LAW & ORDER
(LAW & ORDER) シーズン17





October 6, 2006
第11話 亡骸の行方 Remains of the Day

監督/Constantine Makris 脚本/David Wilcox、Shiya Ribowsky
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ガーランドバード看護師の二人は、患者アシュリーがまるで
高級ホテル感覚にナースコールを押すことに愚痴り合う。
そんな中、デーモンが突然ナースセンターにやってくると、
息子のマイケル・ジョーンズ(19歳)が倒れて息をしていないと
告げる。アシュリーの見舞いに来ていたマイケルは倒れており、
看護師はすぐにコードブルーを発令する。倒れる前に頭が痛い
と言っていたという。

患者が亡くなったことを聞いて、ヘイブンズ医師から話を聞く
ニーナとエド。現場には夫婦と共に母親の広報担当者がいた
事を告げる。外傷もなく19歳の青年が突然死したので、一応
連絡したとのことで、現場は証拠の汚染を防ぐ措置を取った
という。私の叔父も突然死だったとするが、ヘイブンズによる
と19歳の青年が突然死するのは珍しいと告げる。肺水腫だった
とのこと。毒の可能性も否定出来ないが検査結果次第だろうと。

エドは所持品を調べると着替えと本とケータイという普通の物
だけだった。その間アシュリーの病室に入ったのは付き添い
看護師くらいだという。夕食は7時だったが、その夕食はアシュ
リー用に出された病院食だった為に、毒が死因ならば狙いは
アシュリーだったのかもしれないと語る。
その事をアシュリーにも告げると、それならばマイルズ・フォ
スター
が殺したのだと語る。私の夫・ウィリアムの息子だと
いう。彼は妹と共に遺言書の無効の裁判を起こしたのだという。
遺産は4600万ドルだったとのこと。何か最近異変がなかったか
と尋ねると、マイルズは私を尾行させたり、無言電話をかけた
りしてきたという。私が亡くなれば、遺産は全てウィリアム
の息子のマイルズとその妹のヒラリーの手に渡るのだという。

11月7日(月)・マイルズのアパート/パーク・アベニュー。
マイルズから話を聞く。エドたちはアシュリーを毒殺しようと
したのではないかと問い、動機は遺産争いだとするが、私は
かかわっていないとし、遺産に於ける裁判での係争中だったが
現在私たちにはとても有利な状況だったのだという。あの女は
詐欺師だったのだとし、92歳の父を騙したのだという。健康が
衰えて判断力がなくなっていた父と結婚し、遺言書を書き換えさ
せたのだという。彼女に愛はなく、結婚して一年足らずで父
は亡くなったという。遺産のためならば何でもする女だと。
尾行の件を尋ねると、それは裁判の為に彼女の素行調査の為に
雇ったもので、弁護士のヒースから話を聞いて欲しいと告げる。

ヒース弁護士から話を聞くと、個人トレーナーの宣誓供述書
有り、私たちに遺産争いに関しては有利に働いていたので
アシュリーを殺す動機はないと語る。サイモン調査員によると、
アシュリーは結婚したその日からトレーナーと不倫関係に有り
トレーナーは遺産のおこぼれをもらえると思っていたが、
使い捨てにされたことに憤り、供述してくれることになったの
だという。彼女は男性を食い物にしてきたもので、実の息子を
幼い頃に地方の親戚に預けていた人物だという。ずっと男に
たかって生きて来た人物で今度は息子に食い物にされそうにな
ったのではないかという。薬物が自宅近くで購入している写真が
有るとしてニーナたちに渡す。

毒物検査の結果食事からは毒物は検出されなかった。
死因の特定、そして売人の特定をしている最中だとアニタに報告。
そんな中ニーナが売人を特定したとして、マルコ・ペンズラー
だと語る。何度か少量のヘロイン売買で前科があり、過去には
殺人にも告発されているという。ただし証拠不十分で不起訴になって
いるとのこと。殺虫剤を麻薬として売っていたのだという。
マイケルの携帯にはプリペイド携帯からの電話の着信が有った
事を語る。

