刑事ジョー パリ犯罪捜査班
(2013年・フランス Le Grand / Jo)





3 Dec. 2013
第7話 オペラ座の裏切り Opera

監督/Sheree Folkson 脚本/Rene Balcer、Franck Ollivier
Malina Detcheva
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娘をバレエ教室に見送る弁護士の父・レイモン・シトラー
娘は父に対して、プロのバレエダンサーを続けるのであれば体操
を辞めろと言われていることを告げると、レイモンは娘に人は
決断を重ねて大人になるのだと語る。それならばタバコを辞める
決断をしてという娘だが・・・

娘を送った後、オペラ座前の階段に座って一服していたレイモン。
観光客も多く、パフォーマーが金を稼いでいたり、物乞いをする
女性も居たが、突然男性が物乞いをしていた女性から金を奪って
逃走する。その騒動に紛れて、突然レイモンは倒れて死亡する。

ジョーとアデルは麻薬捜査班からヤニック死亡に関して、色々と
取り調べを受けていた。薬の件と父とシャルリーのことを
聞かれた事を告げ、アデルは疲れたと語る。ジョーはそんな
娘にハグすると家に帰って休むよう告げる。

オペラ座ではレイモンが殺害されたのは、何らかの毒物を注射器
で注入されたことが原因だとし、ノルマンは捜査員たちに
広場に設置してあるゴミ箱から注射器を探すよう告げる。
現場に居たパフォーマーから話を聞くと、目の前で物乞いの
女性が男性によって金を盗まれていたという。女は"泥棒だ"と
叫んだ為に視線がみんなそちらに動く中、人が倒れたのだと
いう。
ジョーたちは被害者がレイモン・シトラーであり、娘をバレエ
教室に送りに来てタバコで一服している最中に発作を起こして
倒れた事を聞く。
一方バヤールはジョーが来たのを知ると、娘・アデルの件は
どうかと告げ、何か出来る事が有れば話して欲しいと語る。

アンジェリクによると、被害者は首に注射器の跡があるという。
毒物は神経系を犯すものであり、被害者には腕をみると強縮性
の麻痺が見られるという。それが肺が機能しなくなり倒れたの
だろうという。

ジョーたちはレイモンの妻・クリスティーナから話を聞く。
弁護士故に問題の多い訴訟も有ったのではないかというと、
夫はひまわり油を扱う商社のコンサルタントをしており、
それ以前にはソルボンヌの大学で法律を教えていたので、恨ま
れるようなことはしていないという。この三ヶ月間は娘のバレエ
教室の送り迎えを担当してくれていたとし、毎週水曜日に同じ
時間に送り届けていたとのことだった。

パフォーマーの男は、ホームレスから金を奪うなんて許せない
ことだと告げる中、ジョーとバヤールは、彼女はプロの物乞い
なのだと告げる。奪っていった男性と女性は何か合図を交わして
いなかったかと尋ねるがそれは分からないという。
ここの常連ならばすぐにその女性が誰なのか分かるだろうと
のこと。

ジョーたちは貧民街に住むホームレスの女性から話を聞く。
すると共謀している訳ではない事を告げ盗んだ男性のことは
知らないという。しかし殺された男は毎週水曜日にあの場所
でよくタバコを吸っているのを見たという。携帯を手にして
女性に声をかけていたという。4週間前には女性とケンカして
いたとし、女性の名前はリュシーで、会話の内容からすると
同僚ではないかという。女性は涙していたとのこと。

リュシーはレイモンがソルボンヌの大学にいた頃に付き合って
いた女性で二ヶ月前まで関係が続いていたという。
通話記録を調べるノルマンは先月にメールしているという。
その内容は"あなたが欲しい"とのメールだった。

リュシーの元に行くと、彼女は現在政治学部で助手をしている
という。オペラ座の前で殺害されたレイモンと揉めているのが
目撃されている事を問い詰めると彼に気持ちを確かめたかった
だけで、愛に飢えた女だと言われて、諦めることにしたのだと
いう。二人の出会いはどうだったのか?と問うと、彼女は同じ
ソルボンヌにいるのだから偶然に知り合ったとするが、
生徒は23000人、教職員は1200人、政治学部と法学部はキャンパス
では両端に有るのに出会うはずはないという。
すると私の上司のマルスリーヌ教授とレイモンが同じ学生を
指導したことが出会いのきっかけだと語る。
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オペラ座の前で男性弁護士のレイモン・シトラーが何者かに
よって殺害される。調べていくウチに首から注射器で毒物を
注入されていた。薬物は殺虫剤などに使用されるピレトリン
と呼ばれる菊から抽出されるもので、市販されているものは
人体には無害だという。被害者の交友関係を調べていくウチ
に女性と不倫し、その女性から強く言い寄られていたことが
判明する。

