ジェシカおばさんの事件簿
(Murder, She Wrote)





25 Jun. 1988
第2話(1) 海に消えたパパ Deadly Lady

監督/Corey Allen 脚本/Peter S. Fischer
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キャボット・コーブの街では、嵐が吹き荒れていた。
教師の仕事を引退後にジェシカは小説家として活動していた。
タイプライターを使って原稿を書き上げている中で、嵐によっ
て停電を起こしてしまう。そこに友人であるイーサンがやって
くると心配で様子を見に来た事を語る。現在この状況なのに
沿岸警備隊にSOSを出した人物がいて沖には難破しそうな船が
いる事を聞く。

翌朝、ジェシカは買い物から帰宅すると、見知らぬ男性が
庭の手入れをしている事を知る。自らをラルフと名乗る男性
朝メシをくれたら何か仕事をするとして、交換条件を持ちか
けてくる。自分は色々と土地を渡り歩いているというラルフ。

ジェシカの家がガタが来ていることも有ってその条件を受け入れ
朝食を出す。室内に入るラルフはテーブルに置かれた本を
見て良い本だと褒める。著者がジェシカだと知って驚く中、
ジェシカは得意の分析力・洞察力を使って、その本はまだ見本盤
で出版していないものであり、あなたが読んでいる筈は無い
と指摘。そして貴方は一見するとその日暮らしのような人生を
送っているように見えるが服は高価なもので、また腕時計の後など
があるところを見ると、宿無しという訳では無さそうだと指摘。
ラルフは42年間勤めた事で金時計をもらったとし、仕事を引退して
広い世界を見て回ることにしたのだという。

そんな中、エイモス・タッパー保安官から電話が鳴る。
イーサンがヨットを拾ってきたが、妙なことが起きているのだ
という。殺しの事件が起きたいうものだった。

早速ジェシカは話を聞きに行くと、遺体自体はない事件だった。
船に乗っていたのは白粉メーカーで有名なスティーブン・アール
4人の娘・ナンシー、マギーリサ・シェルビー、グレイスだという。
4日前にブリッジポートを出航して三日間海で過ごしたが、真夜中
には嵐で酷い目に逢ったのだという。父・スティーブンが甲板に
いたが、父は横波に襲われて海の中に落ちてしまったというもの
だった。
しかし問題なのはスティーブンには1億ドルの資産があるという
こと。遺体が見つからないと検死法廷かどうか判断が付きかねる
というタッパー保安官は、グレイスが検死法廷を認めるよう
急いだことも有って、遺産絡みではないかと疑いを持ち始めて
いた。潮の流れからすれば明日にでも海岸に遺体が打ち上げられる
ハズだと告げ、もう少し様子を見ようということになる。
保安官は話を聞いていたジェシカに意見を求めると、どうも
子供達は悲しんでいる様子がないという。

帰宅するとジェシカの元に電話局から通話料9ドルの請求が来る。
パリへの通話を行ったというもの。
ジェシカはラルフに対してフランスに国際電話を掛けたのかと
尋ねると、ケンタッキー州のパリに住む友達に電話したことを
認める。ジェシカはラルフに対してやるべき仕事があるのでは
ないかとして塗装の仕事を頼む。ラルフは塗装道具と屋根の穴を
修復するパテが必要だとして道具を用意してもらう。
そんな中、ジェシカの部屋にパイプが置いて有ることを知り、
亡くなったご主人のものなのかと問う。大事な形見だとしなが
らもジェシカはラルフにそのパイプをプレゼントする。

ヘリコプターが島に到着。
突然リサの夫のジョナサンが駆けつける。

ラルフは妻の死についてジェシカに語る。会話することで彼女
が生きて居られるという彼にジェシカは魅力を感じていく。
ジェシカは残念ながら自分は子供には恵まれなかったことを語る。
そんな中、ジェシカはシンクで皿を洗っていると水が流れる
様子からあることをひらめく。

