刑事ジョー パリ犯罪捜査班
(2013年・フランス Le Grand / Jo)




 

Jan. 17, 2013
第1話 ノートルダムの審判 Notre-Dame

監督/Charlotte Sieling 脚本/Rene Balcer
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ベルギーのモルに在住しているピーター・ヴァン・ヴリート
かつて法王の前でも演奏したことのあるオルガン奏者
この日も来月から始まるアジア公演に向けて自宅で練習する。
お手伝いの女性は独り身のピーターの面倒を見る。
後日ピーターの遺体がベルギーの自宅からは離れたフランス・
パリのノートルダム大聖堂の前で遺体として発見される。

ジョーはソファーで寝ていた。酒を飲み、ドラッグによって体が
蝕み医師からはこの調子では余名は2年だろうと言われていた。
そんな彼は相棒の刑事のマークからの電話で目覚める。

現場では鑑識のニコラと女性検死官のアンジェリクが遺体を巡
って会話していた。チーフのベアトリスはジョーが現場にやって
くるとチームが揃った事を告げ、捜査を開始する。
今朝5時50分に金髪の老女が散歩中に酔って寝ていると思われた
遺体を発見したというもの。被害者には時計も金もIDもなく
身元は不明だが、体中の打撲痕と歯が折れた形跡があり、首を
絞められて殺害されているという。ただし現場の血の量から
殺された場所はこの場所ではない事は明らかだった。
何故ノートルダムに運ぶ必要が有ったのか
ジョーは、遺体はもしかして鼓膜が破れていないか?と問う。
耳が聞こえなければ神の許しが得られない事を告げ、その場合
報復のための殺人である事は明らかだと語る。

モルグで遺体を検視した結果、43カ所の打撲痕と、遺体はロープ
やコード状のもので首を絞められ殺害されていることが判明する。
鼓膜も確かに破られているとアンジェリクは告げ、何故罰を
受けることになったのかと疑う。歯のインプラントから遺体は
ピーター・ヴァン・ヴリート(51才)だと判明。
オランダとの国境付近であるベルギーのモロの在住だという。
オルガンの名手であり、大聖堂で演奏したこともある人物だ
という。すぐに地元の警察に捜査協力を求めるよう指示する。

ピーターのエージェントによると、ピーターは自宅でアジア公演
の練習をしていた筈だという。彼はスーダンの孤児支援・資金
集めをしているような人物で良い奴だという。ジョーはピーター
のパリの知人を繋ぐ人物を知らないかとして、リストを提出させ
る。
ピーターの仕事仲間・ティエリーから話を聞くと、彼の事は軽蔑していたという
人物が見つかる。彼は偽善者であり、シャルトルの公演では
酒やドラッグでラリった状態で公演に出てきたとし、客をコケに
したのだという。それ以降フランス公演はしていないとのこと
だった。
しかしアンジェリクは肝臓の状態から、被害者はドラッグや
アルコールの常用していた形跡はないと語る。
彼の資料を調べていると、ピーターの弟子と写っている写真が
見つかる。

そんな中ジョーの元にメールが届いた為に、私用のために少し
席を外すことをマークに伝える。
ジョーが向かったのは葬儀場だった。ジョーの元妻がガンの
為に亡くなり、そこにはジョーの娘・アデルと女性(キャリン)
の姿が有った。ジョーはアデルに声を掛けると少し話がしたい
として彼女を自宅に招く。
アデルは看護師として働いていた。決して楽ではない仕事。
アデルは何で葬儀場に来たのかと問うとジョーはお前に逢いに来た
のだという。母親が病気だとは知らなかったのだというジョー。
娘がトイレにいる間、ジョーは彼女のバッグを漁り最近の彼女の
近況を探る。するとドラッグが入っており、更に彼氏(ヤニック
・モラン)との写真が入っていた。ジョーは仕事に行くという娘
に対してバッグにアンフェタミンが入っている事を指摘し、
ドラッグに手を染めているのかと問う。するとあんただって
トイレに興奮剤と鎮静剤が置いてあったとして言う資格がない
事を語る。逢わなくなって12年も経過したが来るんじゃなかった
と娘は告げる。

被害者の家政婦によると、日曜日の7時に彼を目にしており、
翌日に家に来ると部屋が荒らされていたというものだった。
練習室に血痕が有った為にそこで殺されたのではないかという
ものだった。

写真に写っていたピーターの弟子は、ビードレ(24才)だと判明。
話を聞くとツアーを抜けたのは演奏するのを禁じられた為だ
という。ジョーは彼がピーターが演奏前の紅茶の中にドラッグ
を入れたであろう事を指摘すると確かにケタミンを入れたことを
認める。ヤツには確かに腹を立てていたが殺すほどではないと
いう。普通天才ならば弟子を立ち直らせようとするものだろう
とし、彼は自分のことを客引き程度にしか利用していなかったの
だという。演奏を見に来た綺麗な女性に電話番号やホテルの部屋
を教えに行く係にさせられていたという。ピーターは人妻と
ばかり不倫していて、三ヶ月前には夫に見つかり殴られ歯を折ら
れていた事を知る。リスキーな事をするのが好きだったようだ
と語る。
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昨年wowowで放送していたフランスのドラマ。

俳優さんの役名の読み方が少し特殊で英語の表記と少し読み方が
違ったりするので間違っている部分が多いかも。こういう時
字幕版を見ていれば間違いはないのだろうけど、吹き替え版で
見たので。