ペンズラーから話を聞くとマイケルはいつも現金で購入していた
が、最近はファッションウィークだったのでヘロインの在庫は
無かったという。どこか別の場所で粗悪品でも掴まされたので
はないかという。
そんな中取調室にはロジャース検死官から検視報告が届く。
早速会って話を聞くと少量のヘロインが検出されたこと。
複数の処方薬が検出されたこと。死因は脳の中にゴルフボールサイズ
の転移性腫瘍が見つかったことにより、重度の発作が有ったという
もの。それでは腫瘍が死因なのかと問うと、それでもロジャースは
殺人の可能性が高いという。シクロスポリンとプレドニゾンが
検出されていて、これは免疫抑制剤だという。移植手術を受けた
という証拠であり、患者に与えられる処方薬だという。患者は両足
を移植しているが骨の移植に使われた骨自体にガンが転移されて
いたものだろうという。正規の骨バンクならば検査しているハズで
あり、臓器のブラックマーケットが存在するのかも知れない。
何よりもガンの種類は卵巣がんだと語る。手術は正規に行われた
ものだが、正規の組織バンクを通したものではないという。
しかし骨移植が出来るニューヨークの医療施設は100以上有るので
特定は難しいという。骨の修復具合から1年半前に移植されたもの
だろうとし、マイケルは路上生活をしていたので保険にも入って
いなかったハズだと語る。

11月8日(火)・アシュリーのアパート
11月8日(火)・モーニングサイド医院
11月9日(水)・ビックス葬儀社
12月6日(火)・高位裁判所 申し立て審理
1月3日(月)・高位裁判所
1月6日(木)・高位裁判所
1月6日(木)・高位裁判所
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病院で入院していた母・アシュリーの息子・マイケルが突然
19歳の若さで死亡する。外傷もなく肺水腫を引き起こしていた
という事から、食事に毒を混ぜられたのか、それとも過去に
ドラッグ中毒による治療痕があることから過剰摂取や粗悪品
のヘロインを掴ませられたことによる死亡かに思われたが
検死の結果死因は脳に有る腫瘍だと判明する。しかし不思議な
ことに、彼には免疫抑制剤・シクロスポリンとプレドラゾン
という移植患者にしか処方されない薬が出ていたことを知る。
保険にも入っていないホームレスだった青年が何故移植
手術を受けられたのか。更に驚くべき事に死因となった腫瘍
は移植時に於ける骨転移による卵巣がんだった事が判明する。

夫婦の遺言・遺産問題から起因したかに思われた事件の流れ。
母親に問題があるのか、それとも子供側に問題があるのか。

アメリカの医療問題を取り上げたもので、形は違えど日本でも
頻繁に取り上げられる貧富の差による命の格差をネタとして
取り上げたもの。
アメリカのドラマを見ていると、アメリカの医療保険は日本の
全国民強制加入の保険とは違い、極端な話では、加入する保険に
よって、処方される風邪薬一つをとっても適用されるかどうか
個々に違いがあるという事情が存在する。

誰だって脚を切断されたくないし、また命だって失いたくない。
移植に際してそもそも移植自体にリスクが有るのに、移植され
る臓器に汚染があり、より移植に於けるリスクが存在する中で
それを医師本人が決めてしまうことへの違和感は存在するもの
の、そんなリスクを賭してまで移植する価値があるのかどうか
は、患者本人の価値感の下で決められるべきものが有るという
ことと、助けられる命を見捨てている現状に際して、異議を
唱えるマッドなドクターの合理的過ぎる行きすぎた価値感を持って
遺体を扱ってしまったとする流れの是非を問うものが有った。

医療制度に関して、それを眺める人たちがどの階級の人物なのか
によって今回の裁判での思いの程が玉虫色に変わってくるものが
有るのだろう。崖っぷちに居る貧困層の患者の元にさしのべられた
一本の蜘蛛の糸にすがりたい人にとって、法が効力をなすものなの
かと興味深い葛藤が有った。