一見すると気むずかしいような意味合いの含まれた事件。
パリの地下鉄で初めて殺害された1937年レティシア・トゥロー
にちなんだ殺害だとか、1820年にオペラ座の外で殺害された
ベリー公など、ファシズムとか反君主制だとカフカの書籍
「審判」「変身」などがヒントになっていくものだけど、
どうしてもこの手のドラマに歴史的エッセンスなり思想など
を盛り込みたいのか、ややドラマとしては出来過ぎなエピソー
ド。

長い期間論文が書けずに任期切れと同時に苦しんでいる男性の
エピソードって別のドラマでも見た気がする。何のドラマ
だったかな。

夫としては失格だが父親としては理想だとする男が殺害され
た訳だけど、話を聞いているウチに、大学教授という名の
下で、男女の学生を辺り構わず関係を持っていたという
ところがある意味では凄い設定なのかも。
単純に害虫のような人物を退治するという意味で殺虫剤を
使ったということで問題がないような教授だったな。

「カフカとファシズムの原点」というタイトルで論文を
書こうとしていた男性・ジャックこそ、まさに殺害の主張
からしてピッタリの犯人像だったけど、その辺は最後に
捻り通した格好で、突然現れた"如何にも"妖しい彼女の
存在がクローズアップしていく。


自分自身にもチャンスが有ったにもかかわらず彼氏に期待
を背負わせていたとする女性の姿。
彼氏の出世を阻むものたちを犯すほどに彼氏に期待を寄せて
いた彼女だけど、目の前の現実からは目を背けていたようで、
何故今まで彼氏の度量に気がつかなかったのか。

嫉妬や固執、執念と言ったものが入り交じり人間をおかしく
させてしまっていたものだけど、男女の関係に対してもう少し
アバウトな思想がある国だと思っていたけど、意外と
それらが強く表れていたな。

ジョーの親子関係に関しても実に切ないエピソードだった。
娘が立ち直る為には父親が必要であり、父親が関わったので
恋人を失うことになったとする解けないロジックみたいな
流れが有る。
ジョーのたがが外れてシャルリーを殺害しに向かう時の
「チャラ〜ン」がまた不気味だった。

またしても階段で石を投げるジョーの姿。
飼い犬のようにつきまとっていた野良犬が居なくなってしま
ったけど、娘の象徴のような形でこの犬も登場していたのか
な。


ジョアシャン“ジョー”・サン=クレール (Jean Reno) パリ警視庁犯罪捜査班
キャリン (Jill Hennessy) シスター・売春婦更正施設
マーク・バヤール (Tom Austen) ジョーの相棒
ベアトリス・ドルモン (Orla Brady) 犯罪捜査班チーフ
アデル (Heida Reed) ジョーの娘。看護師
ニコラ・ノルマン (Celyn Jones) 鑑識担当・髭
アンジェリク・アラサン (Wunmi Mosaku) 女性検死官・黒人
ヤニック・モラン (Chris Brazier) アデルの彼・ドラッグの売人
シャルリー・ルピール (Sean Pertwee) バーのオーナー、ジョーの弱みを握る

マルスリーヌ・ジャーヴェィス (Laura D'Arista) 教授
レイモンド・シトラー (Jamie LEE) 弁護士、ソルボンヌ大の元教授
エゲール (Colin McFARLAN) 内務調査室・警部
Lucie Vignault (Hilary KEEGIN)
ナディア (Mihaela SERBAN)
クレモント (Tania RODRIGUES) 医師
チャック (David Gasman)
--- (Nicolle Rochelle) 看護師
--- (Laurent NAOURI) シンガー
ジャック・ブノワ (Shazad Latif) 自称博士号候補
ローレンス (Claire Lubert)
エミール・レジャー (Camilla Mathias) 医師
エリーゼ (Martha Mc ILDUFF)
バーマン (Nathan RIPPY) 刑事
チャールズ・エッブ (Karl THEOBALD)
Doyon (Richard LINTERN)
クリスティナ・シトラー (Zoe Telford) 妻
エド・デュロック (Joe Tucker) 麻薬捜査班
アマドー (Eriq Ebouaney) ジョーの協力者、シャルリーの仲間
--- (David STANLEY) Exterminator
--- (Shazad LATIF) Nasser Abdulghani


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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