フランス映画というと癖があるけど、フランスのドラマというと
正直まるで見た事が無いのでどんな感じなのかなと思った
けど至って普通の少し暗めの刑事ドラマという感じ。
アメリカンなほどに会話にジョークが弾む訳でもなく、
イギリスみたいな堅さというのも感じられない。
ただやはりロケーションを活かした演出というのは数多くの
ところで感じるものだし、何よりも歴史にちなんだ殺人の意図
なりメッセージ性の強いものが含まれているところに興味深い
部分は詰まってる。
インターショナルな視聴に耐えられる作りをしているので、
どの国でもそれなりに需要はありそうだけど、多少宗教色が
有るので国によっては敬遠されるのかな。

フランスの視聴率から換算すると740万人を超える人が見たとの
ことで、人口6千万のフランスでは相当数の視聴者がいたという
ことで凄いことのようだ。

フランスらしさなのか、どうかは分からないけど、ドラッグ
の問題と性・売春の問題、そして親子の絆に関する内容が盛り込ま
れたエピソードだった。それらは恐らくこのドラマのテーマと
してその後も粘り強く存在していくものだろう。

何よりも主人公の刑事自体がドラッグ中毒に陥っている。
新人刑事は酔っているとしてミントを手渡す姿が有ったけど、
アルコールならばともかくドラッグに手を出しているという
ところを見ると、刑事としてどれだけ活躍出来るのか。

フランスでは婚姻制度も独特なので少子化に悩む日本として
はフランスに学べと言われることも多いけど、このドラマ
に於いては至るところで、その弊害なのかどうかは分からない
が、不倫だったり親子の関係の絆が揺れ動く様子が描かれて
いる。

ジョーは母親の死きっかけとして娘と関わりを持つように
なり、なんとか絆を取り戻したいと考えている人物だ。
ジョーと娘のアデルの間に立つ、キャリンという女性は
母親からの頼みでジョーとアデルの絆を取り戻して上げたいと
考えている様で死に際にそれを託した人物。
娘は看護師として仕事をしている傍らで本人もドラッグに
溺れているところを見ると、両親の離婚が影響しているのだろ
うか。

今回の被害者の男性・ピーターは相当なすけこましで、家庭
を崩壊する一面と、オルガンで人々を魅了し法王の前でも演奏
した才能がある。善と悪を持った人物だと揶揄されていたけど、
話を聞いていればいずれそうなる運命なのかなという感じの
人物像で、まるで同情する価値もない人物である。
ただ気になるのは、敬虔な妻が何故不倫したのか。
そして本当に夫が暴力だったり縛り付ける性格をしていたのか
謎である。途中でジョーの元に付いてきた子犬を飼おうとする
が逃げられてしまうシーンが有ったけど、ペットとして飼われる
よりも自由に生きた方が良いとする主張としてはなかなか
面白かったかな。

そう簡単に中毒患者が克服できるとは思えないけど、キャリー
からは努力と忍耐だ言われていたし、ドラッグとアルコールの
全てを捨てる決意をして囲碁の碁石を使って集中力のトレーニ
ングをしているところなど、独特の感覚が合ったね。

チーフのベアトリス演じるOrla Bradyは、イギリスのドラマ
ミストレスで医師シボーン役を演じていた俳優さんだ。
アイルランド出身の方だけど英語圏でのドラマ出演が多いね。

最後にジョーが訪れていたのは、相棒のマークの家族なのかな。
妻子がいて幸せそうだった。ジョー叔父ちゃんと言っていたので、
弟か妹夫婦なのかなと思っていたけどね。

ジョアシャン“ジョー”・サン=クレール (Jean Reno) パリ警視庁犯罪捜査班
キャリン (Jill Hennessy) シスター・売春婦更正施設
マーク・バヤール (Tom Austen) ジョーの相棒
ベアトリス・ドルモン (Orla Brady) 犯罪捜査班チーフ
アデル (Heida Reed) ジョーの娘。看護師
ニコラ・ノルマン (Celyn Jones) 鑑識担当・髭
アンジェリク・アラサン (Wunmi Mosaku) 女性検死官・黒人
ヤニック・モラン (Chris Brazier) アデルの彼・ドラッグの売人


チャーリー (Sean Pertwee)
モーリス・ラングロワ (Nicholas Gleaves) プルーヌの父
(Magnus Erland McCullagh)
ガブリエル・ロチェット (Georgina Rylance) 不倫した。窓のところでH
マリアム・バヤール (Kahina Carina)
ケイレブ・バヤール (Jules Taillasson)
ポーリーン・ラングロワ (Raquel Cassidy) 不倫相手
Mr.ピーター・ヴァン・ヴリート (David Bark-Jones) オルガン奏者
ビードレ (Charlie Anson)  ツアーを禁じられた弟子
--- (Simon Thorp) Coppens
--- (Charlie Kemp) Lemmens
--- (Lee Delong) Marijse / 家政婦
--- (Miles Richardson) Father Gauthier / 解雇した神父
--- (Marian McLoughlin) Mrs. Beatrice / 家政婦
マーラ (Cara Horgan) ストーカーした?
--- (Tercelin Kirtley) Thierry Cruvallier / 客をコケにしたと・・
--- (Jonathan Wrather) Serge Achard
デニス (Tom Meeten) ピーターと同じ先生に習った。ロクなヤツじゃないと
--- (Matthew Gonder) Cousin
--- (Claire Johnston) Mrs. Lacroix / 不倫した女性
--- (David Clark) Priest

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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