ジェシカはイーサンの元にいくと彼に助言を求める。
イーサンはジェシカが自分に助言を求めることは珍しいと感じ
ていた。真夜中に波にさらわれたというアール家の船について
彼らはモヒガン島の東5kmのところに停泊していたと言っていた
が、その時間はハリケーンの目の中心にいたのではないかという
ものだった。全員を集めてその件で話をすると、ハリケーン
の目玉の中に居たりのであれば、海はベタ凪の状態だったので
はないかというもの。横波を受けて甲板から落下したというの
は不自然ではないかというものだった。するとマギーは観念
したかのようにジェシカの言うとおり事故ではなく、私が殺害
したと語る。父は酔っていた為にいつものように喧嘩になり
暴力を奮うようにして襲いかかってきた父をバッグに潜ませて
いた銃で二発撃ったというものだった。

そんな中、保安官事務所に新聞を届ける地元記者のジョナサン
そこにはスティーブン・アールの写真が掲載されていた。
20年くらい前の写真でドーランの会社を設立して100万ドル
長者になった時のものだという。それを見たジェシカはウルフ
と同じ顔であることに気が付く。
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ジェシカは田舎町に住む小説家。するどい洞察力から地元で
起きる事件に協力していく。
船上で起きた父親を巡る死に関して、次々と証言と事実が一転
していく。果たして父親が亡くなることが最も得をするのは
誰なのか。

80年代のドラマらしく多少雑さは有るけど、この時代にしては
とても物語の構成はしっかりとしていて、長い期間愛されたのが
分かるようなドラマ。
検視の技術が80年代のものなので、今時のドラマに慣れてしまうと
妙にその辺の物証に関する捜査に於いて気になる部分も出て
しまうのも事実なんだけど、この頃から意外としっかりと
物証を論理立てて描いているなという印象だった。

字幕が無かったのは残念だけど、ジェシカ役の声の吹き替えは
今は亡き森光子さんであり、妙にハマって聞こえるところが
有ったな。

4人も姉妹がいると色々と問題は有るよね。
ジェシカにだけしか知り得ない被害者の情報なんかも有り、
捜査に於けるイニシアチブを持てたところが面白く出来ていた。

最初の死の原因は偽装だったこと。
ラルフの行動の中にケンタッキー州に電話の形跡が有ったり、
謎の手紙が届いていたり、ヒールが遺体近くの岩場で見つかった
りと、その辺の行動の意図を上手くつなぎ合わせた感じ。
ただハイヒールが有ったから殺人を犯したとするには違和感は
有るので、最終的にはそれを突き詰めたところで、自白に頼る
しかないものが有るんだけどね。

父親の為に人生を犠牲にしたと感じる女性の悲しい事件の顛末だ
ったけど、私生活が充実していれば問題は起きなかったのだろうね。
金持ちの女性たちだし、「チャーリーズエンジェル」の様な
風貌の4人の女性たちだし、男性から持てない筈は無いと思う
のだけど、金目当てで近づく男性が多かったというところなのか
な。



ジェシカ・フレッチャー (Angela Lansbury) 小説家
イーサン・クレイグ (Claude Akins)
エイモス・タッパー (Tom Bosley) 保安官

ナンシー・アール (Doran Clark) 娘
ラルフ / スティーブン・アール (Howard Duff) 父・白粉会社
マギー・アール (Marilyn Hassett) 娘・金髪
テリー・ジョーンズ (Richard Hatch) ナンのフィアンセ、金目当て
グレイス・アール・ラモント (Anne Lockhart) 娘、メガネ、夫は4年前失踪
ブライアン・シェルビー (Dack Rambo) リサの夫
リサ・アール・シェルビー (Cassie Yates) 娘
ジョナサン・ベイリー (Tom Bower) ヒゲ、新聞を届ける
エマ (Carol Swarbrick) 女保安官補
ニルス・アンダーソン (John Petlock)
エリアス・コッブ (Robert Beecher)


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