同じ秘密を共有するものとしての繋がりは持てて
居る分、いつかまた繋がりを持てる日が来るのかも。

■ファラガット・スクエアの噴水

予告で爆発が起きることが描かれていたので、ドリフのコント
ばりに「志村、うしろーー」と思わず叫びたくなるような
爆発劇だった。
キャリーのその吹っ飛び方もまた凄い物が有ったし、気になる
のは検査の過程で、キャリーが気分障害的未認可のクスリを
飲んでいることがばれないか心配するところも有ったな。

ファラズ・ザバックという人物の名前も浮上したけど、今後
何かとドラマに出てくる人物なのか。


■使用された曲

・Sean Callery Feat. Chris TedescoのHomeland Main Title
・Sean Callery Feat. Chris TedescoのHomeland End Title
・Miles DavisのMy Funny Valentine
Thelonious MonkのStraight, No Chaser


■検索用キーワード


キャリー・マシソン (Claire Danes) CIA
ニコラス・ブロディ (Damian Lewis) 2003年行方不明、軍曹
ジェシカ・ブロディ (Morena Baccarin) 妻、マイクと不倫
クリス・ブロディ (Jackson Pace) 息子
デイナ・ブロディ (Morgan Saylor) 娘
ソール・ベレンソン (Mandy Patinkin) キャリーの上司
デビッド・エスティス (David Harewood) CIA副長官・黒人
マイク・フェイバー (Diego Klattenhoff) ニコラスの同僚、メガネ
ピーター・クイン (Rupert Friend)
ヴァージル (David Marciano) 盗聴、ハゲ
アブ・ナジール (Navid Negahban) アルカイダの長
マックス (Maury Sterling) 盗聴、弟、尾行、メガネ

エリザベス・ゲインズ (Linda Purl) "リジー"、副大統領主任政治顧問
フォスター (Scott Bryce) 海兵隊・上官
ラキム・ファイサル (Omid Abtahi) ブライデン大学助教授
アイリーン・モーガン (Marin Ireland) ラキムのパートナー
ラティフ・ビン・ワリド (Alok Tewari) 皇太子の執事長
ダニー・ガルベス (Hrach Titizian) CIA職員、エステスからキャリー監視を
マギー・マシソン (Amy Hargreaves) キャリーの姉
フランク・マシソン (James Rebhorn) キャリーの父
アフサル・ハミド (Waleed Zuaiter) テロリストの一員
ミラ・ベレンソン (Sarita Choudhury) ソールの恋人、インド系
ルビー・マシソン (Renee St. Gelais) マギーの娘
ジョジー・マシソン (Rachel St. Gelais) マギーの娘

ラファン・ゴア (Sammy Sheik) Imam / 政治的指導者・イスラム尊師
ヘレン・ウォーカー (Afton Williamson) トムの元妻
トム・ウォーカー (Chris Chalk) 海兵隊員、帰還していた
ルーカス・ウォーカー (Jaden Harmon) トムの息子
アイサ・ナジール (Rohan Chand) アブ・ナジールの息子、空爆で死
マンスール・アル・ザハラニ (Ramsey Faragallah) サウジアラビア外交官
ホール (Billy Smith) FBI捜査官
ウィリアム・ウォルデン (Jamey Sheridan) 副大統領
サヒーラ・ゴア (Hend Ayoub) ラファンの妻

カイル・ガリヤン (Trent Dawson) 政府関係者
ウィリアム・プリチャード (Remy Auberjonois) 銀行家
--- (Gabe Begneaud) Young Man
 ウィット (Michael Killian) Sniper

--- (Laura Palka) Reporter at Farragut Square
--- (Harley Castro) Marine
--- (Randy Grazio) VP Secret Service Agent
サミュエル・エバレット (Eli Walker) ホームレス


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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