医者の名前がヘイブンズだったりボーンだったりして、何となく
演出する意図が有りそうな感じもする。

金持ちが貧困層の医療制度に対する価値感を決めることへの違和感
も有るのだろうし、検事局が心配していたように、この国には
4600万人の保険未加入者(アメリカ人口3億1千万人)がいるという状況
から見ても、相当歪なものとして存在しているところが有るのは確か
だった。

ガンが骨に転移するケースは稀であるということと、転移された
とされる骨を移植したとしても移植された人体にがんが転移され
るのは稀だとする二度に渡る奇跡的不運がつきまとう。

その変の確率的な死で言えば、以前のL&Oのエピソード「戦争成金」
の中で、粗悪品の防弾チョッキが製造ラインに混入され、本来の
研究結果のような防弾効果はないものの、物資の不足から、回収す
る手間を無視して流通させ現地に送った結果、それがたまたま死に
至ったとする事件を彷彿とさせるものが有った。

医師の殺害を証明する為に、憲法修正第4条を無視してジェイソン
の生検を受けさせるべきかどうかの葛藤が有った。
「公共の利益が重要視される場合は強制も認められるとの指針を
見直すべき」だとして、マッコイは審理の有効性を認めさせた。

何よりも複雑なのは、例え命のリスクがあるとされても患者本人
は移植を望んだであろうことを法廷で語ったところに有った。

第二級殺人では無罪とされたが、医師免許を剥奪されたということ
は、人としての倫理感・法的には問題はなかったが、医者としての
倫理感に欠いていたとすることが、精一杯の答えだった。
マッコイも医師を追求しつつも、実際にはそんな医師に肩入れして
いたようなオチだったね。



エド・グリーン (Jesse L. Martin) NY市警
ニーナ・キャサディ (Milena Govich) 27分署に着任
アニタ・ヴァン・ビューレン (S. Epatha Merkerson) NY市警・警部補
ジャック・マッコイ (Sam Waterston) 地方検事補
コニー・ルビノーサ (Alana De La Garza) 地方検事補
アーサー・ブランチ (Fred Dalton Thompson) 地方検事
--- (Steven Zirnkilton) Narrator (voice) (archive footage)

エリザベス・ロジャーズ (Leslie Hendrix) 医師
アダム・ボーン (Ben Bass) 医師
アンソニー(トニー)・ビックス (Dan Bakkedahl) ビックス葬儀社
プレスコット (Kate Hodge) トニーの弁護士
マイケル・ジョーンズ (Eric D. Hill Jr.) 19歳、骨移植でガン転移
アシュリー・ジョーンズ (Mariel Hemingway) 妻、遺産目当ての結婚
デイヴ・シーバー (Michael Boatman) ボーンの弁護士
バレリー・ミラー (Amina Robinson) 看護師
ターニャ・カーター (Trish McCall) ジェイソンの母
ジャニス・ゴールドバーグ (Fran Lebowitz) 判事
ルイーズ・ヒース (Felicity Jones) 弁護士、遺産騒動
シシリア・ジェフズ (Chinasa Ogbuagu) ジェイソンの弁護士、生検反対
マギー・ヘーブンズ (Felecia M. Bell) 医師
フランク・サイモン (Alex Emanuel) ヒース弁護士の事務所の調査官
マルコ・ペンズラー (Christian Rummel) ヘロインの売人
マイルズ・フォスター (James Riordan) アシュリーの夫の息子
ドロシー・パーネル (Paula Leggett Chase) 判事
ダンカン・ハーベイ (Sam Guncler) 判事
デーモン・ベーカー (Sam Osheroff) マイケルの父
ジョージ・アミリ (Aaron Fili) 医師
ナターシャ・クレイトン (Brooks Hornsby) マイケルと付き合っていた女
アレクシス・ケンドール (Eliza Foss) カレンの母
トム・ケンドール (Tom Hammond) カレンの父
ガーランド (Laura E. Johnston) 看護師、冒頭の・・
バード (Frances Turner) 看護師、冒頭の・・
--- (John Stanisci) Arraignment Court Clerk
--- (Kilty Reidy) Foreperson
マックス (Ron Vitalia)


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