映画 DEATH NOTE デスノート

監督/金子修介
脚本/大石哲也
出演/藤原竜也、松山ケンイチ、香椎由宇、鹿賀丈史、中村獅童
瀬戸朝香、細川茂樹、藤村俊二、戸田恵梨香、五大路子
満島ひかり、中村育二、青山草太、清水伸、奥田達士、小松みゆき
中原丈雄、津川雅彦、顔田顔彦、マット・レーガン、皆川猿時
田中要次、渡来敏之

http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote/

一発の司法試験で合格する夜神月は将来有望な人物だ。
そんな彼はある時、死神のノート「デスノート」を拾う。
デスノートに名前を書くと書かれた人間が亡くなる事に気がつく。
犯罪者を裁く法に限界を感じていた夜神月は、次々と犯罪者の
名前を書き、犯罪者の居ない世の中を形成しようとする。

原作は週刊少年ジャンプに掲載された漫画。
映画は観客動員数200万人以上集め、興行収入28億円を得た。

とても良くできた内容だった。

夜神月と名探偵L。両極端の立場にある二人。
どちらも自分の正義を貫くために相手の正体を探り合いの末
暴いていく。

映画としての面白さは、デスノートが効果を発揮するためには
幾つかの細かいルールが存在していることだ。
特に重要なのは、相手の顔と名前を認識していなければならない
という事。
デスノートさえ有れば遠隔地から簡単に人の運命を操ることが
出来るが、その情報を得るためには自分の足で稼ぐ必要が有る。

絶妙に設定されているのは、この辺の動と静を上手く利用して
いる点だと思う。
殺したい相手の情報を掴むためにはそれなりのリスクを伴うと
いうこと。自室の卓上の上だけでノートに名前を書いているウチ
は、こちらの正体は誰にも分からないことだ。

また一連の事件は人間の正義感から派生していく点も、とても
上手い設定だと思う。
当初は犯罪者に限定した殺人であり、世論も殺人を操るキラ様
を指示している声も多い。この辺の倫理観は死刑制度が今尚
強く残る日本の社会ゆえに受け入れられる点も多いのでは無か
ろうか。
しかし理想郷を作るために自らに降り掛かる火の粉を振り払う
ため、犯罪者でも何でもない人間を殺しにかかっていく点は
完全に自らのエゴを押し通す格好となっている。

映画を見ていて驚いたのは、キラ以上に存在感を発揮するLの
存在だ。松山ケンイチが演じている訳だが、名前を聞くまで
彼が演じているとは思わなかった。奇抜な設定のキャラクター
で、表情を見る限りでは、藤原竜也と松山ケンイチの役柄は
明らかに逆の立場の人間である。

この映画、とてもテンポもよく世界の不特定多数からキラの
正体を突き止めていく段取りが極めて面白い。
関東を限定にした放送などの細かい芸が効果を発揮する訳だが、
FBIが夜神月をマークしにかかる辺りの段取りはやや不自然さ
が残らなくもない。ただこの辺の事情をバッサリ省略したこと
により、逆にLの優秀さを描いた感じが良く出ていて良かった
と思う。

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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